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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
5章
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5-1.進路の変更

前回あらすじ:ヨガ弱かったです。




「「火狐(ヒコ)様!」」


 リーシェさんと、キューさんが驚いてる、2人はマナを見れないものな。

 量はかなり少なくなってるけど、同じだよ。


「姿が全然違う!」


「キューさん、ケイトさんを知っててそれ言うか」


 ケイトさんがあの大きな銀鱗翼竜(ケフロイヤ)に変化すると知ってるなら、目の前の女性が狐になると聞いても不思議は無いのに。


「それは、そうだけど」


 リーシェさんもキューさんも、先代の銀鱗翼竜(ケフロイヤ)の死を見ていないから、実感が無かったのか。


「ケイトとは、お前か?

 代替わりしたのか」


 タビ様がケイトさんを見て、その正体を当てた。

 銀鱗翼竜(ケフロイヤ)を知っている?

 タビ様もマナの判別が可能なのか。


「母を、ご存知で」

 ケイトさんも驚いてる。


「お前の母も祖母も知っておるぞ。


 そうか、もう行かれたか。

 一緒に冒険者をしてたのが、少し前の気がしていた」


「タビ様とケイトさんの母上が、パーティを組んで冒険者をしていたのですか」


「そうだ。

 200年前くらいかな、2人で大陸じゅうを回っていた。

 楽しかったぞ」


「お二人なら、十分に強かったと思いますが。

 ギルドの高名な冒険者の中に、思い当たる名を見つけれないのですが」


 噂話の中にも、ギルドの記録にも見当たらない。

 ちなみにギルドの記録は、ビチュレイリワが覗き見しているので漏れはない。


「妾達は目立つのは嫌じゃったのでな、4つ星のまま上がらず気楽に旅をしていたのだ。

 姿も、4つ耳族っぽくしておったしな」


「4つ耳族っぽく、と言われますと...」とリーシェさん。


「妾は4つ耳族ではないぞ。

 そもそも4つ耳族は、妾のこの姿を元に後から生み出された。

 妾と4つ耳族は別ものじゃ」


 タビ様が長い髪をかき上げる。

 人の耳がある場所に、耳がない。


「この耳は本物ぞ」

 頭の上の耳がピクピクと動く。


「妾は元々、普通の狐だった。

 この姿は、2番めの夫にもらったものじゃ」


 狐?

 2番めの夫?

 姿をもらった?


 何を言っているのだ?


「2番めの夫とは、創造主ですか?」

 とピノが割り込んできた。


「妾のご主人様は、創造主のお一人だった。

 仲間からは、変わり者と思われていたようだが」


「創造主は、数名おられたのですか」


「1000人はいなかったがな、お主ならもう気づいていよう。


 創造主は遭難者だった。

 この地に来て、帰れなくなった方々じゃ」


「やはり、そうでしたか」

 遭難?

 どこが、やっぱり?


「今度は、妾が質問するぞ、答えよ。

 お主は、創造主達を知っているか」


「多分。

 としかお答え出来ません。

 この地の文化に近い、記録があるのですが、まだ確定できておりません」


「近いとは、姿か?」


「この地には、我が国の住人に似ている種が多数おります。

 1種だけであれば、確定できたのですが。

 なにか理由があるのか、全くの偶然なのか」


 タビ様が俺を指差して

「創造主は、この者に近い姿だった」


「ヨガ、2人が何を言ってるか理解出来てる?

 私には無理」


「キューさん、俺もだから安心して」


「まったく理解不能」とケイトさん。


 リーシェさんも手を上げて同意している。


「後で説明します。

 理解するための知識が不足しているので、今理解してもらうのは難しいです」


 ピノは護衛の獣人をチラリと見た、言葉に注意しているようだ。


 タビ様に向かい直し

「タビ様、私をお側においていただけないでしょうか」

 と頭を下げている。


「妾の知っている事を知りたいのだったな」


「はい」


「お前は面倒くさそうじゃ。

 止めておこう」


 ピノの申し出は、あっさり断られてた。

 面倒くさいのは合ってると思う、そういうのはひと目で判るんだな。


「以前火狐(ヒコ)様が言われてた望みを叶えられたら、しばらくは一緒にいて下さるのでは」


 リーシェさんが、ピノに助言をする。


 そう言えば『死にたい』と、とんでもない事を言われてたな。

 どうやっても死ねない、と言うのもすごいが。


「ピノがいた場所では、マナが無いため魔法が使えないんでしょ。

 タビ様を、そこへお連れしてみたら」


「どういうことだ」


 タビ様がリーシェさんの提案に興味を示した。


「タビ様、創造主が遭難者とご存知でしたならば、ここ以外に世界が有る事もご理解いただけると思います。

 そして、この地以外にはマナがございません」

 とピノがリーシェさんの提案を補足した

 全身マナの塊のタビ様なら、マナの補給がなくなれば、存在出来なくなる可能性がある。


「なるほど、乗ってみても良い話じゃな」

 タビ様も、気になる様子だ。


「いいだろう。

 しばしお前達に付き合ってやる」


「何が決まったの?」


 これまでの話に、付いて来れなかった、ケイトさんには何が起きたかわかっていない。


「タビ様が、私達と一緒にいてくれる事に決まったの」とキューさん。


「タビ様がパーティに入って事?」


 そうか、さっき4つ星の資格があると言ってたな。


「私はやっと1つ星になれたばかりなのに、まだ仲間外れか」


 ケイトさんはやっと、見習いを卒業できたばかりだ。

 同じパーティーになるには、星の差がありすぎる。


「私も2つ星です」

 ピノは2つ星、どこで上げてたんだ。


「妾に任せよ。

 お前達には、海辺の虎族の陰謀を暴いた功績、今回の子供達と兵の命を救ってもらった礼に、ポイントが付与される。

 すでに5つ星の3人には関係はないが、他の2人が4つ星になれる十分なものだ、受け取るがよい」


「女王様だから、可能なんだと思いますが、それいいんですか。

 職権乱用ですよ」


 キューさん折角だから、もらっておこうよ。


「いいや、妾が言わなくともかなりの礼は出たはずだ。

 不足分を少し足すに過ぎない。

 お前達は謝礼に、金品は受け取りはしまい」


 女王様が一緒か

「でも女王様が国を離れていいんですか?」


 横にいた獣人の護衛に聞いてみると、苦笑いしながら。


「女王様の意思は、女王様の自由です。

 国の運営は、女王様抜きでも動くようになっておりますし。

 なにより元々国内にいらっしゃる事が少ないので」

 最後の一言は、嫌味だと思う。


「ほら、問題ない」

 残念ながら、女王様には効いていない。


 プッ!

 キューさんが吹き出した。

「どうしたのキューさん」


「ハーレムパーティってたまに聞くけど、5人が女性だなんて初耳。

 それが自分のパーティだなんて、面白い。

 ヨガ覚悟しててね」


 しまった!

 他の冒険者に、何を言われるか。


「諦めろ」とタビ様。


「お羨ましいですね」

 と全然羨ましくなさそうに、護衛の獣人が笑う。


「そうなるとパーティメンバの内、2人が無色以外の人か。

 道を変えない?」

 冷静なリーシェさんの提案。


 そうか、その方がいいな。


 考えていた順路では、『亜人』に対し偏見のある国も含まれている。

 2人も連れていれば、不要な揉め事も起きそうだ。


 ここから南だと、カリギュナー王国を通る事になってしまう。


 ビチュレイリワの情報では

[ドラゴンがいなくなった事で、竜騎士達が必死に原因を調査している]

 という事だったので、避けた。


 そうなると北か

「帝国ですか?」とリーシェさん。


 ジルミアンユル帝国、大陸の北に横たわる山脈を領地にしている国。

 横に細長く、この国を通れば、西のアコール神聖国近くまで行けてしまう。


 色々見て回ると言う、ビチュレイリワの要望に答えられないので、避けた道だ。


(ピノを受け入れた結果、こうなったんだからね)


[仕方がないですね]


「行きましょう。

 タビ様もご一緒にお願いします」


「同じパーティの仲間だ。

 様はいらない」


 立ち上がると、複数あった尻尾が1になっている。

 これが4つ耳族っぽい姿か。


 正直言えば、違いはあまり無いと思う。

 本人にしか判らないこだわりなんだろうな。


 ーーーーー


「女児。

 信徒の衣装に似合わない体つきの妹系。

 引き締まった肢体の綺麗な姉ちゃん。

 4つ耳の清楚系。

 もう1人の4つ耳は、お姉さま系。


 すごいな、お前」


 国境警備兵に会って、最初に言われたこの言葉だ。

 覚悟していたつもりだったが、かなりこたえる。


「ここまで、幅広いのは初めて見た。


 好色商人にはいないな。

 彼奴等連れているのは、自分の好み丸出しの同じような女ばかりだからな」


「全員、俺の女じゃないです。

 仲間の冒険者なんです」


 キューさんが小声で『俺の女じゃ無いそうですよ』と、リーシェさんに言っている。

 俺に聞こえるの知っててやってる、たちが悪い。


 そのリーシェさんは、女児と言われて怒ってるし。

 膨れた顔は可愛いけど。


 ケイトさんとタビさんは、俺を面白そうにみてるし。

 ピノは、我関せず。


 帝国に入っても、好奇の目にさらされている。

 国境に近い街に入ったが、入る時入った後も、俺に一言ある。

 ただし彼女たちが経験者豊富な冒険者に見えるため、『一晩貸せ』みたいな馬鹿な事を言ってくる者はいなかった。


 宿で部屋分けをした時の、俺が1人になるよう頼むと『いいんですか』と念を押され、通された部屋のベッドが大きかった。


 荷物を彼女達に頼み、1人飲みに出てきた。

 変に疲れて、1人になりたかったためだ。


 俺は酒は飲めるが強くない。

 ある程度酔うと、体が自動的に分解を始め、悪酔いしないようになっている。

 無駄に飲んでも仕方がないので、ちびちびと飲んでいた。


 酒場の中を見ると、俺と似たような冒険者ばかりだ。

 ここは街のギルドに近い酒場、明日にはギルドに顔を出そう。


 星の低い若者は、装備が荒れていて生きていくが精一杯、という感じ。


 意匠が同じ紋章や、同じ色の布を着けているのは、カンパニーに入っている者だろう。

 装備に金をかけているように見える。


 この街にも複数のカンパニーがあるようだ。


「さっさと俺の酒もってこさせろよ」

「すいません、注文はしてます。

 すぐ来ると思います」


「遅えっていってるんだよ。

 注文はお前の役目だぞ、こんなに遅いなら俺は金は*はわねえ。

 お前が代わりに払え」


「ハンドさん、そんな」


「ギャハハ。

 ボギソンがそんな金持ってるわけないだろう。

 今日も俺達に奢られようって魂胆なんだから」


 カンパニーの新人いじめか。

 7人が飲んでいる中に、1人小さな女の子がいる。


 見た目リーシェさんくらいかな。

 エルフ混じりに見えないから、そのままの歳だろう。


 首に賭けられている紋章が同じなので、同じカンパニー所属か。

 あまりいいカンパニーじゃなさそうだな。


「さっさと酒もってこい」


 少女を蹴飛ばした。

 倒れた少女が俺の近くまで飛んでくる。


「酒がまずくなるな」


 少女が立ち上がるのを助けながら、つい本音がでてしまった。

 よく見れば少女の右手の指が揃ってない、襲われた後遺症だ。


 騒いていた席の3人ほどが立って近づいてきた。


「なんだ。

 そんな、おとりにしかなれない奴のかたもつのかよ。

 よそもん、ここじゃ、はやらねえぞ」


 この子を、おとりに使っているのか。


「ひでぇカンパニーだな。

 カンパニーって言うのは、自助組織だって聞いたが」


「おいお前、うちのカンパニーを馬鹿にすんのか」


 暴れたくてケンカ相手を探していたようだ。


「そんな気はない。

 酒が不味くなると言っているだけだ」


「止めてください」


 少女が泣きながら、俺を止めようとした。


「うるせえ、お前は後で躾てやるよ。

 俺達『漆黒の鉄槌』にケンカうったんだ、ごめんなさいでは済まないからな」


 少女は声を出して泣き崩れてしまった。

 後で行われる、躾を怖がってだろう。

 逃げ出す元気もないのか。


「このカンパニーから助けてあげようか?」


 と小さな声をかけても、首を振る。

 何か理由があるのかな。


 違うな、俺を信用出来ないんだ。

 そうだよね、この前もなんにも出来ないまま倒されてしまったし。

 大切なリーシェさん達を守る事が出来なかった。

 俺はそのためにいるのに。


「どうした黙り込んで。

 怖気づいても遅えぞ」


 俺は3人で囲んでいる。

 酒場の中を見渡すと、店の者は慌てているが客の多くは楽しんでいる。

 こんなケンカは日常なのだろう。


「うらぁ!」


 後ろからいきなり切りつけられていた。

 うなじに当たる直前で、なんとかバスターソード刃を掴む事が出来た。


「手加減無しで、切りつけて来たか。

 これはケンカじゃないよな、殺し合いだよな」


 大きな剣を掴んだまま、俺は立ち上がる。

 周りにいた同じ紋章を付けて飲んでいた者たちが、立ち上がった。

タビは多尾なんですが、ルビがめんどうで...

これ以上、女性が増える予定はありません。


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