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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
4章
58/104

4-11.ドワーフと教会の話し

前回あらすじ:ビチュレイリワはもっとやれるそうです。


「邪魔するぞ」


 夕方にドワーフのトルパが来た。


「何でしょう?」


 事件の聞き取りは、昼間他の長も一緒にいる所で行われている。

 しかも今日で終わったはずだ、その判断が出たから、俺たちはここにまとめられてる。


「虎族の事じゃない。

 個人的にお前達と話をしたくてな」


 個人的に?


「そこの3人が『深淵の都市』からの生還者だと聞いてな。

 あの街の事を聞きたくてな」


 持ってきた酒を前に出した。


「コップは儂の分しか持って来なかった。

 お前達も飲むだろう」


 夕食に使った椀に注いでもらった。


 一口飲んだが、きつい。

 さすがドワーフの酒、噂に聞いた通りだ。


「何だお前ら全員いける口か、強いな。

 これでは、すぐに酔ってしまう」


 俺やリーシェさん、キューさんは、毒を飲んでも平気だし。

 その原因の大本、ピノが酒に酔うはずがない。

 ケイトさんも酒に強いのか。


「『深淵の都市』の情報は、アルテミラルから公開されてるはずですが」


 魔物の生まれる魔境内部の話だ、秘密にする事はない。

 アルテミラル王国からは、積極的に知り得た事を外に出していたはずだ。


「ここに来るまでに、話が変わるのでな」


 ここは亜人の国だった。

 正式には『女王の国』だが、アルテミラル王国でさえその名で呼ばれることはない。


「見た者がいるなら、直接聞いた方が正しい話が聞けるからな。

 あの街は、我らドワーフには特別な所だ」


「『深淵の都市』が特別な所とは、どういう事です」

 とピノが割り込んできた。


 自分の口で、聞きたい事を聞くために、彼女はここにいる。


「魔境奥地に、ドワーフの先祖が作った街があると、言い伝えられている」


「「『深淵の都市』をドワーフが作った!」」


 行った3人の声がそろう。


「そんな事が有るんですが。

 あそこの技術が有れば、この大陸の街はもっと発展してていいです。

 この国にでさえ、使われてるところは見たことがない」


 3人が感じた事を、ピノが口にした。


「まあ言い伝えだからな。

 それに作ったのは、先祖と言ってもエルダー・ドワーフだ。

 俺等とは違う」


「エルダー・ドワーフと言う名前、初めて聞きました。

『深淵の都市』を作ったのが、彼らだなんて言う話も」

 ケイトさんは、母親から古い知識も教えられている、それも知らないだなんて。


「すでに伝説の話になっていた。

『深淵の都市』の技術も、第一次魔王大戦の時に街を奪われ、伝承は途絶えている。


 魔境の奥にある、気軽に行ける所ではないしな。

 街の存在も忘れ去られて、ドワーフの言い伝えでも、物語として語られていた」


「以前の遠征で『深淵の都市』の事は知れ渡っていました。

 でも、ドワーフが作ったとは聞いた事はありません」


『深淵の都市』が見つかったのは、かなり前だ。

 ならなぜ自分達が作ったと言い出さなかった。


「発見した時は、『街らしい物を見つけた』だったはずだ。

 儂らの話とは、違うかもしれないじゃないか。


 それに言い伝えにある街は、信じられない事が出来ていた。

 再現出来ない儂らが言っても、先祖自慢にしかならないからな。

 そんな恥ずかしい事出来るか」


「あの街は、作られた街なのですね」

 なんと当たり前な事に、ピノが感心してる。


「当たり前だろうが、街は誰かが作るものだ」


「すいません。

 今有る技術に、あの街の痕跡を見つける事が、出来なかったものですから」


「伝承されていないと言っただろう。

 今ではどうするか見当も付かない技術が有った。


 動く道や、動くドアが有ったのだろう?」


「はい、ありました」


「動く道、あったか?」


「動いてはいませんでしたが、すべての道にその機構が有りました」


「ピノは気づいてたの」

 リーシェさんも俺も気づいてない、ピノも教えてくれなかったし。


「動かすのは無理だと思いましたし、それにあの時は重要な事では有りませんでしたので、伝えませんでした。

 その技術が、街を作った当時には有ったということです」


「作ったのは、エルダー・ドワーフ。

 儂らとは出来が違う」


「そもそも、エルダー・ドワーフとドワーフって何が違うんですか。

 エルダー・ドワーフにはどこに行けば、会えるんでしょう」


 ピノ、行く気か?

 ビチュレイリワが会いたいんだと思うが。


「エルダー・ドワーフはどこにもおらんよ。

 純血なドワーフがエルダー・ドワーフ。

 人と混じったのが、我らドワーフさ」


「ドワーフ混じりが、ドワーフなんですか?」


「そうだ、ドワーフ混じりでも血が濃く、その特徴を持った者が、この国にいる。

 それがドワーフと呼ばれているに過ぎない。


 元々エルダー・ドワーフがドワーフだったが、血が薄まった者もドワーフと呼ばれだしてな。

 先祖に敬意を示してエルダー・ドワーフと言い出したのが始まりだ」


「じゃ、トルパさんとお父さんとの違いは、血の濃さだけなの?」


「お前さんは、どちらかと言うと、エルフまじりに見えるんじゃが?」


 エルフ混じりのリーシェさんのお父さんが、ドワーフ混じりと言うのは理解できないか。


「彼女の育ての親が、ドワーフ混じりなんですよ。


 エルダー・ドワーフがいなくなったという事は、純血種が保たれなかったという事ですよね。

 技術を残す為にも、もったいなかったですね」

 ご先祖はどうお考えだったんでしょう」


 種族を守る考えはなかったのだろうか?


「わはは!」


 トルパさんがいきなり笑い出した。


「それは無理な話だ。

 エルダー・ドワーフは男しかいなかったのだから。

 ハイ・エルフに女しかいなかったと同じように」


 ・

 ・

 ・

「「「えっ!」」」


「ドワーフもエルフも、人と恋をし子をなした。

 その子らのために『深淵の都市』を作った。

 ご先祖も、混じりあうのを当たり前だと思っていたはずさ」


 ピノは、今にもトルパさんに飛びかかりそうな四つん這いの姿勢、何故か片手を上げている。


「今、エルフは魔法が使え、ドワーフは丈夫で器用だと思われています。

 当時の人は、そのどちらも持ち合わせてはいなかったのでは」


「それは、そしらん。

 1000年以上昔の話だ」


「第一次魔王大戦以前なら、少なくとも1800年以上前になります」


「なおさら知らんわ。

 ドワーフはせいぜい200年しか生きられんぞ」


 その後は、トルパさんが『深淵の都市』の言い伝えの分の検証だったり、純粋に技術的な興味を聞いてきた。

 答えたのは主にピノだった。


「みんなに良い土産ができた」


 聞きたい事が聞けて、トルパさん上機嫌だ。


「ところで、俺たちどうなるんです?

 虎族村での行動は不問になったとは聞いたのですが」


「お前たちへの疑いはなにも無くなったが、村単位で魔王に寝返ってたのでな。

 裏を取るのに手が足りない。


 もう何日かこの村にいてくれ。

 客人として、もてなすよう言ってある」


 すぐ出発というわけには行かないか。


 ーーーーー


「今後どうする?」


 トルパさん帰った後、どうするかみんなに聞いてみた。


「多くの委任を受けた人からの依頼なら、ビチュレイリワが暗黒大陸を沈められると聞いたからね。

 なんとかしたい。


 でも、暗黒大陸ぶっ飛ばすから許可下さいと、王様達に言えるわけがない」


「まず、会えませんからね」


 顔を知っている国王なんて、アルテミラルの国王だけだ。

 アルテミラル王だけなら、なんとかなるかも知れない。

 でもリーシェさんが嫌がる結果になるだろうな。


「そこで、キューさんの言った、教会の話。

 教会も魔王討伐を目指しているし、上手く話せば、各国の委任を取り付けてもらえるんじゃないか」


「上手く話せればですよね。


 それに一国の王に会えないのに、教皇なんてもっと会えないと思いますよ。

 キューさんそうでしょ」


 リーシェさんは冷静だな。


「そうなんだよな〜。

 さっきは、いい考えだと思ったんだけど。

 実際には、会えて司祭様かな」


「司祭様に話して、上に伝えてもらう事は出来ないかな」


 『上手く話す』の具体的な事が思いつかないけど。


「ビチュレイリワの存在って、教義的に不味いかも。

 教会は全てを知っている事になっているわ、今まで存在しないものを新たに認めることは出来ないと思う。


 そうなると、今まで無かったものという理由で、魔王側の存在にされてしまうかも。」」


「教会はビチュレイリワを、魔王または魔王の同族とみなす可能性があると言うの」

 リーシェさんなんでそうなる?


「お母さんが言ってたよ、教会は力はあるが頭がないって。

 ケイトさんまで。


「教皇様は世俗に興味ないって話だしな。」

 上手く教皇様の耳に届いても、動いていただけないかも」


「キューさん、それで教会は良いの?

 世の中よくするための、教えだよね」


「教会には二派あるんだよ。

 一つは、ヨガが言ったように、人の為に行動しようとする人。

 もう一つは、神の教えに従い正しく生きようとする人達」


「教皇は後者なんだ」


「そう」


「なら、前者はの代表は?」


「聖女様かな。

 精力的に、国々の問題に手を貸してるよ。

 教皇様は、逆にそれを良く思っていないと、聞こえてくるけど」


「どっちの力が大きい?」


「教会という組織を動かしているのは教皇様。

 神から力を分け与えてもらっているのが聖女様。


 教会からの承諾と言う話なら、やっぱり教皇様からもらわないとだめかな。」


 いきなり壁が高いな。

 どうすればいいのか思いつかない。


「それと、教皇様や聖女様にお会いするには、教会本部のあるアコール神聖国行かないといけないけど。

 あの国、入国許されるのは信徒だけだから。


 隣国も属国だから、ヨガ達が行けば警戒されるよ」


 行くのも厳しいのか。


「それに関して私から一つ情報を。」


 今まで黙ってた、ピノが話に入ってきた。


「アコール神聖国の南に、ユニコーンの生息地があります。

 保護もされてますから、ユニコーンを連れて行くなら、怪しまれずすみます。

 あの馬の希望にもそってますし」


 キューさん、なんて顔でピノを睨んでるの。

 あの馬と離れるの、そんなに嫌なんだ。


「そんな事より教皇様に会える方法を、考えてよ」


 八つ当たりだ。


「私達は立場上、具体的な助言は出来ません」


 まあ、ビチュレイリワが何をしてもいいなら、委任なんてすぐに取れるか。

 そもそも委任してもらう必要もない。


「行くまでに何か考えよ。

 まずは、あの馬を連れて行く事でいい?」


「いいじゃない」

「ヨガについてくよ」

「やだ」


 1人、嫌がってるが問題ないな。


 ーーーーー


 1部屋で眠っている。

 寝具が2人分しかない。

 元々俺たちのパーティは4人で、野営の時は見張りは2人が交代でおこなうためだ、不必要な荷物は持たない。


 昨日までは貸して貰えていたが、今日は何故か無かった。

 村が一気に数十人増えたためだろう、これ以上負担はかけたくないので言っていない。


 ピノは寝なくてもいいと言うので、残り4人で分けて寝具にくるまっている。

 今までにも、宿では2人1組で寝たこともある。

 俺がリーシェさんとキューさんのどちらかと寝る、2人には何も出来ないからだ。


 俺と一緒の時、いつもは背中を向けて寝ていたのに、今日のリーシェさんは抱きついてきている。

 小声で『どうしたの』と聞いたが『嫌?』と聞き返された。

 嫌じゃないので、したいようにしてもらった。


 もしかしたら、ピノが来たせいかな。

誤字指摘ありがとうございます。


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