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翌朝、男が教室に入ると、彼女は手紙を読んでいた。
「2日連続か。珍しいな。」
男は彼女の手紙を覗いて言った。
「……獣臭いわ。」
彼女は眉をひそめて言った。
「それはまた……」
キーンコーンカーンとお馴染みの音が聞こえたため、話はそこで終わった。
男はつまらなそうに最初の授業を受けて、どこかに消えた。
男がいなくなるのはいつものことなので、誰も気にしない。
かぐやは1人でお弁当を食べながら、放課後の面倒事についてや男が今日はどこで寝ているのだろうかなどとくだらないことを考えていた。
放課後、生徒がほとんど帰った時間に彼女は屋上に向かった。
その日は部活禁止の日だったので、校舎には本当に人が全然いない。
彼女が屋上の扉を開けると、そこには随分チャラチャラした男がいた。
「わたしくを呼び出したのはあなたですか?」
「そうだ。まぁ、言わなくてもわかるだろうけど、俺と付き合ってよ。」
その男はにやにやと下品な笑顔を浮かべていた。
「レオ王室の秘宝を持って来てくださったら、お付き合いますわ。」
予想と違う返事が返って来てその男は驚いたようである。
そして、不機嫌を隠しもせずに言った。
「はぁ!?『ここから飛び降りたら』じゃねーのかよ!」
「ネコ科にそんなこと言うわけありませんわ。」
手紙の獣臭は本人に会えばより明確になった。
そうこの男はオオヤマネコだ。
飛び降りろと言われたら、やすやすと木を使って着地するつもりだった。
そのためにわざわざ人がいない時間帯に屋上を指定したのである。
「チッ、あーあ、せっかく簡単に手に入ると思ったのによぉ。」
男は不満そうにぼやいた。
しかし、すぐにまたにやにやとした下品な笑みを浮かべた。
「つーかさぁ、おまえみたいに顔がいいだけの女ために命かけるやつなんているわけねーだろ!こんな高飛車女のためにそこまでするやつなんてどんだけ趣味が悪いんだよ!あはははっ!」
心底馬鹿にしたように男は笑った。
それに対してかぐやは無表情のままである。
「へぇー、んじゃ、俺は悪趣味ってことになるのか。」
屋上の扉の上から男がひょっこり顔を出した。
午前のうちにいなくなって戻って来なかったため、とっくに帰ったものだとかぐやは思っていた。
「はぁ?何あんた。」
男はチャラ男の質問を無視して男は横に歩きながらかぐやに視線を向けた。
「なぁ、俺はよっぽどの馬鹿で悪趣味らしい。」
そう言って男はそこから飛び降りた。
そう屋上よりさらに高い場所から、しかも男は背中から飛び降りた。
着地する気なんて毛頭ないようである。
かぐやもチャラ男も驚きを隠せないようである。
かぐやはすぐに正気に戻って男の後を追って飛び降りた。
「おいっ!」
さすがにまずいと思ったチャラ男を慌てて手すりに駆け寄った。
そして、信じられない光景が目に飛び込んできた。




