4
3人は学校から離れた公園に着いた。
時雨と雄大はそこまでではないが、凛太朗は息も絶え絶えであった。
「んで~?なんなのこの状況~?」
「ご、ごめん……まさか、学校に、まだ、人がいるなんて、思ってなくて……」
「どういうことだ?さっきの男はなんなんだ?あと、あの男とおまえが持っていたあの光る武器はいったい……?」
2人は巻き込まれたにもかかわらず、意外と冷静である。
逆に凛太朗の方がおろおろしている様子だ。
「あ、これは、『神の武器』通称『神器』……」
「神の武器~?なにそれ厨二じゃーん!」
「そう思うのも仕方ないんだけど、本当に神の武器なんだ。詳しいことはまだ誰も知らないんだけど、僕らはそう思ってる。」
「つーまーりー、あいつはあんたが手に入れた神器がほしいってことでしょ~?あげればいいんじゃない~?」
凛太朗は両手を握り締めて俯いた。
「だめだ……」
「なんで~?」
「あの人は絶対に神器を悪用する。僕のせいで誰かが傷付くなんて嫌だ。」
「うっわ~!厨二発言出たよ!てかさぁ~、絶賛俺たちが巻き込まれてるんだけど~。」
「ご、ごめん。」
「岡村、とりあえず今日はもう帰ろう。話はまた明日にすればいい。」
「そういうわけにはいかないんだ。すぐに追いつかれる。」
時雨は不機嫌そうな顔をさらに歪めた。
「どういうこと~?さすがにここまで追ってこれないでしょ~?」
「神器同士が近づくとお互いに共鳴するんだ。だから……」
「じゃあ、俺たちがオタクくんと離れたら、問題ないじゃーん?ってことで、帰るね~。」
雄大は真剣な表情で凛太朗を見つめた。
「俺は帰らない。」
雄大の言葉に時雨は怪訝な顔をする。
「何言ってんの~?」
「こいつを1人見捨てて帰るなんて後味の悪いこと俺はしない。」
凛太朗は大きく目を見開いた。
「あははは、さっすがー、男前な雄大くんの言うことは違うね~。んじゃ、俺は帰るね~。」
時雨はスタスタと歩き始めた。
「ま、待って!時雨くん!」
凛太朗は時雨をまた呼び止めた。
「なにー?まだなんか用~?男前な雄大くんが付き合ってくれるんだから、それで満足でしょ~。」
時雨は立ち止まって、少しだけ振り返って言った。
「あ、その、言いにくいんだけど……。僕は神器を見つけたすぐ後にあの人に会ったんだ。」
「それが俺に何の関係があんの~?」
「それで……僕は僕の神器で2つの神器を学校の方に飛ばしたんだ……」
「え?じゃあ、俺たちが見た光って神器だったのか?」
「はぁ~!?あの光だったら、俺たちの真上に落ちて来たけど、武器なんてどこにも……」
時雨はハッとして凛太朗の方に体を向けた。
「つまり、君たちは今日から神器使いになったんだ……」
2人はしばしば無言であった。
2人とも真剣な表情をしていた。
時雨なら、さらに表情を歪めて文句の一つや二つ言ってくると思っていたので、凛太朗はどうしたんだろうと思った。
「とりあえず、俺たちは神器なんて見た覚えもないんだが……岡村がやったように出せたりするのか?」
雄大が凛太朗を見上げて言った。
凛太朗はゆっくり頷いた。
「うん。たぶんもう契約は済んでる。肩のとこに印があるはずだよ。」
2人は袖をまくって自分の肩を見た。
2人の右肩にその漫画に出てきそうな印はあった。
「うっわ~!なにこれダサー!こんなオタクっぽい印嫌なんですけど~!」
「あ、け、契約の破棄には手順があるんだ……。だから、今すぐは無理で……」
またオドオドして凛太朗は言った。
2人を巻き込んでしまったことに負い目を感じているようである。
一方、なぜか雄大は冷静だった。
「で、どうやったら、神器は出てくるんだ?なんか呪文とかいるのか?」
戦う意思があると言わんばかりの雄大のセリフに凛太朗はひどく驚いた様子だ。
「あ、いや、そんなものはいらないけど…………戦うつもりなの?」
「ん?だって、追いかけてくるんだろう?」
「で、でも、そんな急に……それに元々巻き込まれただけなのに……!」
はぁーとため息を吐いた後、雄大は大きく息を吸って口を開く。
「俺は目の前で危ない目に遭っているやつを見殺しになんかしない。」
凛太朗はもう目を見張るのも忘れて、呆然と雄大を見つめた。
「あはははっ!相変わらず中身はイケメンだね、雄大くんは!」
時雨は心底おもしろそうに笑う。
「しっかたないなぁ~。俺も付き合ってやるよ。」
時雨のセリフにさらに凛太朗はさらに混乱を深めた。
「……え?……え?……な、なんで?」
時雨はいつものへらへらした笑顔ではなく、悪戯っぽく笑って口を開く。
「だって、おもしろそうだし~?」
「あ、相手は、神器を奪うためなら、何でもするような人だよ……?」
「そんなことはいいから~。神器ってどうやって出すわけ?」
「え?えーと、ただ『神器出てこい!』みたいなことを心で思えば…………」
凛太朗は急かされてとりあえず答えた。




