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翌朝。
「ふぁー、まだ眠いです~……」
桃は眠そうにとぼとぼ歩いていた。
「起きろ!ちゃんと前見て歩け!」
「あははっ、お父さんみたい!」
鈴香もまだ眠くてうとうとしていたが、誠実のセリフに目が覚めて笑った。
彼女たちは日の出と共に誠実に叩き起こされたのである。
意外にも翼は誠実より早く起きてサーチで見張りをしていたようだ。
「んー?今日はさすがに委員長を潰そうと考えるバカはいないみたいだね。」
「そりゃ、強い能力者を潰すより試験官にアピールした方が確実だしね。」
鈴香はリュックを漁りながら言った。
「今日も何か作るんですか~?」
「うーん、作りたいけど、今日はさすがにそんな余裕なさそう。」
「だろうな。今日から試験官による選定が始まる。昨日は初めて入った森でどう能力を使って一夜を過ごすかを見られていただけだが、今日は試験官との戦闘で戦闘能力も見られるだろう。」
「まぁ、昨日委員長を狙ったバカ共はあの時点で失格だろうけどね。」
翼は目を閉じてサーチを使いながら言った。
「わざわざ自分で死期を早めるなんてバカですね~。」
1日目はただ森の生活に馴染む努力をすれば良かったのだ。
それなのに、昨日のバカ共はライバル潰しなんかして、言い渡された任務の主旨もわからない無能であると自ら証明したのだ。
そして、誠実は3人の会話を聞いて、こいつらはやはりバカではないんだなと改めて思った。
少し考え事をした後、誠実が口を開いた。
「手っ取り早く終わらせる方法がある。しかも、俺たちにしか使えない方法だ。」
「えー、そんな方法があるんなら早くやりましょうよぉ~!森暮らしは昨日でもうこりごりです~。」
「布団ダメだった?」
「鈴香ちゃんの布団は最高でしたよ~!ただ虫に刺されるし、歩きにくいし……。そろそろ出たいです~。」
「はははっ、女の子にはキツイかもね。」
「うん。ここだと材料が限られててあまり作れないしね。」
このメンバーだと俺がしっかりしなくてはという意識が高まるなと思いながら呆れて言葉も出ない誠実であった。
「まぁ、理由はともあれ早めに片付けるのがいいだろう。」
誠実は先ほどから考えていた作戦を3人に話した。
突拍子もない作戦に3人は少し驚いた様子だったが、笑って快諾した。




