↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
4章
54/104

閑話 剣と盾 後篇

閑話です

結局本編に出てきた人は、誰もでてきません。


前回、弱気にな事を書いたら、読者様に気を使っていただきました。

ありがとうございます。

面白いと思っていただける物を書いて行けるよう、頑張りします

「援軍!」


 後方の峠頂上付近で監視していた者から声が上がった

 折れそうになっていた、兵達から歓声が上がる。


 ちっ。

 王都から増援が来るのは、早くても2日後だ。

 この嘘で、私達を完全に落とそうというのか。


「王都から来るには早すぎる、確認しろ」


「いいえ、前からではありません。

 後ろからです」


 後ろから。

 そこにいる友軍は1つかない。

 その意味を理解し、一気に兵の士気があがる。



 20騎ほどの戦士が駆けてくる。


 馬上から

「無事か?」

 私に声をかけてきた


「なんとか」


 そのまま、敵に進もうとするので


「兄上、ヒドラがいます。

 身体強化では毒は防げません」


 止めようとしたが


「カルヌンは俺と来い。

 他は俺たちがヒドラを駆逐したら、追いついてこい」


 1人を連れて、駆け抜けていった。


 2騎では少ない、支援しなければ。

「長距離攻撃が出来る者はヒドラを狙え。

 力を温存する必要はない」


 私達が敵をここに足止めしたのは、兄へ向かわせないためだ。

 その兄がここに来たのなら、もう抑える必要はない。


「動ける者は、突撃準備。

 ヒドラが取り除かれたら、一気に敵を殲滅しろ。

 兄上ばかりに良い所を持っていかせるな」


 数の上ではまだ向こうが多い。

 だが私達が足止めしなくて良くなったと同時に、敵は支援に向かう相手を失ったのだ。


 戦う意義が無くなった兵は弱い。

 この戦はこちらの勝ちだ。


 敵のヒドラ隊を殲滅している、兄の身体強化は普通の物ではない。

 あの毒にも耐えれるだろう。

 体もミスティルアーマー並の強度になっている、魔剣でも持ってこなければ傷一つ付けれない。


 兄と一緒に剣を振るっているカルヌンは、先の大戦時父と一緒に戦った歴戦の戦士。

 両手用の大剣を片手で振り回して暴れている。

 父には未だに『カル坊』と呼ばれているが、その強さは大陸中に知れ渡っている。


「何故だか敵が可哀想に見えますね」

 2人の蹂躙戦を見ていた副官の感想だ。


「あれと比べられるのか」


 思わず声に出ていたらしく、副官が気づいた。

 慌ててその場から離れる。


「ヒドラは数体しか残っていない、歩兵は前進を始めろ。

 向こうもヒドラがなくなれば、兵が出てくるぞ。

 兄上を1人で戦わせるな。

 魔法使いは明かりを灯せ、今夜で決着をつける。

 出し惜しみするな」


 もしかすれば2人で済んでしまうかも知れないが、それでは兵を連れてきた意味がない。

 いくら英雄でも、同時には一箇所で1つの事しかできない、国を動かすにはそれではダメだ。

 数がいる。


 戦いは、日を超えずに終わった。

 敵を指揮していたレルゲルン卿が、降伏してきたからだ。


 *****


「伯爵はどうしたんです?」


 私は戦闘の後始末を部下に任せ、兄のテントに来ていた。

 兄は戦いの情勢が決した時点で、陣営に戻ってきて寝ていた。


「やつら、砦にこもって俺たちを待ってたよ。


 砦についたのが夕方になってしまったが。

 さっさと終わらせたかったんですぐに攻撃を始めたら、思ってたより簡単に落とせたな」


 兄やカルヌンが旧貴族のしきたりを気にするとは思えない。

 日が沈んで、今日の戦いは終わったと思った伯爵は、相当焦っただろう。


「で、伯爵は?」


「後からくるのが、持って来ると思う」


『連れてくる』ではなくて、『持ってくる』か。

 その方がいいか。


「砦を落として安心してたら、お前と連絡付かないと聞いてさ。

 何か有ったと思って、騎馬隊40ほど連れて来たんだよ。

 運良く途中で伝令と会えて、そこからはついて来れるのだけで来たんだ。

 間に合ってよかった」


 それで早かったのか。


「兄上に無理をさせてしまい申し訳ありません」


「頭は下げるな。

 俺たちは王の命で動いてるんだ。

 しかも今回お前には損な役回りさせたしな。


 ヤンが裏切るとは」


 私も兄も子供のころ、ヤン卿に遊んでもらった記憶がある。


「そうですね」


「ヤンの姉が伯爵家に嫁いでいたそうだ。

 大戦時に死んでいるから、それだけでは無いと思うが。

 良くは知らん」


「その姉の孫、ヤンにとってはなんと言うのか知らないが、だた1人の肉親だ。

 それを人質に取られたそうだ、しかも普通に人質にしてたんじゃなくて胸糞悪い方法でな」


 カルヌンは入ってくるなり、大声で吠えた。

 ヤン卿とは古い友人だ、俺たち以上に思いは有るだろう。


「あんな簡単に殺すんじゃなかった。

 知ってたら、『殺してくれと』言わせてやったのに。


 ヤンは自分で死ぬ事もできなかったらしいからな」


 裏切りは仕方なくか。


 ヤン卿は最初の騎馬隊の戦闘にいた。

 この戦いの最初に矢を受けて死んでいる。

 父への最後の忠義が『死』とは、ヤン卿らしい。


 ヤン卿は部下に、カルヌンへの手紙を託していたそうだ。


「自分の兵には死ぬなと命じてた。

 それどころか、負けを見越した命令してやがった」


 カルヌンは椅子に座って、私へ


「よくもったな」


「だから言っただろう、弟は無事だって。

 こいつお前は、お前がもたないって言ってたんだぞ」


「仕方がないだろう、3倍の数を相手にしたと聞いたんだから」


「あ、思い出したぞ。

 あん時約束したよな、覚えてるか。

 忘れたとは言わないよな」


「忘れた。

 何だっけ?」


 2人はホントに仲がいいな。

 兄は自分の身分を気にしないが、カルヌンも相手がだれでも対応が変わらない。

 唯一父に対してだけは、変えてくれと頼んでいるが。


「俺達が着くまで、弟がもちこたえているか賭けただろう」


 兄がとんでも無い事を言う、何を賭けてるんだ。


「ちゃんと前線を保ってたから俺の勝ち。


 こいつは守るに関しては国内一番だからな。

 俺やカルヌンでも手こずるぞ」


「そうだな、認識を改める。

『不義の子』と言われて、ウジウジしてる坊主だと思ってた」





 カルヌンの胸を掴んでいた。

 持ち上げようともしたが、腕力が足りて無かった。


「お前が『不義の子』かどうかは知らないが、言われてウジウジしてんのはほんとだろう」


 平然と言ってくれた、この男は。


「よし、殴れ。

 カルヌンが悪い。

 俺が許す」


 兄の声で、拳を握っているのに気づいた。

 手を離して、反対側に有った椅子に腰を下ろした。


「まだ、気にしていたのか。

 父はお前を自分の子として認めているだぞ」


「それでも、事実として私は父の子ではない」


 兄を見れない、視線は地面に向いていた。


「お前が『不義の子』なら、俺は『母に捨てられた子』、そして母は『王と王子を捨て、男に走った女』だそうだ。


 だが、母は俺を捨てていない。

 母にはまだやるべき使命があった、それには王妃と言う肩書きが邪魔だった。

 人は勝手に言う、好きに言わせて置けばいい」


「兄上がケイト王妃に捨てられたのでは無いこと、そして我が母が父に対して裏切りをしたのも事実。

 私の場合は、言われている事が事実なのです、それに対して言い返す事ができません。

 今私の部下も、陰では私を『不義の子』と言っています。

『不義の子』の部下では、彼らも可愛そうでしょう」


 カルヌンが兄と顔を見合わせて後、外に出ていった。

 何かと思っていると、すぐに戻ってきた。

 私の副官を連れていた。


「お前に聞きたい事がある」


 兄はベッドに腰を下ろしている、上官としてその姿はどうかと思う。


「弟は部隊の者に『不義の子』と言われているのか」


 副官は膝をついたまま、


「確かにかつてそう言う者はおりました。

 私も含め噂話を信じ、王子に反感を持っておりました。


 ですが閣下は、ご自身の行動によって我らの誤りを正しました。

 誰にたしても公平に接し、ご身分を振りかざす事もありません。

 戦場では、広い視野、早い判断、揺るがぬ信念、すべての者は閣下に心酔ししたがっております」


 思ってもいない事を聞いた。


「私の下にいる事に、不満がないのか」


「ございません。

 これは全員の総意と思っていいただいてかまいません」


 副官は剣を抜くと、自分の首に当てた。


「私に謝罪の機会を与えていただきありがとうございます。

 かつて自分は愚かにも、閣下へ許されぬ事を言っておりました。

 その場を見られていた事を知っております。


 本来であれば、不遜罪で処罰される所を何の咎めもなく、それまでと変わらぬ態度で接していただきました。

 自分の考えが間違っていたと気づいた今となっては、その謝罪、償いをする機会を失っておりました」


 副官は一度俺の顔を見て


「かつて、閣下に対し不遜な事を言っていた者も多くいます。

 ですが今、そのような事を言う者はおりません。

 全員がかつての自分を恥じております。


 その全員の罪、私の命で償わせていただけないでしょうか」


「死ぬな、不要だ。

 私は『不義の子』だ、それは変えようがない」


「それが、何だと言われますか。

 閣下は、我らが指揮者であり、誰の子かなど関係はありません」


「わかった」

 私は泣いているのか、涙がでていた。


「そうだよな、噂に聞くこいつの評価はこっちだものな」


「弟は悪い事ばかり気にするのさ。

 だから、戦いではスキが出来にくい。

 特に守りに徹した場合、こいつの性格が生きてくる。


 その代わりに、自己評価が極端に低くなってしまうのが問題だが」


「お前はいい上官だよ」とカルヌン。


「やっぱり、人の上に立つのは面倒そうだな。

 俺は1人がいいや」


「おい俺との約束を忘れたのか」


「なんだ約束って。

 したか?」


「俺が急いでいた時、間に合わないから遅れている奴を待とうと言ってきただろう。

 そこで、間に合うか賭けた。

 俺が間に合う、お前が間に合わない。

 お前が勝った場合、新しい魔剣。

 俺が勝った場合は、俺に仕える」


「何言ってうんだ、今だってお前にしたがってるだろ」


「それは違うぞ、俺は王子だ、しかも王になる。

 その俺に仕えると言う事は、爵位を得るということだ」


「なに!

 そんな事、言って無かっただろう」


「それに、ヤンからの手紙にも、残った者達を頼むと有ったんだろう」


「なんでそれを。

 今は関係無いだろう」


「有るさ、ヤンの領地はお前に託す。

 他にも今回、反乱に参加した者の領地は没収。

 それもお前に渡すからな」


 父からの誘いもすべて断っていたカルヌンだが、ヤン卿を持ち出されては逃げれないと思う。

 彼の性格では見捨てる事はできないだろう。


「ちきしょうが、判ったよ、判ったよ有ってあるよ。

 しかし、広すぎんだろう」


 カルヌンは立ち上がると、兄に近づき。


「俺は剣を振るうしか脳のない男だ。

 その剣で、お前や国を脅かす敵を滅ぼす」


 言い方は無頼のものだが、剣を頭の上に出し兄にささげている、正式な騎士の誓いだ。

 兄はその剣を受け取り、口づけして返す。


「俺の敵は、国民の敵だ。

 カルヌン、敵を討ち滅ぼす剣となれ」


「はっ!」


 私は兄の前に進み出ていた。


「私も兄に忠誠を。

 我が剣は兄の敵をうち、我が盾は王国を守るもの」


 同じように剣を捧げた。

 王子が他の王子に忠誠を示すという事は、王家を外れるという意味を持つ。


「王子で有るがため、私は苦しんでいました。

 私にはやれる事がある、望まれている事もある。

 自分の力を王国のために」


 王子でなくなれば、父の子でないと言われても、今ほど気にしないで済む。

 私には恵まれた部下がいる、それで十分だ。

 国の為この身を捧げる。


「決意は硬いようだね。

 なら、俺や王家を守る必要はない、国民を守れ。

 それが国を守ることになる」


 私の剣にも口づけし返した。


「こいつに、領地半分な」


 2ヶ月後、アルテミラル王国初めて公爵家が生まれた、それも2家。



前回のはドーピングでしたが、読んでいただいている方がいるのは、純粋に嬉しいです

読んでpt入れようと思っていただける作品にしようと、再度思いを新たにしました。 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。