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「何やっているのよ!」





男に続いて飛び降りた彼女は男を掴もうと必死に手を伸ばした。


それに応えて男も手を伸ばした。




「だって、飛び降りたらいいんだろう?」



「だから……!」




彼女の手はようやく男の手に届いた。



その瞬間彼女の背中から大きな翼が生えてきた。





彼女の華奢な体とは不釣り合いに思えるほど大きな翼だが、彼女にこそふさわしいと言わんばかりに彼女の美しさを引き立てていた。


一部は黒で他は雪のように真っ白な翼だった。







かぐやの翼で2人は屋上に戻った。





「あなた死んだらどうするつもりですの!」




かぐやは今までに見たことない表情で声を荒げていた。



「死なねーよ。おまえが本気で誰かを死なせるようなこと言うわけないだろ。」



かぐやは怒りと様々な感情が入り混じり言葉が出ないようである。



「まぁ、まさか羽が生えているとは思わなかったがな。」




そこでチャラ男がハッとした。



「そうだ!羽!あんたまさか鳥類か!」



羽を持ち空を飛べる動物なんて鳥類しか考えられない。



「な、なんの鳥だ!?白なら白鳥か!」



「いや、下の方は黒いし……鶴か?」



「そうですわ。」




男は至って冷静だったが、チャラ男はひどく興奮していた。


かぐやは少し落ち着いたみたいである。



「なぁ!あんた!あんたのためならどんな高いところからでも飛び降りるし、どんな宝石でも盗み出してやるよ!だから、俺のもんに……」



「はっ、こいつのために命をかけるやつは悪趣味なんじゃなかったのか。」



「そんなまさか!こんなに美しい鶴にそんな……!」



チャラ男の態度の変わり様はあからさまであった。


鳥類はとても貴重である。

しかも、白鳥や鶴はこの上なく珍しい上に、絶世の美貌を兼ね揃えている。

どんな秘宝よりも価値のある存在だ。







「ふーん、まぁ、俺はこいつの顔とか羽とかよりも中身の方が好きだけどな。」





冷静になった今、さっきの飛び降りがこの男なりの告白だと気づかないほどかぐやは鈍くない。



「あなたにそんなことを言われる日が来るとは思いませんでしたわ。」



「だろうな。」



男は優しげな顔でかぐやを見ていた。



「好きだ。普通に言ってもおまえは信じないだろうから、お望み通り飛び降りたぜ?お姫様。」



かぐやは無表情であった。



「………わたしくは飛び降りたとしても、受け入れるつもりなんてないと言ったはずですわ。」



「ああ、でも、俺はおまえのためなら飛び降りれる。おまえ以外のためならこんなことしない。」



かぐやは何か言いたげに口を開いたが、言葉を発する前にチャラ男に遮られた。



「ちょっと待って!そんな男より俺の方がいいって!」



「必死だな。そんなに鳥類を手に入れたいか。」



「違うよ!こんなに素敵な女性を俺は見たことがない!」



「……はぁ、随分な変わり様ですわね。」



かぐやは少し呆れたようだ。



「さっきのは違うんだ!君を目の前にして少しテンパってしまってね……!」



かぐやの冷めた視線に耐えられなくなったのか、チャラ男はさらに声を荒げて言った。



「そうだ!その男!思い出したぞ!前からかぐやさんに付き纏っていると噂のやつだな!おまえこそかぐやさんが鶴だと知っていてそれ目当てに近づいたんじゃないか!」



「いや、知らなかったな。 まぁ、興味もなかったし。」



「興味もなかったって?かぐやさん、君の種族に関心も抱かないなんて薄情な男なんか…」



かぐやの目は自分のためなら飛び降りれると言った男のみを見つめていた。



「だって、俺はおまえがなんだろうとおまえがおまえである限りおまえが好きなんだからさ。」



この台詞は誰が聞いても告白に聞こえるだろう。

しかし、かぐやだけはそう聞こえなかった。


かぐやは先ほどの出来事を通して気がついてしまったのだ。

自分の気持ち……そして、彼がその気持ちに気がついていることに。


彼はかぐやに告白をしているわけではない。

告白はさっきの飛び降りでもう済んでいるのだから。


彼は「心配せずに受け入れろ」と言っているのだ。

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