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試験の日はそれで解散となった。






試験参加者にのみ与えらた数日の休暇が明けたとある日、彼らは朝一で学園長に呼び出された。



「ふっはっはっはっはー!前代未聞じゃのう。まさか試験官のテントに先に奇襲を仕掛けるなんて。」



「申し訳ありません。その方が手っ取り早いかと思いまして。」



誠実は平然と理事長に謝った。

全然反省していないと思われる一言を付け加えて。


担任は微妙な表情で口を開く。



「申し訳ないなんて思ってねぇーだろ。あー、おまえらのおかげでめんどくさいことになったわ。」



なにせ試験に参加していた他の者は何が起こったのかもわからないうちに試験が終わっていたのである。

そして、眠らされていた試験官もまた然り。

不満が出ないはずがない。


面倒くさがりの担任は苦情処理に忙殺されていたため、随分ご立腹のようだ。



「先生~、落ち着く歌でも歌いましょうか~?」



「……後で頼む。」



先生が生徒に能力で癒してもらうのは大丈夫なのかと思わなくはないが、学園長が何も言わないのだから突っ込むべきではないだろう。







「ごほんっ、それにしてもよくやる気になったのう。てっきりお主はいつものように傍観者に徹すると思ったのだがな。」



誠実、翼、桃は初め学園長が誰にその言葉を向けているのかわからなかった。



「だって、まだ私の能力のことも知らないのに、大事な場面で私を戦力に数えてくれた。私を信じてくれた。それに答えないなんて選択肢は私にはないよ。」



鈴香はニィーと笑って言った。

心なしか嬉しそうであった。


試験官の奇襲は翼のサーチ、桃のシングで準備を整え、誠実と鈴香がその後の戦闘の主軸となるという作戦だ。

たとえ、直接言われずとも鈴香はちゃんとわかっていた。

そして、試験官を眠らせる役目の桃に鈴香をつけたのは護衛のためということも。






「そうか。それなら、君たちには感謝せねばなるまいな。」



理事長の言葉に桃は首を傾げた。



「どういうことですかぁー?鈴香ちゃんと学園長って知り合いですかー?それとも鈴香ちゃんは特別扱いですかー?」



「おいっ!」



桃は相変わらず単刀直入に思ったことを言う。

おそらく悪気は全くないのだろう。



「ほっほっほっ、なーに、ただ義理の娘にいい仲間ができたことに喜んでいるだけだよ。」



「……えぇ!義理の娘ぇー!?」



桃が叫んだ。

誠実と翼もさすがに驚きが隠せないようである。



「それは……初耳ですが……」



誠実が知る限り鈴香はそんなに目立った存在ではなかった。



「だって、バレたら面倒でしょ。」



鈴香はさも当然のように言った。



「へぇー、気がつかなかったなぁー。」



翼は能力のせいか元々の性格からか人間観察に長けている。その翼が気がつかないほどうまく隠していたようである。



「ほっほっほっ、今年の君のクラスは優秀な生徒が多いようだね。」



理事長は担任に言った。



一級能力者試験は何人かでチームを組んで行われるが、チーム全員が合格することはそう多くない。

実技形式のチーム戦ではあるが、選定を受けるのは個々人である。



「奇人変人が多いの間違いでしょう。」



心底面倒くさそうに理事長にぼやいた担任はくるりと向きを変えて誠実たちの方を向いた。






「おまえら今日から全員が一級能力で、15番隊だ。……まぁ、頼んだぞ、桐生。」



「……先生、俺に問題児を丸投げするためにこのメンバーにしたわけじゃありませんよね?」



「……それじゃ、話は終わりましたし、そろそろ彼らを教室に返しましょうか。いいですよね、理事長?」



誤魔化したなとこの場にいる全員が思った。

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