4-12.再会
前回あらすじ:最後のリーシェちゃんの、ヤキモチがわかりにくかったのは、作者の力量不足です
俺達が開放されるまで、11日かかった。
虎族の村人が、別の場所への移動が決まり、俺達へ聞く必要が無くなって開放された。
そこで個別に罪状を調べられるらしい。
進んで魔王側に付いていた者は俺達への襲撃に参加していたので、残った村人はそんなに内情を知らない。
『長の指示に従った』だけの者も多い。
ピノは色々と聞き回っていたが、俺達には何も言ってこないので、放って置いている。
もっとも『具体的な事は何も判らない』らしいから、言ってこないのだと思うが。
『暗黒大陸へ行きたい』と言われないかと心配したが、それもない。
女王の国を北に移動して、湿地帯を通って国に出た。
途中にいたリザードマン達は良くしてくれたが、それとは別に湿地は人には水気が多すぎる。
長居したくなかった場所だったので、急いで通り過ぎてしまった。
大きな川が国境になっていて、船で渡った対岸に乾いた土が有って、ホッとした。
みんなも同じ感想を、持ったと思う。
ここはどこの国でもない空白の土地だ、次の国には1日ほどかかる。
細い道が有るだけで、そこをゆっくりと進んでいた。
「前方で、馬車が襲われています」
突然、ピノが声をあげると、俺にもその状況がわかるようになった。
俺が、直接広い範囲を見ていても混乱してしまう、ピノが俺達に関係しそうな情報のみを、伝えてくれるのだ。
馬車3台が、襲われている。
これは
「どうする?」
みんなに聞いてから動こう。
「どうしたの、いつもなら、『助けに行くぞ』って走りだしてるのに。
何かあるの」
リーシェさんが、俺の物言いに引っかかったみたいだ。
「馬車の荷はたぶん子供、奴隷商が襲われてるんだと思う。
これ、助けて良いのかな」
「くだらない奴ら同士の揉め事なら、どっちもぶん殴って、子供助ける。
襲っている人達の目的が、子供の救出なら、そっちに付く」
キューさん、気持ちのいい答え。
「それに、ここはどの国でもない、国法も関係ないわ。
子供を助ければいいの」
「そうだね。
みんな行くか」
俺が言う前に、全員駆け出していた。
ピノはキューさん用に用意していた、軍馬に乗っている。
「到着してもどっちに味方するか見極めたいから、剣は抜かないで」
「剣を持っているのは、ヨガだけよ」とケイトさん。
このパーティで、剣を使うのは俺だけだ。
リーシェさんは精霊使いで、精霊を呼ぶ。
キューさんは神官で、神の奇跡を起こす。
ケイトさんは、単純に殴る蹴るで。
ピノは、弓を使っている。
ビチュレイリワ製の軍馬なので、普通の馬より早く移動できる。
その速度に、キューさんが乗るユニコーンは付いてきていた。
馬車の襲撃は、戦闘の流れが変わった。
少し前まで見合ってた様子だったが、襲撃者側の数が急に減っている。
もともと数は襲撃者側の方が多かった、それが1人によって倒されている。
このマナは、あいつか?
嫌いな奴の顔を思い浮かべてしまった。
「聖騎士がいる」
「えー」
露骨に嫌な顔をするキューさん。
気持ちはわかる、俺も会いたくない。
「どっちかの味方をしてるの?」
とリーシェさん。
そこが気になるよね。
「馬車の味方だと思う。
襲撃者が減っている。
着く前に勝負は終わってるな、これ」
「なんで奴隷商の味方をしてるの。
教会は、人の命に差は無いと教えているのに」
それでも、色々な理由で奴隷はいる。
借金、犯罪、戦争の捕虜など、本当に色々だ。
安い労働力として、国が認めている事も多く、無くなりはしないだろうな。
もうすぐ現場に着く、でも完全に勝敗は決まったようだ。
馬車が止まっている場所に着くと、周りに十数人の人が倒れている。
ほとんどが死んでいる。
手加減がないな。
「だんな、新手が来ました」
馬車に乗っていた男が、奥に叫んだ。
いきなり、俺に剣が振り下ろされた。
ギリギリで交わす。
「何をする!」
俺を殺そうとした、男に怒鳴る。
「仲間が来たと聞いたのでな。
違うのか?」
やはり聖騎士だった。
「今ここに、着いた所だ。
何が有ったのか、聞こうとしていた所だ」
「そうか。
馬車が襲われていたので、助けた」
謝りもしないのか、この男は。
「彼らは?」
見れば倒れている者は、一太刀でやられている。
あっという間だっただろう。
「賊だ」
それで済むか。
全員、多色の人達だ。
「ヨガ。
この人」
リーシェさんが、倒れていた1人を抱えている。
まだ息がある。
抱えられている人に見覚えがある、犬系の4つ耳族。
国境の警備兵だった。
なら、子供達がどこから連れて来られたのか、想像がつく。
倒れている人達の事も。
「おまえ」
俺が聖騎士に言いかけた時には、リーシェさんが切られていた。
抱えていた、4つ耳族の人と一緒にだ。
リーシェさんの左手が飛んでいるのが見えた。
!
俺の剣が、聖騎士の足を切りつけた。
硬い、刃が通らない。
「知り合いがいたか。
仲間だったか」
そう言うと、攻撃してきた。
受ける、早く重い。
「これを受けるか」
俺と聖騎士は離れ、相手を見た。
聖騎士は剣をぶら下げた無造作な動きだ、それに対して俺は剣を構えている。
[全力で行きます]
マナをまとって、高速化した。
だが高速化した俺より、聖騎士は早い。
竜騎士が使っていた高速化と同じで、一瞬の動きが早くなる。
その一瞬が俺より早い。
そして重く、硬い。
ここまで強化されていれば、剣技など関係ない。
俺はスキをついて、奴の体に刃を当てている。
全てが、弾き返されてしまっている。
目を狙ってみたが、一瞬止まる程度だ。
手がない。
俺とこれだけ打ち合えば、普通の剣では耐えられるはずがない。
剣ごと強化しているのだ、鎧も俺では突き破れない。
聖騎士の速度は、まだ上がる。
上限が無いのか。
聖騎士は、単純な動きしかしていないが、俺は追い詰められている。
高速化した俺の視界からも、聖騎士が消えた。
瞬間、胸に剣が突き刺さる。
[緊急シーケンス 1246発動。
主要部の保護の優先]
すぐに聖騎士は剣を抜き、とどめに首を狙ってきた。
動けない。
ガッン!!
剣が弓で、止められた。
「ウッシャー」の声と共にケイトさんが、聖騎士を思いっきり殴る。
聖騎士は後ろに飛ばされたが、吹き飛んではいない。
丈夫過ぎる。
「すごいな。
私を、吹き飛ばすか」
聖騎士が驚いている。
弓はピノの物だ、俺の剣より良い素材が使われていると聞いた。
俺は、意識はあるが、体を動かせない。
目も開けられない、周囲を認識能力で確認する。
[想定外な状況です。
まさかこの世界に、ヨガの体に傷つける事が出来る者が、いるだなんて。
心臓を一突きされています。
機能を代用しています、安定するまで動けません]
(リーシェさんは?)
[大丈夫です。
左手を切られただけです。
最初にヨガを助けた時より、軽症です]
あの時俺は、両手を失ってた、それよりはましか。
少し冷静になれた。
でも状況は良くなっていない。
ピノとケイトさんが対抗で出来るみたいだが、聖騎士を倒す事はできない。
「お前、急所を突かれて、平気なのか。
人か?
人で無いなら、倒しておいた方がいいな」
勝手に決めるな。
「なら妾も殺すか?」
後ろから声がした。
この膨大なマナに、何故今まで気づかなかった。
[検出、出来ていません。
急にマナ量が増えました]
このマナは知っている。
だが、この姿は知らない。
狐耳の4つ耳族のようだ、そして尻尾が沢山ある。
「お前は」
聖騎士が一歩引いている、彼女に何かを感じたんだろう。
「妾は『女王の国』の女王」
「「!」」
女王!
「ここに倒れている者は、我が国の兵。
攫われた子供を追ってきた者たちじゃ」
やはりそうか。
「商隊を襲っていたので倒しました」
聖騎士は、自分の行為を正当と考えている
「その商人が奴隷商で、子供達を襲ってきたのでしょう。
この人達は、助けに来たんですよ」
キューさんが指摘すると
「そうなのか」
と馬車に乗っていた男に聞く。
「俺達は国に認められた、正当な商人です」
と指輪を見せてきた。
奴隷印の術を行える魔法の道具だ、見せびらかすものじゃない。
「それに、商品がどこから来ただなんて知りません」
この一本道でそれが通じると思っているのか。
「だ、そうだ。
私には知りようもない」
知ろうとしなかっただけだろう。
「どの国でもないこの場所に、正当な奴隷商なんていないわ」
とキューさんが言うと
「そうだな」
聖騎士が剣を一振りすると、剣撃で奴隷商の首が飛ぶ。
「お前達は、悪か」
そう言うと、聖騎士が消えた。
馬車に乗っていた者達の悲鳴が聞こえてきた。
戻って来ると
「では」
と言って去って行こうとする。
キューさんが、何か言いかけたが
「止めて置け、言うだけ無駄だ。
やつには中身がない、空っぽだ。
お前の言葉は届かん」
と狐耳の女王に止められた。
「それより娘。
息が有る者を助けてくれぬか」
「そうでした、申し訳ありません」
「向こうの人が生きてる」
ピノが生きている人をキューさんに教え始めた。
リーシェさんは血も出ていない。
腕を元の位置に戻すと、繋がった。
まだ無理は効かない、繋がったように見えるだけだ、経験がある。
問題ないとピノが言ったので、俺を放ってみんな倒れている人を助けにまわった。
おかげて、6人を救う事ができた。
残念ながら、すぐに動ける者はいない。
後から増援が来るはずだと言われ、待つ事になった。
その日は、その場で野営する事になった。
しばらくして俺も動けるようになったが、心音が聞こえるようになったのは、翌日になってからだった。
朝早く増援が来た、8人だ。
惨状に驚いて、すぐに『もっと人を連れてくる』と3人が戻る。
もう1日ここにいる必要が出た。
子どもたちの食料も、増援に来た人達が持ってきた分でなんとかなる。
昨夜は、俺達の食料を全部だしても、足りなかったのだ。
安心し満足に食べられ、やっと子供達の笑顔が見れた。
その笑顔で、リーシェさんとキューさんが泣いている。
ケイトさんピノも嬉しそうだが、この辺は微妙な差がある。
「女王様、助けていただきありがとうございます」
俺達は、女王の前に座り、礼をした。
かなり簡単な場だが、謁見の形式を持って女王に会っている。
当の女王は
「堅苦しい、止めよ」
「どうぞ、楽に」
と横にいた、護衛の獣人にも言われる。
「国に王都や城が無いのは、そのような事が女王様が苦手だからです。
どうぞ、普段どおりにしてください」
「妾はタビ。
女王として国民を救ってくれた事、感謝する」
逆に頭を下げられた。
「それに、海辺の虎族の事でもお前たちには迷惑をかけた。
褒美を渡したいが、お前たちは金品に興味がなさそうだな。
何か欲しい物はないか」
俺には無いな。
みんなは?
見ると『さぁ』という感じだったが、1人だけピノさんが
「女王様の知識をお教え下さい」
女王はピノを見て
「前に同じ事を言われたな」
「前?
ピノさん女王様にお会いしてした事があるの」
「リーシェさんも、お会いしてるよ」
「え?」
「お姿が違うけどお会いしてるよ、キューさんも。
その時は火狐様とお呼びした」
リアルが忙しいので、修正できていません、申し訳ありません。
誤字・脱字の指摘うれしいです、ありがとうございます。
後から呼んでいただいた方に、「読みづらい」と思われないためにも、直さなければ...




