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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
6章
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6-1.ピノの提案

前回あらすじ:ヨガは、劇団の事を知りません

(あらすじ?)

 北の山脈を下り、東に進むと海にでる。

 東の海岸は、西と違い砂浜が多い。


「水浴びしたら気持ちいいだろうな」

 とはケイトさん。


「まだ、寒いよ。

 もっと暖かくならないと」


 リーシェさんも入るつもりなのか。


 海流の関係で東側が温かいとは言え、まだ水に入るには寒いと思う。


「もっと南に行けば、大丈夫かな。

 汗でベタつくから、思いっきり水浴びしたい」


 ケイトさん元々露出多いと思う。

 格闘を専門にする人でも、もっと布地の多い服を着ていると思う。


「海の水はベタベタするぞ、服を着て入るなどゴメンじゃな。

 妾は、いつも裸で入っている」


「それは、抵抗あるな」


「ケイトさんのお母さんが、湖で泳いでいるのは、何度も目撃されてるけど。

 あの姿は裸じゃないの?

 服着てる守護竜(ガーディアンドラゴン)なんて聞かないし」


「なに言い出すの。

 でも、そうか」


 もしかして、ケイトさん服着るの嫌なの。


「ヨガ、何を想像してる」

 突然リーシェさんが、俺へ。


「何も」


「顔が赤い」


 すいません。


「南は、教会の力が強いんです。

 そんなはしたない姿を、教会騎士団に見つかったりしたら、捕まってしまいますよ」


 教会との接触では、最悪のパターンだな。




 馬で1日進むと、交易港エレパスの街がある。

 この街は、港が欲しいガーゼレ国が東に国土を無理に伸ばして作ったものだ。


 遅い夕飯を取りながら、今後の計画を話し合っていた。


「結局、教会の上層部への接触って難しいな」とはキューさん。


 それを受けて、タビさんが話し始めた。


「これまで判った事を、もう1度まとめてみよう。

 アコール神聖国は都市国家で、本来アコール神聖国は1つの街を示す。


 その周辺には、『七つの子』と呼ばれる属国から奉納された地が、荘園として有る。

 アコール神聖国と呼ばれているのは、この荘園を含めた地域を指す」


 知らなかった。

『人界の盾』では、荘園の存在も知られていなかった。


「7つの属国のうち、荘園に隣接する2ヶ国は入国も難しい。

 ただし、南側のバヨタナスには、ユニコーンの保護地があるので、そこまでは行けるかもしれない。


 が、出来る事はそこまでだ」


「教会に動いてもらうためには、聖女か教皇、少なくとも枢機会議のメンバーに会えないと話にならないけど。

 その居場所も、知っている人も見当がつかない」

 とケイトさん。


「献金すれば、懇意になれそうな司祭は何人かいますが、今回は避けたい人物ですね。

 面倒ごとは避けたい人ばかりなので、私達の話を、上に言ってくれそうもありません」


 ピノは、ビチュレイリワの調査を含めての発言だ。

 俺もそんな人には、近づきたくはない。


「枢機会議のメンバーも、どこにいるのか非公開。

 教会は秘密が多すぎ」


 ケイトさんがぼやく。

 ビチュレイリワが探しても見つけられなかった。


「俗界と関係を、持たないためと聞いています。


 主神は魔王を倒すため、この地にいます。

 魔王がいなくなった時には、神界にお戻りになられる。


 お戻りになられた後は、魔王誕生以前の正しい世界に戻るべきという教えがあります。

 そのため教会は、この世界への関わりを出来るだけ少なくしているのです。

 主神には名が無いのも、そのためと聞いています」


 無理やりな理由だな。


 人の思いが力を持つこの星では、宗教は神の力が実体化してしまう。

 そのため、創造主は宗教を禁じ、様々な策をこうじたと、以前タビさんに聞いた。


 ビチュレイリワの推測では、個人のマナのみで生み出される精霊の存在が、そうだろうと。

 それと、各地に残る古い土地神は、小さな集団に収めるための名残だろうと、いう話だ。


 魔王を倒すためだけの、偽の神。

 だがその影響力は本物で、俺がその力を借りる事は、この宗教を作った初代教祖の考えにそくしている。

 使わせてもらう。



「君たち、『七』に行くのかい」


 突然、隣の席にいた男が話しかけてきた。

 声が大きかったか、気をつけないと。


「そう警戒しないでくれ。

 私はゾソードで冒険者ギルド長をしていた、ホーヤというものだ。

 君たちにお願いがある」


「なんでしょう。

 お話だけは聞きますが、仲間のためにも受けるとは約束はしませんよ」


「当たり前だ。

 君がリーダーか、いいパーティだな」


「お世辞はいいです」


「そう言うな。

 この話は、私が良いと思った冒険者に、頼んでいるものだ。


 話は簡単だ、『七つの』国内にある非公式の村で治療を頼みたい。

 君は神官だよね」


 とキューさんを向く。


「どうして教会の勢力圏内で、治療が必要なんです」


 リーシェさんが口にした疑問は全員が思った。


 治療なら、教会の神官が行える。

 どの街にも教会があり、お布施というお金はかかるが、治療してもらえるはずだ。


「大きい声では言えないが、今『七つの子』内では、治療する相手を選別している。

 全員を治癒してはいない。


 その話を知らない人々が、今でも教会の奇跡を信じて周辺から集まり、治療を断られている。

 そんな人は大抵戻れない、行き先を失った人々が勝手に村を作り、細々と暮らしている」


「教会の奇跡を信じてアコール神聖国に来たけど、結局は治療を受けれなかった。

 その人達を私に治療してくれ。


 自慢じゃ有りませんが、私は治癒の奇跡が苦手です。

 私に出来るとは思えません」


「君は『人界の盾十国』出身だろう。

 なら、大丈夫さ」


「それは、どうしてですか」

 とリーシェさん。

「まさか...」

「おっと、その先は無闇に口にしないほうがいい」


 ホーヤさんが、リーシェさんを遮った。


 なるほど。


「妾達は、教会に頼みがある。


 正しいかは別にして、選別している理由があるのだろう。

 その人々を治癒するのは良いが、それで教会に目をつけられぬか」


「それは大丈夫だ。

 彼らも本心では、人々を救いたいからな、邪魔をする事はない


 それに教会は今、聖女派と教皇派に分かれている。

 村での治癒の話が聖女派の耳に入れば、聖女に会える機会が有るかも知れないぞ」


 やっぱり、話を聞かれていたか。


「教皇派は無理なんですね」


「君は、何でも口にしないよう気をつけるべきだ。


 行ってみれば、すぐに判る」


 他に良い方法も無い、いいかな。

 キューさんを向くと、了承の意思でうなずいた。


「でも、どうしてホーヤさんこんな事を?

 正式なギルドの依頼でもない。


 それに、隣の『七つの子』の街ゾソードの"元"ギルド長なんですよね」


 みんなにいいか確認しようとした瞬間、リーシェさんがホーヤに質問した。


「お嬢ちゃんは気が回るな、ほんといいパーティだ。


 隠すことでもない、冒険者ギルドに迷惑がかからないようにだ。

 その顔じゃ、冒険者ギルドと教会の関係を知らないな」


「そうなんです。

 そこがずーっと疑問でした。


『魔王を倒す』、それに関しては、冒険者ギルドも教会も同じ思いのはずです。

 それなのに、一緒に対応してるようには見えない」


 俺は思わず、食い気味に聞いてしまった。

 ホーヤさんが、一瞬笑う。


「仲が悪いからさ」


 視線を向けると

「妾は知らん」とタビさん。

「気が付きませんでした」はピノ。


「大ぴらな話じゃないからな。

 特に冒険者ギルドじゃ、どうでもいい話になっている。


 先の第三次魔王大戦以前は、教会本部は『人界の盾十国』の地に有った。


 廃墟からの復興で、教会は遅れた。

 遅れてもいいと思っていたのだろう、その証拠に後から来て、土地をよこせと要求してきた。


『人界の盾十国』も教会の力は必要としていたので、ある程度譲歩するつもりでいたが、要求が高すぎた。

 拒絶された教会は、その名を使い、国をまとめようと考えた西の国に、アコールの街と荘園をもらった。

 そして、その地を本拠地にしたのさ。


 冒険者ギルドは、残った神官で冒険者系の神官をまとめた」


「知らなかった」

 とはキューさん。

「そう言われれば、アルテミラルにいた時はアコールの事なんて何も聞いていなかった気がする」


「冒険者ギルドが必要だったのは、神官の治癒の力だからね。

 離れていった、教会の権威には興味が無かったのだと思う。


 それに、分かれても神官の力は衰えなかった。

 皮肉にもね」


 逆に教会側では、追い出された恨みが有って、話が残っていたのか。


「一応言っておくが、『七つの子』内の冒険者ギルドは、街の人々には必要とされている。

 教会騎士団とは微妙な関係だが、何とか上手くやっている。


 冒険者は、多少控えめに行動していれば、それでいい」


「では、どうして"元"ギルド長なんです」


「我慢が足りなかっただけだ。


 私みたいにはなるなよ」


 ホーヤさんは、俺より我慢強いように見えるけどな。


 もう一度みんなの意思を確認してみる。


「「ヨガにまかす」」


 だったので

「その話、やってみます」


 ーーーーー


 後日ホーヤさんに村の位置を聞いて出発した。

 道が無くても、ビチュレイリワの案内だ、迷うことは無い。


 道中の時間でもビチュレイリワが情報を集めてくれていた。


 教会はアコールに移ってから、組織化され権威が上がったが、逆に神官の力が衰えている。

 今ではほとんどの神官が、キューさんより治癒能力が劣るらしい。



『七つの子』以外では冒険者系の神官が多く、『人界の盾十国』ではほぼ全てがそうだ。

 教会からは、各国に使者が派遣されている。

 どの国も、国政に口を出さない限りは、使者を受け入れ教会の代表にしている。

 教会との関係のためというよりも、神官の能力維持のためらしい。

 正当な神の意思は、まだ教会にあるという思いがあるためだ。


 荘園に隣接している、2ヶ国が教皇派で、他5ヶ国が聖女派。

 2つ派閥は優先順が違うだけで、言っている事に差がない。

 教皇派は教会組織を、聖女派は信者を先にと言っている。


 人を見ていると点で、聖女派がましな気がする。


 ホーヤさんはキューさんだけを、治癒が可能と思っていたらしいが。

 俺やリーシェさんも出来る。

 俺の能力は大したことはないが、リーシェの治癒能力は上位神官でも出来ないことが可能だ。

 欠損のある身体を元に戻せるのだから。


「妾に出来ぬ訳がなかろう」

 とタビさんも当然のように治癒魔法が出来る。


「リデルの乙女の話を知らない」

 とはケイトさんだ。


 銀鱗翼竜(ケフロイヤ)の伝説の中に、戦いに巻き込まれ全身に火傷をおった乙女を一瞬で治したものがある。

 過大な脚色があるが、実話だったらしい。


 でピノ。

「私は『クスリ』の作り方を提供します」


 みんな何を言われたのか理解出来なかった。


「『クスリ』って何です」


「私達の国の発音をしました、この星にその考えはありません。

 ナノマシンのある本国でも、使われなくなった技術です」


「使われなくなったから、この地に伝えてもいいと」


 いままでの彼女達の考えとは違うものだ。


「違います。

『クスリ』の概念は無くとも、各地にその断片は存在しています。


 それをまとめ、発展させれば『クスリ』になります。

 私が『クスリ』の祖となりましょう」


「いいのか?

 何とか委員会とか言うのは」


 彼女達には、行動にかなりの制約が有ったはずだ。

 それを判断する機関も有ると聞いている。


「ギリギリですが大丈夫です」


「どうして、そこまでするんです。

 治癒の力なら、他のみんなで間に合ってますよ」

 とリーシェさん。


「間に合うどころか、ありえないほど過剰よ。

 私のユニコーンもいるんだから」


「この世界では普通の生活にも、魔法が使われています。

 治癒もその1つ。


 ヨガが治癒魔法を使えるように、神官で無くとも治療が行えます。

 神官は神の恩恵を受け、多くの奇跡が行えます」


 ピノはキューさんの前で、神官の奇跡の真実を上手く誤魔化している。

 俺は自分のマナの量でしか治癒は行えない。

 神官は信仰に蓄えられたマナを使えるので、行える回数も魔法の複雑さも違う。


「だから『クスリ』の技術が発展しなかったのですが、『クスリ』には魔力は関係しません。

 教会が欲しがる技術では無いでしょうか」



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