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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
6章
82/104

6-10.今度は南ですか

前回あらずじ:な、名無しさんどうしたんですか

(バレてると思いますが...)

「動くな、武器を捨てろ」


 クリバルヨイアさんが叫ぶよりも前に、名無しさんは武器を捨てている。

 オードさんも同じように両手をあげ、抵抗はしない意思を示している。

 その2人の首元には、護衛の剣が突きつけられている。


 延命はユニコーンが拒んだので、キューさんが行っている。


「何故、そいつらを助ける。

 私のお母さんやお父さんを、笑いながら殺したんだぞ。

 お姉ちゃんに話しかけて、いきなり...」


 キューさんが治癒しているの見て、名無しさんが止めようとする。


「ソカさん。

 貴方は、真実を知りたくはないですか?」


 いつのまにか離れていたリーシェさんが、なだめるように名無しさんに言う。

 名無しさん女性だったのか、名前もちゃんと有った。


「そんなの知らなくていい。

 みんなを返して」


 ソカさんがリーシェさんを睨む。


「それは無理よ」


 フェニックスでも、死者を生き返らす事は出来ない、伝説とは違うのだ。


「大丈夫、こいつらここで助かっても、罪人として裁かれるだろうから、いい未来は無いよ。


 裁くためには、全部はなしてもらわないとね。

 キュー殿どうです、話聞けそうですか」


 リーシェさんの後ろから、シャレーガルが顔を出した。

 今日は騎士の甲冑は着ていない、神官の恰好をしている、忙しい人だ。


「1人は無理、なんとか命は助かったけど、しばらく意識が戻らないと思う。

 だけどコッチは、少しの間なら話せる」


 と1人を起こしながら、キューさんが答えた。

 言うほど大丈夫そうには見えない、キューさんにも思う所がある、手荒い。


「ゲブルス卿、貴方はそこにいるロビネル村のソカさんをご存知でしたか」


 シャレーガルが、意識を取り戻した男に質問を始めた。

 聞かれたゲブルス卿は、今目が覚めたようにぼんやりとしている、血を失い過ぎているのだ。


 名無しことソカさんを、一瞥すると。

「知らん」


「知らないはずがない」


 ソカさんの叫びを、護衛の剣が押し留める。


「ソカさん、落ち着いて下さい。

 詳しい話はこれから聞き出しますので、お待ち下さい。


 それではソカさんが言った、あなた方がロビネル村を襲い、彼女のご両親と姉上を殺したという話は、事実ですか」


「村の名前は覚えていないが、いくつかの村を襲ったのは事実だ。

 その中にロビネル村が有ったのだろう」


「何故、村々を襲ったのです」


「枢機会議議長、司教様からの指示だ。

 出どころは教皇様だと思うが」


「どのような指示だったのですか」


 シャレーガルが質問を続ける。


「子供を殺せと言われた、その子を知る者も含めて。

 指示された時は、意味がわからなかったがな」


「その言い方ですと、今は判っているようですね」


 ゲブルス卿は、クリバルヨイアを見て笑みを漏らした。


「クリバルヨイアが、聖女探索に出た時判ったよ。


 俺達への指示は、特定の日に生まれた女児を殺せとだった。

 聖女探索にでた、クリバルヨイアも同じ日に生まれた娘を探していた」


「「なっ!」」

 告白の意味を理解した者全員の視線が、ゲブルス卿に向かう。


「驚いたか、クリバルヨイア。

 お前が探し出そうとした相手は、何年も前に俺達が殺していたのさ。

 いもしない聖女を探す役目を、お前は押し付けられたのだ」


 ゲブルス卿はヒヒヒと笑いだし、笑い声はだんだん大きくなる。


「ここまでか。

 クリバルヨイア殿、怪我人2人には引き取ってもらっていいですよ。

 取り調べは厳しいものになるでしょうがね、殺さないようお願いします」


 これが強制的に話を聞き出す、シャレーガルの魔法か、恐ろしいな。


「クリバルヨイアさん聖女探索の時、聖女様を聖女様と確かめる方法として、生まれた日を確認していませんか」


 リーシェさんが、クリバルヨイアさんに確認した。

 それが一番簡単だものな。


「あぁ、それだけで聖女だとする証拠にはらなないが、大きな条件になる。

 女神の天啓は、新たな聖女様が生まれた日に受ける。

 この日は秘密にされ、後日聖女様が現れた時、条件の1つにされるのさ」


「どんなに秘密でも、教皇は知ることが出来るのでは」


「そうだな。

 他にも枢機会議のメンバーなら、知ることができる」


 その枢機会議が、聖女様を殺そうとしていた。

 元教皇派が強気なはずだ、聖女様がいない事を知っていた。


「私の事などどうでもいい。

 聖女様だ、教会に必要な方ではないか」


 クリバルヨイアさんが、怒りの声を上げた。


「だからですよ、魔王軍にすれば、最も邪魔な方ですから」


「教皇が、魔王の手先だったという話は、本当だったのだな」

 とはオードさんだ、もう剣を突き立てられてはいない。


「ヨガ殿の話を、信じていなかった訳ではないが。

 聖女様を亡き者にするとはな」


 ソカさんに剣を向けられていたが、オードさんが手を振って護衛を下がらせた。


「名無し、いやソカさんか。

 言い慣れんな」


「私もよ。

 オードには、名無しと呼んでもらったほうがいい」


「そう呼べるかは、1つ聞いてからだ。

 答えてくれるか。

 今まで教会に行けと、天の声を聞かなかったか」


「みんなを殺した教会騎士がいるんだよ、行くわけないじゃない」


「声は聞いたんだな」


 オードさんは、ゆっくり腰を下ろし、膝を立て頭を下げる。

 それを見た騎士や神官も、同じくソカさんに跪く。


「聖女様、お待ちしておりました」


 ーーーーー


 数日後。

 あれから教会内で何が有ったかは知らないが、ソカさんがおれたちの正面の席に座っている。

 綺麗なドレスを着せられ、不機嫌に頬を膨らませている。


「ソカ様、そのようなお顔はやめて下さい」


「私は、こういう顔なの。

 それにオードがソカ様なんて、余計気持ち悪い」


 まるで、お姫様と爺やだ。

 その隣では、そんな2人を見て、聖女様が微笑んでいる。

 この人は、新しい聖女様が何をしていても、嬉しいと感じているようだ。


 クリバルヨイアさんも席に座っている。

 知った顔のケペレさんとシャレーガルは、その後ろで立って控えていた。


 座っているのは9名、他に知った者はいない。


 オードさんが立ち上がり、他の者も真似る。


「ヨガ殿、タビ様、ケイト様、リーシェ殿、キュー殿。

 これまで、教会が皆様に行った数々の無礼、深くお詫びします。

 許して下さいと言えるものではありませんが、ひとまずは怒りを収めていだだきたい」


 オードさんは、深々と頭を下げ、侘びた。

 元々オードさんのせいではない。

 それにここが敵のど真ん中だと知っていて、暴れるつもりで来たのだから。

 気にする必要はない。


「オードさん、枢機会議にお戻りになられたのですね」


 とはリーシェさん。


 座り直しオードさんが

「残念ながらだ。

 こんな老人を戻してどうする気なのか。

 しかも議長までやらされる羽目になった」


「他に適任者がいない。

 私までこんな場所にいる、諦めて下さいオード卿」


 これはクリバルヨイアさんだ、確かにこの人が枢機会議に座るイメージは無かったな。


「今度の枢機会議では、皆に役割を持って参加してもらう事になりました。

 クリバルヨイア卿には、教会騎士をまとめていただく重要な役目があります」


 前の聖女様に補足していただいた。

 なるほど、教会の武力をクリバルヨイアさんがまとめるのか、納得だ。

 これで、暴走はなくなるだろう。


「わらわ達が呼ばれたのは、こんな話をするためではあるまい」


 タビさんが話を戻す。

 確か、俺達の依頼した話の結果が出る頃だ。


「そうでした、ヨガ殿をお呼びしたのは、例の話をするためです。

 ビチュレイリワ様の力を振るう許可を、各国に了承してもらう件、教会が全面的に協力させていただく。

 よろしくお願いする」


 オードさんが、再び頭を下げた。


「よし」


 思わず声が出た、拳も握っている。

 リーシェさん達も手を打ち合わせて喜んでいる。


「それに関して、ヨガ殿にお願いがある」


 オードさんの話は続いた。

 なんだ、お願いって?


「ビチュレイリワに会いたいとかは無理ですよ」


 そもそも彼女を見た者は、俺を含め誰もいない。

 声を聞けるのも、3人と1体だけだ。


「そうではありません。

 教会は、各国説得の為に、特使を派遣する事になりました。

 本気と誠意を示すため、枢機会議のメンバーが1名以上加わる事を条件になりました。

 複数に別れ派遣します」


 ありがたい、教会は本気だ。


「ですが教会が、大陸中に影響力を持つと言いましても、その縁には濃淡があり。


 幸い西の地”女王の国”には承認を得られているとの事」


 タビさんのしっぽがふわりと動いた、自慢なのかな。

 普通なら、したり顔というところか。


「南のカソーエナには、教会の身分で入る事は不可能。

 と言うのが問題かな」


 リーシェさんが、オードさんが言いよどんでいる核心をつく。


「そうです。

 カソーエナ王国には、われらは入る事もできません」


 オードさんのと言うより、教会の言いたい事は判った。


「冒険者である俺達に、行って欲しいのですね」


 建前上は冒険者の入国を断れる国はない。

 カソーエナ王国は冒険者の入国を拒んではいない。


「申し訳ない。

 教会からは全権大使の権限を与えるつもりだが、そのようなものあの地は何の役にも立つまい」


 オードさんの話は終わりのようだ。


「ヨガのしたいように」

「ヨガと一緒」

 みんなに確認を取るまでもなく、一任された。


 もっとも、答えはみんなが思っているとおりだ。

 ビチュレイリワから可能性を聞いた時は、全部自分でする気になっていた。

 それに比べれば、1っ国くらい。


 ただし

「その話受ける前に、お聞きした話があります。

 聖騎士についてです」


 元聖騎士は、今は南方随一のカソーエナ国王の国王ブンヘズ様だ。

 教会とカソーエナ国王との国交がないのは、彼が聖騎士を辞めた時に原因がある、その経緯を知りたい。


 シャレーガルがクリバルヨイアさんのすぐ後ろまででてきた。


「なんだ、シャレーガル言いたい事があるのか」


「教皇派がいなくなった今、詳細を話せるのもは自分しかいないとおもいまして。

 許可していただければ、私の知っている事を全てお話します」


 教皇派に使われていた彼だ、より裏側の話をしっていそうだ。


「まだ隠していた事が有ったのか」


「聞かれた事には正直に話せるのですが。

 全てを話せみたいな、具体性のない質問には答えられないのです」


「俺達には仕事柄、そのような制約がかけられていますので。

 理解してください」


 ケペレさんが、シャレーガルの弁解を助けた。


「判った、元聖騎士についてしっている事を話せ」


「はい。

 ブンヘズ殿は聖騎士だった時は、それは真面目に職務に励んでおりました。

 魔物を葬り、弱った人々を助ける、みなさんが想像する聖戦士そのものでした。

 力はもうひとりの聖騎士には遠く及びませんでしたが、その活躍の噂は彼の数倍」


 もう一人に聖騎士には活躍の話はなく、悪評だらけだったのだろうな。


「ところがある日をさかいに、ブンヘズ殿が何もしなくなってしのです。

 聖都に戻り、自室にこもって調べ物ばかり。


 この時、私は命を受け、彼に会いに行っています。

 合うと彼は私が言葉を放つ前に

 "お前は教会を正しいと思っているか"と聞いてきました」


 シャレーガルの魔法にかからぬよう、喋らせなかったのか。

 しかし、この言いようでは、教会が正しくないと思っていたという事だ。


「続けて

 "教会は、魔王軍との戦いでは急先鋒、魔王軍には邪魔な存在だ。

 なら、魔王軍はどう戦いを挑んでくると思う"

 と」


「では、ブンヘズ殿は教会中枢に魔王軍が入り込んでいたのを、気づいていたのか」

 とオードさん。


「今考えば、そうかと。

 ですがヨガ殿が来る前、教皇が魔王軍下っていると考えるなど、誰にも不可能でした」


 彼は気づいたのだ、そしてここにいては駄目だと、聖戦士を辞めた。


「その後彼が一方的に聖騎士を辞めた時、侮辱されたと彼が逃げ込んだ南方に教会が戦いを仕掛けた。

 それが、かの国との関係を悪くした要因。

 今考えれば、彼が気づいた事を教会に知られないよう、交流で遮断したのでしょうね。

 教皇派が仕組んだと今なら言えますが」


「彼こそ、聖戦士に相応しい人物だったということか」


 クリバルヨイアさんが悔しがる。

 残った聖騎士があれなのだからな。


「ヨガ殿ブンヘズ王にお会いできたら、聖騎士へ復帰意思がないか聞いていただけないでしょうか」


 前聖女様は俺に彼の聖騎士への復帰の打診を依頼するが、聞いた感じその男は受けないと思うな。

 なんにせよ、会ってみたい人ではある。

 カソーエナの国王へ行くのが楽しみなった。


「それと、今聖騎士と名乗っている者の除籍を考えなければなりません。

 教皇がいなくなり、彼の噂も聞くようになりましたが、聞くに堪えない話ばかり。


『人界の盾十国』には、聖女様とオード殿が行かれるのでしたね。

 彼に会い話が本当だった場合は、彼の聖騎士としての身分を剥奪して下さい」



19日に予約したつもりだったのに、上がって無かった

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