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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
8章
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8-1.竜の国・再訪

前回の作者反省。

間接キスに気づいたリーシェさんのドキドキをもっと可愛く描きたかった

「私が、傲慢か。

 そうか、そうなのか、はは...はは」


 と豪快に王が笑ったので、剣に手をかけていた家臣と、騒動にならずに済んだ。


 教会からの謝意を受け入れ、国として交渉を始めるそうだ。

 担当は、あの反対していた女性になるそうだ、厳しい交渉になるだろう。


 俺の"願い"も許可された。

 文書として、皮紙に焼き文字と国印のある、正式な文書を渡された。

 ビチュレイリワは王の一言でいい、と言っていたので、こんな仰々しいものがくるとは思っていなかった。


「国の正式な約束とは、こんなものだ」


 と王が言う。


 国同士でならそうだろうが、一介の冒険者に渡すようなものではない。

 破格の待遇を示してくれたのだ。


「魔王がいなくなったら、今度は遊びにきます」


「お前は、自分の事にほんと無関心だな。

 状況をよく判っていない」


 退出する時に言った俺の言葉に、王は笑いながらかえした。

 何が"状況をよく判っていない"のか、わからない。


 みんなに聞いてみたが、みんなも「なんの事だろう」と誰も判らなかった。

 でもタビあたりは、なにか知ってそうだな。

 言う気がなさそうだから、聞いても無駄だろうが。


 カソーエナ王国から、魔王討伐時ビチュレイリワの一撃の許可がもらえた。

 次に向かうのは、魔境だ。


 最初、西の海岸で暗黒大陸が消し飛ぶのを見ようと思っていたが。

 ビチュレイリワから、見えませんよ、と言われやめた。


「派手にするのが目的ではないですから、実際には大陸に影響は出ないですよ。

 閃光と振動を感じる程度ではないでしょうか」


「なら、なんで"各国の了承"が必要なんだ」


「失敗する可能性が、無くは無いんで」


 そうだった、ビチュレイリワの世界では、ルールが優先される。

 やってしまって、言い訳出来ないのを嫌う。


 そうなると"各国の了承"は、言い訳用か。

 カソーエナ国王から貰った、許可書が軽くなった気がした。


「魔境を攻撃しないのは、ビチュレイリワが未だにゴブリンやオークを殺せないからだよね。

 暗黒大陸にも生き物いたよね、いいの」


 リーシェさんが、気になっていた事を聞いた。

 それは俺も気になっていたが、あえて聞いて来なかった。

 ありえないだろうが、"あ、そうだった"とか言いそうな気がして。


「暗黒大陸に、純粋な生物はいません。

 すべて改造を受けたものばかりです。


 しかも独自文化も持っておらず、ただ命令によって動いています。

 私の攻撃禁止項目に違反しません」


「改造って、俺やピノみたいなものか?」


「もっと粗悪なものです。

 装置レベルのものです、自己修復機能が全くありません。

 傷を治す力のないものなど、生命とはよべません」


 あれ、暗黒大陸には入れなかったんじゃなかったか。

 どうやって調べたんだ。


「最初に、以前倒された黒竜をしらべました。

 あの黒竜は、その後冒険者ギルドの手によって解体、販売されましたので、その一部を購入したのです。


 暗黒大陸にいるのが、生命でないのですから、強襲偵察も可能でした。

 一応、現状維持可能な範囲ですが」


「そのまま、魔王倒してくれればいいのに」

 とキューさん。


 そのとおりだ、余計な手間がなくてすむ。


「魔王は地中深くいます。

 その場所への移動手段が、存在していなそうでした。

 魔王に届く攻撃は、私の主砲だけと結論したのです」


 そうですか、暗黒大陸はまかせました。


 なので、魔境の魔物は人の手で、倒すしかない。

 魔王討伐後も魔境には魔物が残るので、十国で冒険者を続ける事にしたのだ。


 各国と交渉は教会が行ってくれている。

 ゆっくりと旅を楽しんでいた。

 状況は、冒険者ギルドと通じて連絡がきていた。

 .

 .

 .

 状況が良くない。


 すんなりと、許可をくれる国が少ない。

 明確に反対した国はもっと少ないが、態度を保留している国が多い。


 そのほとんどの理由が、"人界の盾十国"の動向を見て判断すると言っているそうだ。


 十国で許可してくれない国がある。

 しかも俺が行った事のある国ばかりだ。


「ヨガ何をしてきたんだ」


 とタビさんが面白がって、俺に聞く。


「知るか。

 俺は何もしていない。

 いや、何かした自覚あるが、反対されるような事はしていない」


 リーシェさんと目が合った。

 2カ国ほど伯爵と揉めたが、国と喧嘩した記憶はない。

 もっとも、その2つ国は後ろに魔王軍が見えたので、協力しないのは考えられる。


 ピノから、ビチュレイリワが調べた各国の詳細を聞いた。

 他に許可をくれない国でも、事情はそれぞれだ。

 聞いても、明確な理由がわからないものもある。


「一番簡単そうな、カリギュナー王国に行ってみない。

 ここの、馬鹿げた原因は、あっさり解決できそうだし」


「暴れるなら今度は、私も混ぜてね」


 とケイトはやる気だ。


 カリギュナー王国から、許可がもらえない理由は簡単だった。

 国政が止まっている。

 人々の生活に困らぬよう動いてはいたが、国としての動きが取れないのだ。


 やはり問題は竜騎士。

 事の起こりは、竜騎士が表に出てこなくなった事だ。


 以前この国で、俺は絆を切り、ドラゴンを竜騎士から開放した事がある。

 自由になったドラゴンがどこかに行ってしまったのは、特に問題ではなかったが。


 ドラゴンとの絆が切れた竜騎士が、急速に老化し衰弱死した。

 ドラゴンのマナで、止めていた体の時間が、絆が切れた事で一気に進んだのだ。

 それを見た、竜騎士が怯え隠れてしまった。


 余計な横槍がなくなり、カリギュナー王国の政治は正常に戻るかに見えた。

 ところが、今度は自分達を蔑ろにしたと竜騎士達が怒り、国璽を盗んだのだ。

 明確な、クーデターだ、内乱が起きておかしくない。


 ところが、竜騎士達は面倒な国の運営を行う気はない。

 国印が必要な書類を持って来いと言うだけだった、国の決定は自分達で行うと言うのだ。

 無論今までの待遇も当たり前と思っている。


 国として、竜騎士達から国璽を取り返す、力はない。

 だが、竜騎士達の要求を認めることもできない。

 竜騎士達の気分次第で物事が可決され、国政が歪められてしまう。


 一度、国璽を新しくしたが、再び竜騎士達に奪われている。

 これでは、嫌がらせ以外の、何ものでもない。


 今カリギュナー王国は、国内は国印を使わず運営できているが、外との約束事が完全に止まっている。

 そのせいで、教会からの要請にも、答えられないのだ。


 やることは簡単だ、竜騎士をぶん殴って、国璽を取り返す。

 ついでに、俺は全ての竜騎士の絆を断ち切って、ドラゴンを開放してやるつもりだ。

 そうすれば、国璽が奪い返される心配はない。


「最近人ばっかり相手にしてる。

 普通の冒険者に戻りたい」とキューさんポツリ。


 そう言えば、そうだな。


「もう少し頑張ろう。

 魔王いなくなったら、みんなでのんびり魔境めぐりでもしよう」


 魔物討伐が”のんびり”とは、俺も随分言うようになった。



 ただカリギュナー王国は、そう簡単には入国できない。

 以前この国で暴れた事がバレているわけではない。

 この国は相変わらず『人外』の入国を拒み、その『人外』にリーシェさん達が含まれてしまうのだ。

 今回はタビさんやピノもいる。


 こっそり入国するのも可能だが、絶対後で面倒になるのでやめておく。

 手は打ってある、フレンメルス男爵へ紹介書をお願いしていた。

 検問に届けると返事をもらっている。


 事を憲兵に伝え、紹介書が届いていないか待っていると。


「久しいな、ヨガ殿」


 まさか、男爵本人がおいでになるとは。


「お久しぶりでございます。

 フレンメルス男爵も、お変わりなく」


 慌てて膝を下ろす。


「私などに礼などいらぬと言っていただろう。

 再会を、歓迎しましょう」


 近くに用意してあった天幕に、俺達を招き入れた。


「よく来てくれた、嬉しいぞ。

 ヨガからカリギュナーへ来ると連絡が有った時は、嬉しくて宰相様にご報告に行ったよ」


「また、どうして。

 以前多少のゆかりは出来ましたが、一介の冒険者の事など、宰相様に報告することでもないかと思うのですが」


「今、王の元に教会から、聖女と議長が訪問されている。

 ある"願い"を持ってな。

 しかし、"願い"は我が国にもある。


 教会の"願い"に応えるには、我が国の問題を取り除かねばならない。

 そう思い悩んでいたところに、ヨガが来ると連絡があったからだよ」


 男爵は、茶を1口飲んでわざと間を作った。


「教会からの"願い"、元は冒険者からのものだと聞いた。

 ならば、彼らが我らの問題を解決してくれるはずだ」


 男爵は、その冒険者が、俺達だと確信している。


「なぜ、そう思うのです」


「あれだけ詩に歌われていれば、子供でもわかります。

 魔王を倒す、新たな勇者どの」


 横を向きタビさんの表情をみようとしていたが、お茶を飲んでごまかしていた。


「タビさんはよく酒場に行って、歌ってますから」


 ピノが、詩の内容が更新されている理由を教えてくれた。


「ちまたでは勇者ミハイロファンの再来と噂になっています。

 ヨガと行動を共にしている女性のお1人は、我が国のリオロセーク山に居をおかまえになっているお方。

 期待してしまうのは、仕方がないことです」


「勇者ロンダリダでは無いのですね」とリーシェさん。


「は?」


 リーシェさんの質問に、男爵が何を言われたかわからないようだ。


「タビさんずるい、自分の事歌ってない」とケイトさん。


 詩に火狐(ヒコ)の名があれば、勇者ロンダリダと言われてもおかしくない。

 自分の事は隠すなんて、人間っぽくて笑ってしまう。


「まずは王都にある、私の館へおいで下さい。

 時を見て宰相様がおいでになられます」


「宰相様がおいでになるのは、少しお時間をお願いできないでしょうか」


「どうしてでしょう」


「お渡ししたい物がございます。

 準備に多少時間がかかりますので」


「わかりました。

 宰相様へ、お伝えします」


 男爵は、何を渡すつもりなのか、気づいたようだ。


 王都に着く間にビチュレイリワに、竜騎士達の動向を調べてもらった。


「5箇所に分散してるんだね。

 仲良くはないんだ」


「自由にやってた連中よ。

 一緒にいたいと思えないのは、自分たちも同じって事でしょう」


「下級騎士が、上の騎士から離れている感じね」


「ということは、同じ場所にいるのは同じ程度の強さって事か」


「2人しかいない所に、6人で行くもの味気ないな。

 ヨガは必ず行く必要があるが、他は1人ごとに手分けしないか。

 ちょうど5箇所だし」


「それ、いいかも」

「賛成」


「それじゃ私がクジを作ります。

 タビさんでも、見分けがつかないほど、精巧にしますね」


 男爵の館に入った夜、簡単な夕食後に俺達は離れに案内された。

 離れは出入り自由で、食事だけ用意するとの事だ。

 誰にも見られない配慮だ。


 俺達にしては、豪華な食事の後、国璽奪還の作戦会議を始めたのだが、おかしな事になってる。


「竜騎士って、どこまで丈夫なんだろう」


「ドラゴンからマナをもらっているから、普通の攻撃は通じないわよ」


「じゃ、思いっきり殴っていい」


「ケイトさんの思いっきりは、やめたほうが。

 それで竜騎士の上半身が吹っ飛ぶと、ドラゴンにも影響あると思うよ」


「それは嫌だな。

 どのくらい手加減すればいいんだろう」


「最初はドラゴンを相手にするつもりでいいじゃないかな。

 それ以上固くないはずだし」


「それなら、気絶させるつもりで殴ってみるか」


「ドラゴンって、どのくらいの雷に耐えられるの」

「そらなら、私は炎の耐久を知りたい。

 水のほうが効くのかな」


「どれも、観察されてませんね。

 普通の生物よりは、格段に強いとは思うんですが」


 なんで、みんな楽しそうに話してるんだ。



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