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第121話見つけますか?

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 三階にはすぐに辿り着いた。


 暗い。途中の階段、廊下に見つけられたのは非常灯の僅かな明かりのみで、あとは夜の闇と静寂が広がったまま。


 これも愛羅が指示したのだろう。一応彼女には、「さくらい」から送り出す前にこの世界での――『アンデッド・ゲーム』での鉄則を伝えていた。

 ゾンビの行動原理、弱点はもちろん、集団で動く際の注意点まで。


 建物に逃げ込む時は、屋内に人の気配を外から悟られないようにする、というのも事前に教えておいたことだ。


 大声に照明。それらによって、屋外にいる他のプレイヤーを招き入れてしまうなどリスクでしかない。悪意ある者達との衝突、そうでなくとも意図せずゾンビの侵入を赦して全滅することだってあり得た。後者は、未だゲーム序盤では高い確率であり得る話だ。


 無論、あくまで生存率を少しでも上げるための行動であって確実なものではない。

 そういったことは起こるときには起こる。だから「できるだけ」でいい。


 皮肉にも愛羅は、まだ袈刃音の言いつけを忠実に守っているようだった。


「……っ、ん?」


 足音を殺しながら歩を進めていると、廊下の先の部屋だろうか、何やら声が聞こえた。

 近づいてみるとドアは閉まっていたが、確かに聞こえる。


『それで、明日からはどうする?袈刃音は見つかんなかったし、ここにずっと居座ってるわけにもいかないもんねぇ』


『取り合えずは食料と水、だと思います。コンビニとか、スーパーとかできるだけ保存の利くものを手に入れて、近くに安全に隠れられそうな場所があれば――』


 朱音の――袈刃音の母親の声だった。

 もう一つは、愛羅の。いや、それ以外にも聞こえる。

 父親の頼りなさそうな声も、旭の両親の声も。


 皆、生きている。


 そのことが分かって、けれど、この目にするまでは完全には信じられなくて、少年は無意識にドアノブに手を伸ばしてしまった。


「袈刃、音……?」


 不意に襲ってきた真っ白な光で目が眩み、だが、あとから届いた声に袈刃音は思わず目を見開いた。振り向いた。

 視界のほとんどを懐中電灯の明かりに塞がれつつも、少年はその奥にある少女から目が離せなかった。


「……っ!?」


 腰ほどまで伸ばした艶のある栗色の髪。

 くりくりとした茶色の瞳。


 見慣れた制服を着た体は袈刃音よりもやや低く、かつ、すらりと細く……。


 その姿を見間違うはずもない。

 もう二度と死なせないと誓った幼馴染を、朝比奈旭を。




【・ご案内】

 下の★★★★★の部分は、読後、ぜひ本作の評価にお使いください。

 ブックマーク、感想などもよければ。


 作者のモチベーションとなります。


 《完了》





【次の話へ進みますか?】

【→はい/いいえ】

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