(11)
昼休憩時、オストレアはモラに引っ張られて寮を出た。
周囲の視線が痛い。自分をちらちら見ては眉をひそめ、また嘲る空気に居たたまれず、オストレアはうつむいた。
「連れてきたわ」
モラの明るい口調に顔を上げると、草場にカエルラ・マールムの班員がそろっていた。何事かと困惑したオストレアを、ソンリッサたちが笑顔で迎える。
「モラ姉さん、いったい何があるの?」
「歌玉で遊ぶのよ」
八人で輪になって座り、モラが遊び方を皆に説明する。最初に一音で作った玉を、順番に歌ってふくらませていく。そしてどんどん大きくし、最後に破裂させた人が負けだ。
「どこまで歌うかは自由だけど、音程が悪いと形がいびつになって割れやすくなるからね」
モラの注意に仲間たちがやや緊張した面持ちになる。遠巻きに見物人が集まってくる中、何の歌にするか話し合い、モラが片手におさまる程度の玉を作った。
「はい、じゃあオストレア」
歌玉を渡され、オストレアは班員を見回した。七人の視線を浴び、軽く息を吸って歌う。安定した歌声できれいな球になり、感嘆のどよめきが起きた。両手で包めるほどの大きさの歌玉をオストレアが隣のカシェに渡す。人前で歌うことに慣れていないので顔がこわばっていたが、カシェも音を乱すことなくほんの少しふくらませ、エグルにつないだ。
エグルもそつなくこなし、タオヘンに渡す。タオヘンが空咳をして声を張り上げた。
「タオ先輩、上手」
予想外のうまさにオストレアが目をみはったとき、エグルがタオヘンの脇腹をつついた。歌の最中に笑ったせいで音程が崩れ、歌玉の一部がこぶのようにぽこんと飛び出た。
「エグル! この野郎!」
せっかくの俺の美声が、とタオヘンが怒りつつ、顔よりはるかに大きくなった歌玉をマスィーフに送る。
マスィーフは――音痴だった。歌った範囲は短くても歌玉はあちこちが変形し、オストレアたちは笑った。
「すまん。歌は苦手なんだ」
恥ずかしそうに耳まで赤く染めながら、マスィーフがタキュスに歌玉を渡す。
「どこまで大きくできるんだ?」
タキュスの質問に「まだまだいけるよ」とモラが答える。もはや原型をとどめていないいびつな形の歌玉をじっと見つめ、タキュスが歌った。
初めて聞いたが、よく通るいい声だなとオストレアは感じ入った。タキュスのことだから小声でさっさと終わらせるかと思ったのに、ほどよい長さを歌い切ってソンリッサに預ける。ソンリッサも無難にやり過ごし、受け取ったモラが抜群の歌唱力でさらにふくらませた。
見物はどんどん増えている。ルボル・マールムの班員も来た。
オストレアはカシェをちらりと見た。いたずら心がわき、澄んだ高音を高らかに響かせる。
「えっ、ちょっと、オストレア!」
一気に倍近くなった歌玉にカシェはおののいている。これは絶対に割れると誰もが構えたが、カシェは見事に回避した。
「さすが半避役族」
謎のほめ言葉を吐き、エグルが真顔で歌玉をもらう。ここまでくれば後は短く歌って乗り切るしかない。深呼吸をしてエグルが歌いだしたところで、仕返しとばかりにタオヘンがエグルの耳に息を吹きかけた。
「ふぁっ……!?」
語尾がはねあがった瞬間、歌玉が勢いよく破裂する。中にたまっていた歌声がエグルを取り巻いてくすぐりまくり、消えていった。
仰向けに倒れてぐったりしているエグルを見て、見物していた生徒の間で爆笑がはじける。オストレアたちも笑い転げた。
歌玉遊びはもう一回やった。終わる頃には、オストレアの気分はすっかり浮上していた。
それからの数日間、昼休憩のたびにカエルラ・マールムは集まり、八人でいろいろなことをした。時にはルボル・マールムや他の友好的な班も加わり、にぎやかに過ごす。半魚族を中心に合唱することもあり、ニグレードー・マールムのルビーナが偶然通りかかったときはモラが引っ張り込んで一緒に歌った。楽しい雰囲気に触発されたのか、ずっと沈鬱な表情だったルビーナにも変化が表れ、オストレアは昼休憩以外でもルビーナと言葉を交わすようになった。
オストレアがカエルラ・マールムの一員として認められ大事にされているのが伝わるにつれ、悪罵は減っていった。さすがのジェローシアも突撃してくる勇気はないらしく、安らげる環境の中でのびのびと披露するオストレアの歌声に、聴衆は魅了された。
そんなとき、『リンゴの乙女』の立候補が締め切り日を迎え、再びメソス・スコラ内はざわついた。
今年名乗りを上げたのは二人いたのだ。
一人はジェローシア。そしてもう一人は、オストレアだった。
「何なの、あの子!」
通りがかった生徒からの応援に困り顔で歩くオストレアを、中央校舎二階の部屋の窓から見て、ジェローシアは歯ぎしりした。
噂では、本人は申し込みをした覚えがないという。事実なら、誰かがオストレアの名前を勝手に書いて受付箱に入れたのだ。
オストレアへの嫌がらせではという意見もあった。ジェローシアも最初はそう考えた。ただの生徒が総母の自分に勝てるわけがないと。
しかし、メソス・スコラの雰囲気は想定外の流れを見せた。オストレアを推す声がいたるところで上がるようになったのだ。
慌てて敷地内を回り、リンゴの匂いとともにあでやかな笑みを振りまいた。男子生徒たちがかたまって談笑している場に立ち寄り、優しく言葉をかけながら豊かに実った胸元をちらつかせると、その瞬間だけは視線を引きつけるものの、オストレアの居場所がわかるやいなや、男子も女子もそちらへ移動していく。
「ジェローシア、落ち着け」
寄ってきたサエウムが両肩に触れる。顔をのぞき込んできた相手にジェローシアはしなだれかかった。
「だって悔しいわ、サエウム」
どうしてみんなあんな子に夢中になるの、と語気荒く吐き捨てる。
「みんな、じゃない。俺は君しか眼中にない」
たくましい腕でジェローシアを抱きしめたサエウムが、首筋に鼻をつける。
「いい香りだ、ジェローシア」
サエウムが吐息を漏らす。痣に口づければ口づけるほどリンゴの匂いに酔うようで、一番自分に触れているサエウムはすっかり虜になっている。
ここまでになれば、サエウムは決して裏切ることはないだろう。しかし、取り巻きにあと一歩及ばず少し離れてついてきていた生徒は数人、離脱した。それどころか、取り巻きの中にも心変わりした者がいる。すぐそばで両膝をつき、後ろ手に縛られてうつむいている半鼢族がまさにそうだ。近頃来る頻度が減ったと思っていたら、オストレアの歌を聴きに行っていたのだ。
ブジャルドが表現したオストレアの色香は、どうやら歌っているときに発揮されているらしい。
総母の子の才能を侮っていた。まさか自分が劣勢に転じるなど。
オストレアを貶めた過去の出来事はもはや効力を失っている。カエルラ・マールムが一丸となってかばい守ったせいだ。オストレアに嫉妬していた女生徒たちも、むだに彼女を悪く言えばエグルたちに嫌われると悟り、おとなしくなった。
これ以上手をこまねいていては取り返しのつかないことになる。
彼女から失態を引き出せないのなら、排除するしかない。
「私のために、一仕事してくれる?」
あなただけが頼りなのと甘やかにささやきながら、ジェローシアはサエウムの手を自分の胸に導いた。唇だけでなく、指でも感触を確かめることを許されたサエウムの瞳がはっきりと欲情を示す。
「うまくやってくれれば、修了証を待たずにあなたを選ぶわ」
「本当か?」
サエウムがますます喜色を浮かべる。すでにジェローシアを手に入れたつもりでいるらしく、胸乳をつかんで勝手に痣に接吻した。
「待って。まだよ。やるべきことが終わったら……ね?」
サエウムが不満げにうなる。仕方ないわねと、ジェローシアは初めて唇を重ねた。これまで誰にも触れさせなかった部分にサエウムを受け入れると、目をみはったサエウムはすぐに食いつき、むさぼりはじめた。
オストレアの肩をもつエグルやタキュスにも、もう執着より憎しみがわいてきた。総母をないがしろにする男は許さない。
オストレアも――調子に乗って自分と張り合おうなどと生意気な欲をもったことを、絶対に後悔させてやる。
傍らで跪きうなだれている男子生徒を流し見ながら、思いついた制裁にジェローシアは褐色の瞳を細めた。
もう大丈夫だろうということでカエルラ・マールムの防御壁は取り除かれ、オストレアはまたカシェと二人で行動するようになった。何かあればいつでも力になってくれる仲間がいるというのは本当に心強いと身に沁みた。カエルラ・マールムに加入したから注目されてしまったのは確かだが、この班に配属されてよかったと今は思う。
「オストレア、応援してるから頑張れよ!」
放課後、図書館からの帰り道にオストレアは知らない男子生徒数人に手を振られ、ぎこちない笑顔でぺこりと軽く頭を下げた。
いつの間にか『リンゴの乙女』に立候補していたと知ったときは驚き、混乱し、どんよりしたが、身の程知らずという悪口は耳に届かなかった。むしろ、通りすがりに励まされることが増えている。
いったい誰が申し込んだのかはわからないままだ。カエルラ・マールムはもちろん、ルボルもニグレードーも、ファルベやブジャルドも否定したから。
最初は誰かのいたずらだと腹を立てていたモラたちも、こうなったら勝つわよと意気込んでいる。もはや知名度ならジェローシアにも負けていないかもしれない。
ただ、絶対にジェローシアは激怒しているはずなので、接触しないよう十分に注意していた。
「もっとのんびり穏やかな生活を送る予定だったんだけどなあ」
空に向かってため息をつくオストレアに、カシェが苦笑した。
「戦闘科は忙しいし、芸術科も睡眠不足になりやすい。オストレアが最初に希望した知識科が一番平和かもね」
ファルベとブジャルドは、ジェローシアがオストレアの過去を嫌味たらしくぶちまけた後も態度を変えなかった。もともとブジャルドには色合わせのときに少し話していたのもあるが、他の生徒が非難がましい目で見ていた間も二人は心配してくれた。
タキュスが懸念していても、自分にとってブジャルドはやはりいい友達だ。
今日の夕食は何だろうねと話していたとき、不意に脇から人影がさした。
「カエルラ・マールムのカシェはお前か?」
赤褐色の髪の大柄な男子生徒が立ちふさがる。いつもジェローシアの隣にいる戦闘科の生徒だとオストレアは気づいた。
「ルボル・マールムのイレイズが探してたぞ」
同じ半避役族の先輩の名にカシェが反応する。
「……用件は何か聞いていますか?」
「さあな。必死だったのは確かだがな」
男子生徒がくるりと身をひるがえす。彼が中央校舎に入るのを見届け、オストレアは「私は走れないから、先に行って」と勧めた。
「でも、オストレアを一人にするのは……」
「大丈夫よ。寮はもうすぐそこだし、あの人もいなくなったもの」
何かあれば叫ぶわと笑い、オストレアはカシェをせかした。
「私は一度部屋に本を置いてから食堂に行くね。あまり遅ければ確認に来て」
もし自室に本がなければ、まだ戻っていない証拠だと告げると、カシェは渋々といったさまでうなずいた。
「……うん、わかった」
カシェが瞬間移動で遠ざかっていく。それを見送ったオストレアは一人でゆっくり寮へ向かおうとして、はっとした。中央校舎から再び男子生徒が現れたのだ。
怖くなって逃げようとしたが、足の遅いオストレアはあっという間に追いつかれた。
「声を出せば、のどをかき切るぞ」
そばの大木にオストレアの背中を押しつけ、男子生徒がのどもとに短剣を添わせる。
「ついてこい」
「……嫌です」
「ブジャルドがどうなってもいいのか?」
震えながらでも懸命に強気の姿勢でにらみ上げていたオストレアは吃驚した。
「ブジャルドに何をしたんですか?」
「強情な奴だからちょっとお仕置きをした。でもあのまま帰すといろいろ面倒だ。お前の『癒しの歌』で治してやれ」
あそこまでひどいと治療室に連れていきにくくてな、と男子生徒が薄く笑う。
そんな大けがを負っているのかと、オストレアは蒼白した。
「それと、『リンゴの乙女』の辞退届も書いてもらう」
えっ、ととまどうオストレアを男子生徒が目でうながす。先に歩き出した彼をオストレアは追った。
「別にお前の意志で立候補したんじゃないんだろう? だったら退いてくれ」
まっすぐ前を向いたままの男子生徒の横顔をオストレアは見上げた。
「ジェローシアは今、ずいぶん落ち込んでいるんだ。四年間『リンゴの乙女』に選ばれるために本気で努力しているのに、それを遊び半分で邪魔されたくはない」
ジェローシアの取り巻きはみんな彼女を飾るだけの存在かと思っていたが、この人は心からジェローシアを想っているのか。
「……これ以上私や友達に嫌なことをしないと約束してくれるなら、書きます」
私もジェローシア先輩と喧嘩したいわけじゃないのでと答えたオストレアを、男子生徒が横目に見やった。
「すまんな」
ただの傲慢な人ではなかったらしい。でもブジャルドを傷つけたのは許せないし、できればもう関わりたくない。早く助けて終わりにしようと、オストレアはできるかぎり急いだ。
案内されたのは、芸術科舎の地下倉庫だった。授業の後にでも捕まったのだろう。暴行され血まみれで床に転がっているもぐらを目にし、オストレアは息をのんだ。
「ブジャルド!?」
近寄って頭をなでるが、もぐらはぐったりとして動かない。
「待ってて、すぐ――」
『癒しの歌』を歌おうとして、オストレアはもぐらの腹の下にある色付き眼鏡に気づいた。
(茶色……?)
ブジャルドの眼鏡は黒だ。
疑念がわいた瞬間、背中を蹴られた。もぐらに折り重なるように倒れたオストレアは、腕をつかまれて後ろで縛られた。
驚いて肩越しにかえりみると、自分を捕縛した男子生徒の背後からジェローシアが現れた。
いつも垂れ流しているリンゴの匂いがしない。犯行がばれないよう、封じているのか。
「まんまと引っかかってくれた、かわいいお魚さん」
ジェローシアが艶やかに微笑した。
「さすがに本来の姿だと見分けがつかなかったようね」
「……この人はブジャルドじゃないんですね」
眼鏡が違うわ、と言うオストレアに、ジェローシアは褐色の瞳を細めた。
「その通りよ。彼は私の取り巻きだった人。でも今は、あなたの歌声のほうが好きみたい」
だから制裁をくわえたのとジェローシアが答える。
ここまでひどいことをしなくても、という非難が顔に出たらしい。ジェローシアは鼻を鳴らし、オストレアをねめつけた。
「純真無垢なふりをして狡猾な子。私を蹴落とすために自分の得意分野を振りかざして、さぞかし気分がよかったでしょうね」
「私は『リンゴの乙女』になりたいなんて思ってません。その人からも辞退届を出せって言われたんです。自分で書くので縄をほどいてください」
「その必要はないわ」
ジェローシアの合図に、男子生徒が隅の棚から小瓶を持ってきてふたを取り、オストレアの前で膝をついた。
「お前はここで死ぬんだよ」
オストレアのあごをつかみ、男子生徒は無理やり中の液体を口に流し込んだ。むせて吐き出そうとしたオストレアの口を押さえ、強引に飲ませる。
どくん、と心臓が大きく脈打った。全身がかっとほてり、体の変化を感じる。
元に戻る? ここで――!?
「嫌っ」
オストレアは恐怖にもがいた。水のない場所で戻れば大変なことになるのに、自分の意志に反して足が尾びれに変わっていく。
「俺は行くが、一人で大丈夫か?」
「ええ、ありがとう、サエウム」
あなたは本物をお願いね、とジェローシアが軽く男子生徒に口づける。男子生徒はオストレアを一瞥し、ジェローシアに空瓶を預けて倉庫を出ていった。
下半身に鱗が現れはじめ、オストレアはいよいよあせり、懇願した。
「お願い、助けてっ」
しかしジェローシアは酷薄な笑みを浮かべるばかりだ。見殺しにするつもりの相手の前で、何とか縄を解こうと身をくねらせて床にこすりつけるうち、右の耳飾りが外れた。
ジェローシアが驚愕のさまで息をのむ。オストレアからあふれるリンゴの香りに、そばにいたもぐらも鼻をひくつかせて身じろいだ。
「なっ……」
ジェローシアはオストレアのシャツを破くようにして胸元をひらいた。しかし痣はなく、ジェローシアは安堵まじりに嗤笑した。
「歌だけじゃなく、こんな仕掛けまで用意していたの? 痣はこれから描くつもりだったのかしら? 偽物の匂いでみんなをだまそうとするなんて、卑劣にも程があるわ」
水。水が欲しい。オストレアは苦しさにのどもとをかきむしりたい衝動にかられた。
「さすがは自分の母親までバルバルス・オースに差し出し――」
そこでジェローシアの視線が、まだ左耳についているもう一つの耳飾りをとらえた。暴れるオストレアの胸を膝で押さえつけ、ジェローシアが残った耳飾りもむしり取ると、胸にリンゴの痣が浮き上がった。
「……嘘」
ジェローシアが唇をわななかせた。
「ちょっと、冗談でしょ。あなた本当に総母だったの……?」
耐え切れずオストレアは跳ねた。はじき飛ばされたジェローシアが床に尻をつき、手にしていた空の薬瓶が落ちて割れる。
声がかれて叫べない。呼吸ができない。
のたうち回るオストレアを呆然と見ていたジェローシアは、やがて暗くすさんだ笑みを広げた。
「ふ……ふふっ。あはははっ」
ジェローシアはゆらりと立ち上がった。
「まさか総母だったなんてね。それならなおさら生かしてはおけないわ」
総母として皆を魅了するのは自分一人で十分だと、ジェローシアはオストレアを見下ろした。
「私が受けた屈辱を、ここでもだえ苦しみながらあなたも味わえばいいわ」
ついに肌がひび割れはじめた。
「あなたは姿を消した。きっと近頃メソス・スコラを荒らしている半蛇族の餌食になったに違いない。そう噂される」
そこのもぐらもね、とジェローシアは自分の取り巻きだった男子生徒に蔑視を投げた。
「明日の朝、また会いましょう」
これまで大勢の男子生徒を誘惑した極上の微笑を最後に、ジェローシアが倉庫を出ていく。
助けを呼ぶこともできない。あえぐことさえできなくなり、体がぴくりぴくりと痙攣する中、オストレアは絶望にうちひしがれた。
苦しい――誰か……。
助けて、と心でつぶやいた先に半馬が脳裏をかすめる。体中の水分が減って涙さえ出ない中、オストレアは意識を失った。




