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「みーつけた!」
2人が神器を出す前に、再びあの男が3人の前に現れた。
凛太朗は2人の前に出て、ハンマーを出した。
「ぼ、僕がなんとかするから、2人は逃げて……!」
「はぁ?だーかーらー、俺たちが……」
時雨が言い終わる前に、男は笑い出した。
「あはははっ!!!最弱のハンマーで何する気だよ!!小細工くらいしかできないくせに!あはははっ!!」
「最弱?」
雄大は不思議そうな顔で凛太朗を見た。
「あ、うん。僕のハンマーは最弱って言われてるんだ。他の神器と違って当てないと攻撃できないから。」
凛太朗のハンマーは打撃しか攻撃手段がなく、光の筋などが出ることはない。
「あははっ、なにそれ~?神の武器なんてすごそうなの持ってるのに、最弱!オタクくんらしいね~!」
時雨は馬鹿にした様子もなく、ただおもしろそうに笑っていた。
「だからさ、さっさと寄越せよ!ついでにその最弱の神器ももらってやるからよ!」
男が動き出した。
「あー、そうだ。おまえの神器って攻撃を跳ね返したり、神器を吹っ飛ばしたりできるんだっけ?でも、そんな小細工でどうにかなるほど、神器同士の戦いは甘くねーんだよ!」
男は馬鹿にしたような口調で一気に間合いを詰めてきた。
凛太朗のハンマーは、ほぼ直接攻撃とカウンターしかできないのに、接近戦に持ち込まれると不利になる。
凛太朗のハンマーが直接攻撃ができるのと同じで、当然他の神器も直接攻撃ができるからだ。
ハンマーと斧の力の差は歴然である。
凛太朗は防御の構えを取った。
「無駄!無駄!」
そして、近接戦では、運動神経の差が浮き彫りになる。
男は凛太朗の頭に振り上げていた斧を素早く下ろし、腹の横を狙った。
インドアな凛太朗が男の攻撃に反応し切れるはずもなかった。
ドォォォォン!!!
大きな音が響き渡る。
しかし、凛太朗は痛みを感じなかった。
凛太朗はゆっくり目を開けた。
「ふぅー、なんとか間に合ったな。岡村、大丈夫か?」
雄大は、小さな体に不釣り合いなほど大きな剣を下向きに持って、地面に突き刺していた。。
青く光り輝くその大剣は、雄大の身長と同じくらいはあると思えるほど大きく、細い雄大が持ち上げれるはずもないほど太く重そうであった。
「ゆ、雄大くん!?」
凛太朗はかなり驚いている様子だった。
「わぁお!まるでヒーローだね~!」
時雨がのんびりとした声を上げた。
そんな時雨の手元には橙色に光り輝く弓が握られていた。
凛太朗のハンマーも雄大の大剣もそうであったが、神器というだけあってかなり幻想的な造りであった。
「え、え、え、え?神器?」
凛太朗はもう神器を出せたことと、あの状況で雄大が乱入できたことにひどく驚いているようである。
「へぇ~、なるほどね。神器に選ばれただけはあるってことか。でも、さっき神器を手に入ればかりの新参者に倒されるほど俺は甘くないんだよ!!」
男は再び斧を振り上げた。
今度の狙いは雄大のようだ。
雄大は、絶対持ち上げれないと誰もが思うほど、不釣り合いに大きい大剣を軽々と持ち上げて、男の攻撃を防いだ。
ドォォンという音と共に風圧が起こった。
男の顔はまだにやにやしたままであった。
しかし、そんな男の顔の目の前を光る何かが過ぎった。
橙色に光り輝く矢であった。
顔スレスレを過ぎった矢に命の危険を感じた男は後ろに飛び退いた。
雄大が間合いを詰めることはなかったが、男から意識を逸らさない。
「あはは~、言っとくけど、外したのはわざとだから~。俺一応中学では弓道部に入ってたんだよね~。最初は『なんで弓だけ~?』って思ったけど~。」
時雨は綺麗な立ち姿で弦を引いた。
すると、光り輝く矢がそこに現れた。
「さ~て、雄大の運動神経に俺の弓道の技術の二つを相手しても、まだ勝てると思う~?」
「チッ」
男は舌打ちをして、帰っていった。
凛太朗は地面に座り込んでいた。
さっきの雄大と男の爆風で吹き飛ばされて、尻餅をついた状態のまま、呆然としていたのである。
雄大はそんな凛太朗に近づいて、大剣を持っていない方の手を差し出した。
「大丈夫か?」
時雨も凛太朗に手を差し出す。
「情けないね~。」
凛太朗は差し出された二つの手を呆然と見つめて口を開いた。
「ど……して……僕たち直接話すのも今日が初めてだし……2人は僕に巻き込まれただけなのに……」
雄大は笑って言う。
「だって、おまえなんかほっとけないし。」
時雨は悪巧みをしていそうな笑顔で言う。
「おもしろそうだったからね~。」
凛太朗は2人を見て、2人の手を見た。
「………ありがとう。」
凛太朗は笑って2人の手を取った。




