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数日後。


とある森の入り口にて。



「あれー?なんで俺は一級試験なんて受けることになってるの?」



試験を受けるメンバーが発表された日に休んだ長瀬翼が不思議そうにつぶやいた。

それに対して委員長こと桐生誠実が答える。



「発表の日に休んだおまえが悪いんだろうが。」



「んー?だってあの日は女の子とのデートの日だったからね。」



誠治は呆れて説教するのも阿呆らしくなった。

そして、黙々とチクチク針を動かしている少女とそれを見つめている少女の方に視線を向けた。



「それで……八代鈴香、おまえは何をやっている。」



「何って……猫作ってる?」



鈴香は悪びれもせず首を傾げて答える。



「おまえなぁ……」



「できた。……私の能力は知ってるでしょ?」



八代鈴香と呼ばれた少女がフエルトと糸で作ったぬいぐるみが急に動き出した。

本物の猫というよりは漫画などで出来きそうな可愛らしい姿で猫はくるくる踊っていた。



「わぁー!すごーいすごーい!可愛い~!」



猫に拍手をしているのが野坂桃である。


猫が踊り終えて胸に手を当ててお辞儀している姿は実に愛らしかった。



「それが何の役に立つんだ……。まさか戦闘員が俺だけだなんて言わないよな。」



呆れたように誠実がつぶやく。

それに翼は笑って答える。



「そりゃー、委員長のcontrolコントロールほど戦闘向きの能力なんてなかなかないでしょ。機械や武器を自由に制御コントロールできるなんてさぁ。」



誠実は学園に入学して3ヶ月しか経っていないにもかかわらず、その能力は学園中に知れ渡っていた。



「とりあえず、自己紹介しなーい?一応チームを組むことになったんだから、お互いの能力は知っておかないと。委員長は有名人だから知ってるけどねー。」



誠実は他の2人よりはこの男の方がまともかもしれないと思った。



「まず、俺からね。俺は長瀬翼、能力はsearchサーチ。まぁ、千里眼みたいなものだよ。」



捜索系の任務向きの能力だと誠実は前から思っていた。



「知っているとは思うが、俺は桐生誠実だ。能力はcontrolであらゆる機械・武器を操ることができる。」



誠実はいつもの仏頂面で言った。

それに対して鈴香が感心したようにつぶやいた。



「便利な能力だね。説明書いらずだ。」



誠実は自分の能力を鈴香が知らないことに驚くよりも、奇妙な点で感心されたことに呆れた。

普通なら戦闘能力に着眼するところを彼女はなんとも思っていないようである。



「知らなかったんですかー?委員長の能力って有名なのにー。」



そう言う桃も鈴香と同じくらい呑気そうだというのが誠実のこれまでの印象だ。



「私は野坂桃ですぅ。能力はsingシングで、歌で人の感情を動かすことができる能力ですぅ。」



「前から思っていたのが、それって具体的に……」



具体的に何ができるのかと誠実が聞く前に鈴香が口を開いた。



「じゃあ、歌上手なんだねー!今度聞いてみたいなぁ。」



「いいよぉー。」



能力以前にこのメンバーの呑気さに危機感を覚え始めた誠実であった。



最後は八代鈴香の番である。



「私は八代鈴香だよ。能力はmakeメイク。作ったものを実現させる能力かな。」



全員が一通り自己紹介が終わり、そろそろ試験開始時刻となった。



「本当に変わった能力者ばかり集まったな。まぁ、謎が多いが実戦でわかるだろう。」



「委員長もヤケだね。」



誠実は委員長という役職を自ら引き受けたことや厳しい言動からくそ真面目な性格だと周りから思われがちである。

しかし、真面目は真面目でもそれだけではないようである。


今回の試験は簡単に言うと森でのサバイバルである。

森という不慣れな環境での生活力、臨機応変な対応力、そして戦闘力が試されている。

そして、審査の要になるのはやはり能力をどうそれらに応用するのかにかかっていた。



開始時刻になったため、4人は森に入って行った。


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