57.『老骨』
NY編3話目!次回から巨大クラゲ戦!
「エリカ、俺、思ったんだよ。」
アレキサンダーの元を離れてからアラタはエリカにそういった。
「不自然じゃないかって。なんでわざわざ俺に協力を求めたのだろうって。天下の米軍だぞ?俺みたいな一人の日本人に頼るっておかしくないか?」
アラタは珍しく真面目な顔をしている。
さっきまで気絶していたエリカはそれに返答する。
「君は自分の価値を分かってないみたいだね?」
エリカは驚いた顔をする。
「日本の能力者は質が高いんだ。ましてや覚醒した能力者なんて、すごいぞ。」
エリカはそのまま説明する。
「第一に、何故か強い能力者は日本付近、要は東アジアに多いんだ。世界でも名のしれている強者は日本や中国にかたまっている。たまにポツポツと他の国でも超強い奴らは生まれてくるけれど、それが例外であって普通は東アジアの能力者のほうが強い。」
エリカはふと立ち止まってアラタを指さす。
「君は覚醒した能力者だろ?しがも東アジアの。君の存在は最新技術を全て積み込んだ戦闘機よりも価値があるんだ。」
アラタは驚いた。まさか自分がそこまで勝ちがある存在だったとは。
「あと、もう一つ不思議だと思った点。」
アラタとエリカは再び歩みだし、会話を続ける。
「アレキサンダーはアメリカ最強なんだろ?」
「うん。常識だぞ?」
「いや、それはそうなんだけど、だとしたら護衛が多すぎないか?」
アラタが不審に思った点。アメリカ最強の人間にあまりにも護衛が多すぎる。
「そりゃ、アメリカ最強の下でいっぱい働いても違和感はないだろ?」
「うーん...でも最強なんだぜ?少なくとも日本の星野イオにはあそこまで護衛はついてなかったぞ?」
「まぁ、難しいことは分かんねぇな。」
「アラタ、ついたよ。ここがレンサイという男の家だ。私はちょっと知り合いにおところを尋ねてくるから、終わったら連絡して。」
そう言ってエリカは去っていった。
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「あのー、申し訳ございません。ここ、レンサイさんのご自宅?」
アラタがそう言うと、ドアノブが動き、中から70代ほどの老人が顔を出した。
「...お前、日本人だな。待て、お前の顔を見たことがある。ちょっと待ってろ。今チェーンを外す。」
老人はそう言ってチェーンを外し、アラタを招き入れた。
「真剣組の獅童アラタだな。はじめまして、俺の名前は篠塚レンサイ。どうしようもない、老骨だ。」
老人は愛想笑いすら無く、険しい顔でアラタにそういった。
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レンサイは米軍が何度協力要請をしても断った男。まずは雑談で打ち解けたい。
「その、レンサイさん。ちょっとした疑問だけど、なんでNYに住んでいるんだ?」
アラタは席についてそういった。
「いきなりだな。近頃の若造は礼儀を知らんのか。まぁいい。俺はある男から逃げてここに来た。褒められたことじゃない。」
アラタは少し黙る。
「...どんな男から逃げたんだ?」
アラタが尋ねる。
「そうだな、日本で活動しているなら、いずれお前たちも戦うことになる相手だ。名前は知らん。ただ、闇の帝王と名乗っておった。」
「っ!光冥シン!」
闇の帝王。間違いない、シンだ。まさか、あのシンから逃げてきたというのか。
「なんと、名前を知っておったか。そんな名前なのか。俺はアイツに負けた。」
「あ、アイツに出くわしてどうやって生き延びたんだ?俺達のリーダーはアイツに負けて殺された!ラクとミクは見逃されたらしいけれど、それでも!アイツと一戦交えて、生き残るのは難しいでしょ!」
「...俺も見逃された身だ。警察が来てな。あの男なら警察ぐらい、どうってこと無いはずだが、騒ぎにしたくなかったのだろう。」
「...あなたがその男と戦ったのは何年前?」
「そうだな。大体50年ほど前なのではないか?」
「半世紀も前?!閾の日なんかよりずっと前じゃないか!能力も何もない時代に、どうやって?!」
「刀で。」
「刀で?!」
コイツはバケモノだ。真剣組の最大の敵、シンを相手に刀だけで生き延びたと言うのか。そんなバケモノ、米軍がスカウトしたがるわけだ。
勿論、当時のシンはカグヤやラクが戦ったあのシンよりは弱い。いのりの『祈願』により、ながらく世界に能力者はいなかった。だからシンは鎌倉時代から強さが変わってないはず。にしても、それにしてもバケモノすぎる。
だって、シンは『死』の能力を持っているんだぞ?触れたら即死。そんな相手だ。それに、それ相手に生き残ったというのか?あの時代、そもそも能力者なんていなかった時代に、だ。
「...すげぇ...レンサイさん!ぜひ俺達と一緒に米軍と協力してNYに迫る脅威を倒そう!」
「...........なるほど。米軍か。断る。」
レンサイは当たり前のように断った。
「なんで?聞いただけでも分かるとてつもない実力!NYを守るための戦力は多いほうが良い!あなたを必要としているんだよ?世界が!」
レンサイは深いため息を付き、ボソッと呟いた。
「...俺には、もう戦う資格も気力もない。」
その声はどこか切なく、どこか苦しそうだった。アラタはそれを知っている。自分の弱さに打ちのめされた時の声だ。自分の力不足を痛感した者の声、顔。アラタもカグヤの死後、そうだった。ミクは今でもそうだ。
「......なにg..」
「俺は何も守れなかった!みんな殺されたんだぞ!仲間も全て!闇の帝王に!ミサキは!ミサキはもう帰ってこない!俺をおいて死にやがって!何が大丈夫だ!俺は!俺は怒り任せに刀を振ることしか出来なかった!それで負けたのだぞ!それから俺は逃げた!闇の帝王が怖くて、ニューヨークにまで逃げた!そしてこんなところでひっそりと生きてきた!何も守れなかった、逃げた負け犬の俺に、まだ戦えと言えるのか!俺にはそんな資格も、気力も無い!俺が戦ってもまた何かを失うだけだ!」
レンサイの感情が爆発した。そうか、辛かったのだろう。アラタに例えるならば、あの霧里町での戦いでカグヤだけでなく、ソウヤも、ラクも、ミクも、ハルキも、みんなみんな死んでしまっていた場合、自分も同じような事になっていただろう。レンサイはそうだったのだ。ミサキという人間のことは知らないが、きっとレンサイが愛していた相手だろう。
「...レンサイさん、あなたはまだ、戦える。俺は、俺達は一度、リーダーを死なせた。レンサイさんが戦ったのと同じ相手だ。俺達はみんな、絶望した。リーダーの弟なんか、絶対辛かったはず。だけど、戦ってる。俺も、ソイツも、他の奴らも。意思を継ぐんだ。先輩の意思を。俺達はまだ戦える。自分の弱さを思い知っても、自分が許せなくても、人を助けられる。だから...」
「...俺には無理だ。」
レンサイのその言葉には重みがあった。なんども立ち上がろうとしたのだろう。50年間、何度も。だけどダメだった。だから諦めた。そんなことがヒシヒシと伝わってくる。だって、苦しそうだったから。顔も、声も。分かっているのだろう。アラタが今、並べた言葉なんで、とっくに分かっている。だけど、分かると出来るは別だ。分かっていても、体が動かない。恐怖に負けてしまう。無理もない。これはダメだ。この老人を再び戦場に立たせるのは残酷すぎる。
「レンサイさん、参戦したくなれば、いつでも。じゃぁ、俺はこれで。」
「....待て、アラタ少年。」
レンサイがとっさに口を開いた。
「......俺に出来ることはある。お前に稽古をつける。それなら、協力できる。」
うつむきながらレンサイが言う。あぁ、この老人は、まだ。
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「それで?どうだった?」
「断られた。だけど、俺に稽古をつけてくれた。ためになったよ。すっげぇ早い技でも避けてカウンター出来るようになった。」
エリカと合流して、アラタは笑った。
「ところでエリカ、どこに行っていたんだ?」
「知り合いの家。その、巨大クラゲと戦うのに良い戦力だと思って。」
「そうか。そんなに強いやつなのか?」
「あぁ、私が知る中では一番強い。」
エリカはそう言って笑った。
「ん?」
スマホの通知音がなった。アラタがスマホを開くと、リリアからだった。
「おぉ!セルジュの資料送られてきたー!巨大クラゲについて書いてあるぞ!」
「本当か?!」
アラタはそのファイルを開いた。
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巨大クラゲ パロック・ルミナス
その体で物理攻撃はほぼ無効。高い防御力をもつ。様々な攻撃手段を搭載。実験中。まだ意思がある。面倒だ、はやく消そう。追記 精神攻撃が可能になった。 追記 実験体の意思を消すことに成功
リリア追記 これしか情報がなかった。すまない。(´・ω・`)
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巨大クラゲ、パロック・ルミナスがNYに上陸するのはこのペースでいけば1週間後。アラタたちはそれに備えて準備をすることにした。
アラタは毎日、レンサイの元に通った。エリカも戦う気らしく、能力の訓練をしていた。エリカの友人の顔は見たことがないが、それなりに強力らしい。米軍もひりついてきていた。
「アラタ少年、いよいよ明日らしいな。」
「えぇ、クラゲごとき、ボッコボコにしてやるぜ!師匠!」
「...健闘を祈る。」
レンサイとは夕方、そうして別れた。ついに明日。予定時刻は夜の7時。今日は早く寝て、明日に備える。それだけだ。
アラタはホテルのベッドに横になった。決戦は、明日。明日勝てば、遺骨もゲット。ついでに米軍や世界に真剣組の名前を轟かせられるかも知れない。そう思うと、胸が高鳴った。
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「もう一度、戦う機会...か。なぁ、ミサキ。お前ならどうする?」
レンサイは椅子に座りながら壁にかけてある日本刀に向かってそう言った。
名前で嫌悪していた無職転生を最近見始めた。むっっっっちゃ面白い!半年前の僕よ!半年後、お前は無職転生を見て泣くぞ!3日最新話まで全部見た。シルフィ推し。僕はロキシーを認めないからなぁ!全国のロキシー推しの皆さんごめんなさい。流石にシルフィ可愛いすぎる!
自分の作品で、ボクっ娘が自分の性癖であるにも関わらず追加しないという失態。いや、これから追加する女性キャラは設定とかもう決めちゃってるし、それ変えたくないんだよね。だから樹冠祈願のメインキャラでボクっ娘が出てくることはありません。くっ!『樹冠祈願』最大の失態!サブキャラでは出てくるかも!てか絶対出す!
さてさて、本当はレンサイの過去の話を3話くらいでやろうと思ったんだけど、いや、いいかなーってなって。レンサイの過去はまた機会があれば。負け戦の話を3話もやってもね。最初はレンサイの過去を『樹冠祈願0』として書こうと思っていたのですが、面倒くさい、というか想像に任せたほうが良いかなーって。それと第4章に急遽新しいストーリーを考えたら、ホント、第4章を書きたくてしょうがなくて。でも、NY編ではまだ書きたい内容がいっぱいあるので、まだ長引くかな。だってまだ、NYの遺跡にいるはずの魔法使い、出てきてないでしょ?その魔法使いのお話もしたいんだよ。とりあえず、明日はリゼロ奪還編。コチラからは以上です。




