今世の嫁は女子大生
「そういえば、甘海さんって何歳なん?」
食事も進み、蓮司が甘海に聞いた。
そういえば、あまりの展開に驚いて、今世の甘海は何歳かをまだ知らなかった。
「十八歳よ」
「俺らより二つ歳上か……ってことは?」
「大学一年生よ」
その答えに、俺達は言葉を失った。
何と、今世の甘海は大学一年生。
その大人っぽさや穏やかさを見て歳上なのも納得。
それにしても─こんな超絶美少女が一人暮らしで大丈夫なのだろうか。
あまりにも綺麗だから、別の男が周りに寄らないだろうか。
「じょ、女子大生なん!」
「近所に超絶美少女…」
「甘海さん一人暮らしで大丈夫なの?」
「と、歳上……より最高」
「まぁ…皆大袈裟なんだから」
四人は驚くも、甘海は穏やかに返す。
「で、夏牙は?」
迅が俺に聞くと、三人もこちらを見る。
「俺は……」
恐る恐る答える。
「歳上でも歳下でも関係なか……まぁ、可愛か」
「へー?」
蓮司がニヤける。
「その反応、恋やな?お前、幼稚園の頃もそげん感じやったとな…」
「せからしか…別に、まだ好きじゃ…なか」
「まだ…?どういうこと?」
迅も海都も便乗していじってくる。
「ええと…皆さんは高校生なの?」
甘海も恐る恐る俺たちに聞く。
「そうたい。もうすぐ高校二年生の九州男児たい」
「九州男児……?」
俺たちは今年、高校二年生になる。
甘海は驚くも、すぐに笑みを取り戻した。
「まぁ!頼もしいわねぇ…ふふっ」
その笑い声は、何千万回聞いても心地良かった。
****
そして新学期─。
桜は散り、世間は春色に染まっていた。
「よっしゃ!また一年同じやな!」
海都。
「いや…二年からクラス変わらんで?」
蓮司。
「僕たちまた一緒だね。皆よろしく」
叶芽。
「また迅と同じクラスか…よろしく」
俺─
「おう…お前、小学生の時覚えとる?俺とクラス離れて授業中大泣きしたこと」
そして迅。
また俺たちは同じクラス。
つまり、卒業まで同じクラス。
「えっ…夏牙って泣くと?」
「へぇ…この百九十三センチが大泣きか…想像つかないや」
「ああ…そん時学年の先生も困っとったい」
「迅……忘れたと思っとったんに…」
迅が、俺の黒歴史を話す。
幼稚園からずっと同じで家も近い。
幼馴染ならではの話題だった。
「今日から担任になる蘇空や。よろしくな」
簡単なホームルームを済ませる。
「まぁ…またも平和な一年たい」
「終わったら皆でラーメン行こうぜ」
「良かよ。腹減った…」
「夏牙…朝から五号食べてきたんじゃないの?」
「消化早いけん。足りんばい」
そして整列し、体育館へ向かう。
新入生の、入学式。
一年前のことを思い出す。
「俺ら…一年前あんな感じやったな」
「うん…海都と夏牙が大喧嘩して、迅と蓮司と僕が止めて、そこから僕ら仲良くなったよね」
「いやぁ…今じゃ皆、親友たい」
あっという間に入学式を終え、後片付け。
「気を付けて帰れよー」
「……ラーメン…」
「賦谷と唐隅…食い過ぎて怒られるんじゃなか!」
帰りのホームルーム。
担任に、食べ過ぎを指摘される。
しかも海都と同時に。
教室は大爆笑で包まれ、下校の時間となった。
「よし、ラーメン食うたい!」
「おう…替え玉何個?」
「少なくとも三十個は行くたい。俺と勝負すると?」
ラーメンの話題になる。
替え玉を海都と競うも─少なくとも三十個は欲しい。
「当たり前たい!四十五玉は行くたい」
「ほらほら喧嘩はやめんね。この前店主に怒られて、俺らが謝ったの忘れたと?」
「迅は夏牙の母ちゃんみたいだよな」
「こげん子産んだ覚えなか!あと俺男たい!」
「俺もこんな母ちゃん嫌たい!」
「なんね!」
迅が間に入る。
昔から迅は、俺を導いてくれた。
高校生になった今も変わらず、親友でいてくれる。
しばらく談笑してると、俺の携帯が鳴った。
「夏牙、電話来てるよ」
叶芽が気付き、俺は携帯の画面を見る。
「……甘海や。どしたとね」
発信元は甘海。
実はあの日、甘海をマンションに送った後、電話番号を交換していたのだ。
時々、夜に電話のやり取りをしてる。
『夏牙君?今は…学校かしら?』
「そうたい。でも終わってこれから皆でラーメン行くとよ」
俺は構わず、携帯越しに甘海に話す。
『そうなのね…』
「甘海が昼に電話掛けてくるん珍しいっちゃけん、どしたと?」
ラーメン行くことを話すと、甘海は残念そうな声を出す。
渋々聞いてみる。
『私、大学の入学式で…友達は出来たのだけど、皆家族とご飯で…その……あなた達が良ければ、ご飯…行きたい…なぁって』
甘海の予想外の返答で、俺は言葉を失った。
反応しようと思い、声を出そうとするが、蓮司が俺の携帯を取った。
「え、ご飯……い、行きたい!」
『その声は…蓮司君?』
蓮司が先に反応を返す。
甘海は驚くも─
「ぼ、僕も…」
叶芽も返す。
「俺も!」
「夏牙…ラーメンは逃げんばい」
「お前ら………甘海、皆で飯、行こばい」
迅も海都も返し、俺も反応する。
すると甘海は携帯越しに微笑んだ。
『まぁ!いいの?』
「ラーメンはいつでも食えるけん…断る理由なか」
『ありがとう!嬉しいわ…』
こうして─俺たちは甘海と飯に行くことになった。
しかしこの後─甘海が知らないところで俺達が争ってたのは、言うまでもない─。
今世の甘海は女子大生。
少しでも幸せにしたいと、より一層思った。
……To be continued
第三話を読んでいただきありがとうございます。
次回は、甘海の入学式終わりのご飯のシーンを書きます!お楽しみに。
それではまた。




