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4

かぐやは何かを我慢するかのように目を伏せて口を開いた。



「わたしくは本気で自分のために死んでくれる人を探していたわけではありませんわ。」



「だから、言ったろ?死ぬつもりなんてなかったって。好きな女の前で無様に死ぬなんてヘマはしねーよ。」



「それならどうして……」



「少しでもおまえが安心するのなら何度だってやってやる。まぁ、でも……こんなことでおまえの不安がなくならないことを知っている。」




さっきからほとんど自分抜きで話が進んでいることにチャラ男がブチ切れた。



「あーもー!さっきから何をごちゃごちゃと!おまえみたいな猿ごときに鳥類はもったいないんだよ!俺がちゃんと使いこなしてやるからよぉ。さっさとこっち来いよ!」



もう面倒になったチャラ男はかぐやの腕を掴もうと迫った。


たどり着く前に男は彼女の前に出た。



「猿か。おまえ本当に……」



「はぁ!?いいから退け!」



男は呆れたような態度を取った後、鈴香の腕を掴もうとするチャラ男の手を叩いた。



「こいつに触るな。」



男の頭から2つの丸っこい耳が出てきた。


チャラ男は興奮のしすぎでとっくに耳が出ていた。



「は、あんた猿じゃねーの?まぁ、いいや、同じネコ科に俺が負けるわけねーし!」


チャラ男は余裕の笑みを浮かべていた。


しかし、かぐやは驚いたように男の顔を見つめていた。



「今日は随分と表情豊かだな。」



男はチャラ男を向ける無表情ではなく、穏やかな表情を彼女に向ける。



「あなたまさか……」



「のろけてないで来いよぉ!ビビったか?あはははっ」



男は無表情にチャラ男を見る。



「おまえさ、獣のくせに喧嘩売っていい相手も選べないのか。」



「はぁ!?なにを……」



チャラ男はハッとした。






「臭いを振り撒くような雑魚と一緒にするな。」






低く威圧がある声で男は言った。

男が纏う空気が変わった。


圧倒的強者の威厳だ。







「う、うそだ!そんな馬鹿な……」



「おまえにもわかりやすく臭いを出してやったんだ。」



「ひっ!あ、あんた、ひゃ、百獣の王……!」



チャラ男の顔は真っ青だった。

無理もない一獣の身分で獣の王に喧嘩を売ったんだ。

体の震えが尋常ではなく、立っているのがやっとのようだ。



「な、なんで……臭いなんてしなかったのに……!」



「そんなことも知らないのか。力がある者は臭いを完全に消せる。臭いを撒き散らすようなまねはしない。」



男は一歩前に出た。

それだけでチャラ男は恐怖のあまり卒倒しそうになっている。



「さっさと去れ。2度とこいつの前に現れるな。」



「ひっ」



チャラ男はがむしゃらに逃げた。




かぐやは男に近づいた。



「まさかあなたがライオンだったなんてね。」



男は振り返って口を開く。





「ああ。だから、おまえを守ってやれる。」





男は彼女が鳥類なのは知らなかったが、彼女がいつもどこか不安げなのを知っていた。

彼女が決して他人を近づけさせないことも。

そんな彼女が唯一側に置いたのが自分であり、彼女自身にも自覚がなかったその理由も。

彼は全部知っていた。





「そろそろ観念しろよ。俺のかぐや姫。」





男は優しく彼女を抱きしめた。

普段の無表情からは想像できないほど優しい顔でふんわりと彼女を包み込む。




無表情を保っていたかぐやであったが、ふっと表情が軽くなった。





「仕方ありませんわね。」





男からかぐやの表情は見えないが、かぐやが穏やかな表情を浮かべているのはわかった。

見れないのが残念だと思いつつ、2人は愛おしい体温を感じていた。

飛び降りるという行為から連想したお話です。


飛び降り告白とか斬新じゃありませんか?

(なかったら、すみません。)




告白してきた相手に無理難題を突き付けるなんてまさにかぐや姫って感じがします。



かぐや姫は月に帰ってしまうから無理難題を突き付けたのですが、かぐやは自分と一緒に入れば危険に巻き込まれるという心配、鳥類ゆえの人間不信から人を遠ざけているんです。




この話はこれで終わりですが、ちょっとした後日談くらいなら書くかもしれません。

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