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樹冠祈願  作者: レニペン
第3章〜それぞれの物語〜
44/48

44.『グライナー交易商会』

ノルトハーヴェン編、スタートです!






 ノルトハーヴェンの空港は2年前までここが戦場だったと思わせないような場所だった。


 ノルトハーヴェン。16年前に突如として現れた人工島。そこに様々な国の人達が住み着いた地だ。その地を支配しようとする国々と戦争になり、2年前までここは戦場だった。2年前、『閾の日』の2週間後に戦争は終結。今は自治区として良く言えば自由な、悪く言えば無法地帯な場所だ。だが、ヨーロッパとアメリカの中間地点であり、さらに様々な技術者が集まっていることから貿易業が栄えており、意外と豊かな場所だ。


 佐倉ハルキは飛行機から降り、ラクとアラタにメールを送る。時差の問題か、彼らも飛行機に乗っているのか。既読はつかない。まぁ、しょうがないか。


 とりあえずホテルに向かう。今回の旅の目的は魔法使いの遺骨探しというちゃんとした目的がある。それに、共に旅する仲間はいない。話す相手もいないし、やることもない。ハルキは外国語というものがめっぽう苦手で、周りの人たちやアナウンスの意味も分からない。なら、まずはホテルだ。


 地図アプリでホテルの場所を検索する。なるほど、バスに乗れば良いのか。バスに乗って...待てよ、バス乗り場って何処だ?てか、ここは何語を話している場所だ?翻訳アプリは何使えば良い?何語?


 ハルキの混乱が始まる。なんせ、初めての海外。しかもけっこういきなり。2週間前の自分はまさかノルトハーヴェンに行くことになるなんて思いもしなかっただろう。準備も何も無い。


「あのー、すみません!ここに行きたいんですけど...」

「Ich weiß nicht, welche Sprache das ist.」


 案の定、分からない言葉で返される。チェンジだ。


「すみませーん!」

「¿Es que no te das cuenta de que tengo prisa?」


 意味はわからないけど、たぶん良い意味ではなさそうだ。


「エクスキューズミー?アー、オレ、ココ、イキタイ!ミチ、ワカラナイ!アイ ノット シンク...ロード....ディスホテル!」


 カタコトの英語。文法もひどいが、まぁ、日本語よりはマシだろう。


「Åh, busshållplatsen ligger där borta.」


 うん、本当に何言ってるのかわからない。


「お困りかい?」


 突然、聞き覚えのある言語がハルキに聞こえてきた。


「日本語?!」

 

 ハルキが反応し、振り向くとそこには栗色の髪色をした無精髭の男が立っていた。30代前半ほで、背は高く、優しそうな笑みを浮かべている。が、目の奥はどこか心の底から笑っていないような目で、ノルトハーヴェンの人であることを物語っている。


 ハルキはこの男の顔を知っていた。


「エリオット・グライナー...」


「おっと、俺のことを知っていたのか?」


「えぇ、俺は早乙女リリアの知り合いです。」


「あぁ、リリアが言っていた日本の少年はやはり君だったか。」


 エリオット・グライナーは納得したように笑った。


「なら、話が早い。リリア嬢に日本から真剣組の一人が来るから出迎えてやってほしいと言われていてね。改めて、自己紹介をさせてもらおう。グライナー交易商会、社長のエリオット・グライナーだ。お会いできて光栄だよ、佐倉ハルキくん。」


「こちらこそ、光栄です。グライナー社長。」


「エリオットでいい。君も俺もリリアの友人なんだ。堅苦しいのは嫌だろ?」


 エリオットはまた、笑った。










 十数時間前、日本を出る前、空港にラクとアカネが見送りに来ていた。アラタはすでにニューヨークへ向かっており、ハルキ出発後、ラクとアカネはリリアと合流してオーストラリアに行き、そこから出港、そして南極へ向かうらしい。ラクはウキウキで、それにつられてかアカネも嬉しそうにジタバタしていた。ハルキはそんな二人を見て、まるで兄妹だな、と思った。出会って一週間ほどしかしていないのに、アカネとラクの間には絆があるように感じた。ハルキはそれが微笑ましくて、だけど、少しさみしくて。別に嫉妬っていうわけじゃない。ただ、誰からもモテなくて、自分以外の友達もほとんどいないようなラクとカグヤ先輩が最後に助けたアカネという存在が仲良くなっているのを見て、なぜかさみしくなった。


「じゃぁ、俺も頑張るから、次会うのはいつかわかんないけど、またな。」


「頑張れー。僕も頑張るから。また、日本に帰ってきたらえーと、何人になるんだ?僕、ハルキ、アラタ、アカネ、リリア...ミクも入れておくか。だから...6人でなんか美味しいもの食べようぜ!どうせリリア、お金はたくさんあるだろうし、フグとか勝手に買っても怒られないだろ。」


「ご褒美はフグ...よし、フグのために頑張ろう。」








 「たしか、そんな会話だった。」


 エリオットに出発前の事を話すと、またエリオットは笑った。


 バスは日本のバスとさほど変わりなく、快適だ。エリオットが窓側の席を譲ってくれた。暖かな笑みを浮かべる彼のことをハルキは好印象に思っていた。


 今、ハルキとエリオットはバスでグライナー交易商会に向かっている。とりあえずホテルは後回しで、エリオットが自分の会社に案内してくれるという。エリオットはハルキに全面協力してくれるつもりらしい。


「ありがとうございます、エリオットさん。」


「さん付けはしなくていい。『エリオット』だけの方が楽だろ?」


「エリオット。」


「オッケーだ。」


「にしても、日本語が上手ですね。」


「あぁ、日本人の両親に育てられたからな。リリアとはその時からの付き合いだ。」


 エリオットはそれを、どこか遠いものを見つめる目で言った。


「へー、エリオット、もしかして、リリア狙ってる?止めといたほうが良いぜ。アレ、真剣組もびっくりするくらい頭おかしいから。」


「ははっ、知ってるさ。あと、狙ってないよ?」


「本当か?」


「なんか君、馴れ馴れしくなるの速くない?」


「ありがとう。」


「いや、褒めてないから...ん?褒めてるのかもしれないな...どっちだ?」


「じゃぁ、褒め言葉と受け取っておくよ。」


「ふっ、リリアが気にいるわけだ。」


 エリオットは、また笑った。


「...ん、エリオット、左手の薬指、指輪つけてる?」


「あぁ、つけてるよ。」


「既婚者かよ。どうなの?奥さん美人?」


 ハルキはまた茶化した。しかし、エリオットはまたどこか遠いものを見つめる目をした。


 そして笑った。


 だけど、今回は少し、寂しそうな笑顔だった。


「おっと、次のバス停で降りないとだな。料金は俺が払おう。」


「いや、俺が払うよ。真剣組だって流石にお金くらい持ってきている。」


「ははっ、コッチは社長だぜ?人一人分のバス代を払うくらい出来るさ。ここは社長に奢られておけよー。」


「なら、お言葉に甘えて。」


「早くない?!引くの早くない?!もう少し粘らないの?!」


 ハルキは、この男、そろそろ30代後半なのかなーと思った。










「ようこそ、グライナー交易商会へ!」


 エリオットは煉瓦造の建物の前でそう言った。ビル街の中にポツンとある、煉瓦造の建物。周りのビルより背丈も低く、異質な雰囲気だった。入口は2つあるらしく、今いる方が内側、反対側にある入口は海の真ん前で、海風が心地よいらしい。


 周りとぜんぜん違う雰囲気、だが、とても美しかった。なんだろう、綺麗な建物だ。芸術すら感じる。


「気に入ったかい?」


「あのー、なんでレンガなん?」


「気になるか?」


「そりゃーね?」


「簡単な話さ。俺の育った家に似せたんだ。」


 納得だ。そう言えば、早乙女邸もこんな雰囲気だったな。











 会社の中はとても忙しそうだった、あっちこっち様々な職員たちが走り回っている。資料を持って走っていたり、一室ではみんなパソコンに向き合っていたりと。しかし、悪い雰囲気では無かった。みんな仕事にやりがいを感じている様子だ。それに、おそらくいい会社なのだろう。証拠にエリオットにすれ違う社員たちはみんな笑顔だった。愛想笑いじゃない。自然な笑顔だ。エリオットの人柄が良いからだろう。多分ホワイト企業だ。


「ここが社長室だ。」


 エリオットに案内されて、二階の一室に入る。そこは大きな机と椅子、それから少しの装飾品とソファがおいてある部屋だった。それら以外はなにもない部屋。エリオットはハルキにソファに腰掛けるように促し、自身は真ん中にある机の前においてある椅子に座った。


「ハルキくん、君の目的をまだ聞いてなかったね。なぜノルトハーヴェンに来た?」


「リリアから聞いてないのか?」


「あぁ、聞いてないとも。それからハルキ君、ここではお友だちとしてではなく、商売相手として君と接する。だから君も話し方を丁寧にしてくれないかい?」


 なんだ、早乙女リリア。説明端折ったな。めんどくさいな。


「えーと、魔法使いの遺骨を探していて。」


「魔法使いの遺骨?」


「はは、聞いたこと無いでしょうね。俺もこの前、初めて知りました。」


「魔法使いというのは...」


「聞いたこと無いかもしれませんが、ずーっと昔、『能力』という概念の前に存在した『魔法』を使う者たちのことです。」


「『魔法』?」


「えぇ、『能力』とはまた違う力です。」


「なぜ、その遺骨を探しているんだい?」


「日本で『闇の軍』を名乗る団体が最近悪さをしていまして。それらを倒すのに協力してくれる者がいるのですが、それが要求してきたので。」


「なるほど、分かった。その遺骨はノルトハーヴェンにあるのか?」


「えぇ、8人魔法使いはいたらしいですが、そのうち4人の遺骨はすでに手に入れているらしく、残り4つがノルトハーヴェンに一つ、ニューヨークに一つ、南極に二つあるのは確定です。」


「分かった。少し待っていてくれ。」


 エリオットはそう言ってスマホを取り出し、誰かに電話した。


「もしもし?あー、俺だ。今からとある物を探してほしい。ノルトハーヴェンの中の何処かにあるそうだ。あぁ、給料は上げてやる。今やっている仕事は俺が全部引き受けとく。頼んだ仕事が終わったらいっぱい休んでもいいぞ。あぁ、頼んだよ。」


 エリオットはそう言って電話を切って、パソコンを少しいじった。おそらく資料を送ったのだろう。


「すげぇ...!ありがとうございます!」


「おっと、礼はまだ早い。コチラ側は君に協力をする。しかし、まぁ、代わりに君に頼み事があるんだ。」


「えっ?」


「取引なんだ。当然だろ?」


 エリオットはニヤリと笑う。ハルキはエリオットが本性を表したと思い、ゴクリとつばを飲む。


「俺の娘のことを調べてほしい。」


「...えっと...えっ?」


「そのまんまだ。俺の娘のことを調べてほしいんだ。」


「ちょちょちょ!てか娘いたのかよ!」


「あぁ、紹介しよう。イザベル・如月だ。」


..........ん?


 エリオットが出した写真と名前を聞いてハルキは困惑する。なんだ?滅茶苦茶日本人の顔をしている。長い黒髪で、淡い青色の瞳。顔たちは目の色以外は日本人の見た目で、ハルキはこの如月という少女が日本人とヨーロッパ人のハーフだと感ずる。で、もう一つ残る疑問は...


「見た目も似てないし、名前も全く違うし。本当にエリオットの娘なのか?コレ。」


「失礼だな。紛れもない俺の娘だ。『養子』だけどな。」


 あぁ、なるほど、養子か。となると、この娘は2年前の戦争によって家族を亡くしたパターンだな。だからエリオットの養子になってからまだ2年ちょい。となると、エリオットもあまりこの娘のことを知らないのも納得だし、知りたいのも納得。つまり、エリオットが俺に頼みたいことは...


「この娘のお友達になれば良いんですね?」


「おぉ、話が早くて助かるよ。そうだ。俺みたいな父親、それもぽっと出の知らない男にはどうも心をひらいてくれなくてね。もう2年以上経つのに。どうやら俺は嫌われているみたいでね。娘なのにあんまり知らないんだ。だから、イザベル・如月のお友達に君にはなってほしいんだ。」


「で、お友達になって如月ちゃんのことを俺に知ってほしい、と。」


「あぁ。同年代の方が話しやすいだろ?」


「それだけで社長さんの協力が手に入るなら、乗るしか無いでしょ!」


 ハルキとエリオットは握手をした。








 イザベル・如月の部屋にエリオットはノックした。会社の社長室の隣の隣にある部屋だ。すると、中から透き通るような声で少女の声がした。


「エリオットさん、何のようですか?」


 その話し方から、少女とエリオットの間にはかなりの壁があるとハルキは思った。あんなに接しやすいエリオットですらこの壁だ。ラクと接する時みたいなテンションで自分が現れようものなら、まぁ、嫌われるだろう。ここはキャラを偽って行くか。


「今日は如月ちゃんに会ってほしい人がいて...部屋に入れてもいいかい?」


 「.....良いですよ。」


 ハルキはそっと扉を開き、中に入る。きれいな部屋だ。だけど、女の子らしくない。モデルハウスの部屋のような空間で、彼女の趣味やこだわりがまるで感じられなかった。そこにはさっき写真で見たような、13歳の少女がベッドに座っていた。


「椅子に座って良い?」


 ハルキは如月にそっと聞いた。如月はコクリ、と首を縦に振った。


 ハルキはそっと座り、如月と向き合った。エリオットはそっと扉を締め、離れていった。 


 何を話そう。やべぇな。女子と二人っきりとか、それも年下と。経験したこと無い。何を話せば良いんだ?とりあえず、冒険談でも話すか。否、まずは自己紹介だろ!


「...まずは自己紹介、か。俺は佐倉ハルキ。16歳の日本人だ。あー、日本語はわかる?」


「わかる。」


「ならよかった。真剣組という組織に所属している。日本じゃ結構名が知れているんだ。風を操る能力で、いろんな悪い奴らとこれまで戦ってきたんだ。」


「...私はイザベル・如月。イザベルとも、如月とも、好きな方で呼んで。」


「じゃぁ、如月にさせてもらうよ。」


 その後、ハルキはいろんな事を話した。真剣組結成前のこと。ラクのこと。アラタのこと。トーナメントのこと。真剣組が結成したときのこと。カグヤのこと。ヒビキのこと。ミクのこと。マオリネットと戦ったこと。早乙女リリアのこと。早乙女邸での事件のこと。トモヤが死んだこと。カグヤが死んだこと。


 如月は真面目な顔で聞いていたが、カグヤが死んだことをハルキが離した時、少し表情が変わった。


「...その、カグヤさんが亡くなられた時、どう思いましたか?」


 初めて、ハルキの冒険談に如月が反応を示した。


「...そりゃー、ショックだったよ。けれど、俺よりもラクの方がショックだったろうな。実の弟で、それに兄が死ぬのを見ることしか出来なかったんだ。アイツは悔いていたよ。そして、怒ってた。シンにも、自分にも。俺も己の無力を感じたよ。俺はカグヤ先輩に逃された。戦場に立つことも許されなかった。」


 ハルキは切なそうな顔をした。


 すると、如月がそっとハルキの手を両手で包んだ。


「...私も、その気持がよくわかります。大事な人が危険な状況なのに、自分は何も出来ない。自分だけ生き残ってしまう。自分だけ、未来を生きろと残される。それがどれだけ苦しいことかも知らずに、シンでいく人たちは私に生きてほしいと言って死んでいく。」


 かれこれ30分ほど話していたが、如月が見せた、感情的な反応は初めてだ。


「...如月は、誰かを失ったの?」


 失言だった。普通に考えてエリオットの養子なんだ。2年前の戦争の孤児だ。失ったに決まってる。だからエリオットの養子になっているんだ。


「...お父さん、お母さん、お姉ちゃん、弟、飼い猫、ご近所さん、友達、先生、それから...」


「ストップ!ストップ!悪かったから!俺が悪かったから!」


 如月は自分が失った人たちを数えるのを止めた。


「...如月はさ、エリオットをまだ、親だと認めてないの?」


 これも失言だ。そんなこと分かってる。だけど、聞きたかった。エリオットのことを如月がどう思っているのか。それは知らないとダメだろう。だから、これはわざとの失言だ。


「...認められない。」


 ボソッと如月は言った。ハルキは深堀しようとする。


「なんで?エリオット、優しいよ?」


「優しすぎます。あの人は。あの人、指輪つけてるでしょ?」


「あぁ、つけてたね。結婚しているからだろ?」


「うん。奥さんがいたらしいの。それから娘さんも。」


 如月は一呼吸置く。


「二人とも、3年前に戦争で亡くなってるの。」


 正直、察していた。家族の話や過去の話になるとエリオットは悲しそうな顔をしていた。あの顔を見ていれば、なんとなく察することくらい出来る。養子をとったのもその寂しさを紛らわせるためだったのかも知れない。


「私はエリオットさんの家族の代わりにはなれない。エリオットさんがそれを望んでいても。エリオットさんは、凄く優しい。優しくて、親切で。だけど、無理をしていると思うの。本当は寂しくてしょうがないんだと思う。本当は泣きたいんだと思う。本当はまた、家族に会いたいんだと思う。」


 如月の目から涙が溢れ始めた。


「私は、2年前、家族を目の前で失って、瓦礫の中を途方もなく歩いている時にエリオットさんに出会ったの。エリオットさんは私を見つけて、抱きしめてくれたの。そして、『もう、大丈夫だよ。』って、言って、ここに連れてきてくれた。お風呂に入らせてくれて、着替えもくれて、ご飯もくれた。で、孤児院に預けようとしてくれたの。私はそれでもよかったんだけど、孤児院は戦後、子どもたちがいっぱいで。あまり環境も良いとは言えないってここの社員の人たちが言って。それで、この会社にエリオットさんの養子として暮らすことになったの。」


 如月が、初めて自分の話をした。


「エリオットさんはすごくいい人で、だからこそ私はあの人の優しさに触れるたび、罪悪感が込み上げてくるの。私は、ここにいていいの?本当にその優しさを受けるべき人物は私じゃない。エリオットさんの家族が受けるべきだった。なんで、なんで私が優しくされてるの?なんで...」


 ハルキは如月の頭をポンポンっと撫でた。如月の涙の量が多くなる。ハルキは何も、言うことが出来なかった。この娘の苦しみは自分には分からない。この娘の涙は、自分には分からない。だけど、泣いてほしくない。なんだか、胸が締め付けられた。


 それから、安心もした。


 なんだ、愛されてるじゃんか。エリオット。


 ただ、これは本人には言うまい。だって、こんなこと知ったらエリオットは苦しむ。もっと無理をする。あの優しい男にもう苦しまないでほしいという如月の思いを無駄にしてはいけない。これは自分と如月の、二人だけの秘密にしておこう。


「......大丈夫だよ。」


 やっと、その一言が言えた。







ノルトハーヴェンについて。

ノルトハーヴェン、もちろん実在しません。なんか、それっぽい名前を考えました。


 さて、ノルトハーヴェン編はハルキがメインのストーリーです。第3章の中では作者の構想段階では一番好きな話なので、頑張ります。ちなみにそれについで、NY編、南極編、大阪編という順番で好きです。第3章は南極編とNY編がノルトハーヴェンの後、続く予定ですが、どちらもノルトハーヴェン編と同じ時間の話です。南極編がラクがメインの話で、NY編がアラタがメインの話です。どれも普段の仲間から離れて、それぞれの成長があるので、第3章のサブタイトル、『それぞれの物語』まんまです。さて、ハルキのノルトハーヴェン編での成長、見守ってください。

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