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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
4章
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4-6.白馬

前回あらすじ:鬼人あまんまり固くなかった。

 翌日、俺は鬼人族の種族長の屋敷に呼び出された。


 祭りに来ていた各種族の長達への挨拶をするためだ。

 と言うのも長たちが、俺の顔を見たいらしい。

 会いたいと言うなら、向こうから来いと思うが口にはしない。


「ヨガ殿、お呼び立てして申し訳ない。

 私は獣人、獅子族の長、ペルシュールです。


 鬼人族の兵ミラストに勝った者と話してみたくてな。

 俺等立場があるので、そうそう気軽に人に会うことも無い、それで申し訳ないが来てもらった。

 まあ、謁見という形式だが、そう硬いことは不要だ」


 獅子族の長の腰が低い。

 長達の中でも真ん中にいたので、立場も上だと思うんだが。

 他に虎、狼、猫の獣人とリザードマンと四つ耳族が昨日の祭りに来ていた。


「ペルシュールが話をすると、余計に堅苦しくなってしまう。

 それにしてもお前はいい男だな、我が村にも来ないか、私が直接もてなすぞ」


 四つ耳族の長が、艶っぽく手を握ってくる。

 兎耳の若い女性だ、体の線が出るピッタリした服を着ている。

 その服の面積が小さい、胸は辛うじて隠れているが足はむき出しだ。


「ツヅキ何を言い出す、お前がそんなだから四つ耳族に変な噂が出る。

 やめろ」

 後ろにいた、年配の犬耳の男性が自分の長をたしなめている。


「すまんヨガ殿。

 わしはコロヌグ、このバカを補佐している。

 こいつがこんな事を言わぬよう見張っているんだ」


「今更だな。

 兎耳らしいと思うぞ」

 虎の獣人族が笑いながら言う。


「貴方は長ではないんですね」

 各種族長は金属の輪を頭に乗せている。

 犬耳の男性はしていない、悪いが今の長の女性よりも、この年配の人の方が適任のような気がする。


「四つ耳族の長は、若い女性がなる決まりなのだ」


「しかも、四つ耳族の長はこんな服を着なきゃなんない。

 普通に考えればありえない、恥ずかしいしだろう、何でなんだろうね」

 四つ耳族の長は横に並びその身を寄せてくる。

 ホントに恥ずかしいのか。


「犬耳の種族長はいらっしゃらないのですか?」

 他にも四つ耳族もいたはずだ。


「種族という考えは、子をなせるかどうかで分かれている。」

 獣人族では、虎と獅子では子が出来ない。

 それに対して四つ耳族は犬耳と猫耳でも子が出来る、子がどちらかの耳になるだけだ」

 四つ耳全体で1つの種族という事か。


「子をなせる相手が多いこともあって、四つ耳族が最も数が多い」と鬼人族の長。


 今までの話の流れで

「私とは気兼ねなく遊べるぞ」

 と耳元で小声でお誘いを受ける。


「聞こえているぞ、ここには耳が良い者が多いのを忘れるな。

 お前らの飾りと違って、獣人族の耳は本物だからな」

 と猫耳の獣人の長。


「四つ耳族の耳って飾りなんですか」

 普通の耳だと思っていた。


「なんだ知らないのか、あれは耳の形をしているが、聞くことは出来ない」


「じゃ何であるんです」

 と横にいる兎耳の長を見ると


「可愛いだろう」

 とピコピコとその兎耳を動かして見せた。


 だから、それに何の意味が有るんですか。


「まあ四つ耳みたいなもてなしは出来ないが、俺の村にも招待したいな。

 ぜひ若いやつらに戦いを教えてやって欲しい」


 それは、村に来て戦えと言ってますよね。

「申し訳ありませんが、遠慮させていただきます」

 俺は強さを求めていないので、しないでいい戦いはしたくない。


「そうか、残念だ。

 だが、この国にはあちこちに獣人虎族の村がある、気軽によってくれ」

 と細い輪をくれた。

 首飾りだ、小さな金属版が吊るしてあり、『虎族の長の友人』とある。


「それがあれば虎族の村で便宜をはかってもらえるはずだ」


「ズルいなタラント、抜け駆けするな」


「虎ほど多くはないが、獅子の村も有る、よってくれ」

 とさっきと同じようなリングをくれた。


「リザードマンは北の湿地に固まって住んでいる。

 馬で行ける場所ではないので、我が同胞の元には行かぬだろうが、無いよりマシだろう」

 大きく、そして腰の曲がったリザードマンの長もくれた。


 四つ耳族の長が慌てたが

「やめろ、ツヅキの物だと別の意味になってしまう。

 友じゃなくて愛人だと思われてしまう、それはヨガ殿には迷惑な事だ。


 我ら四つ耳族はそんな物が無くとも、外の者を警戒せぬ、もてなすはずだ」とコロヌグさん。


「四つ耳族には、強さも秘密もない、だからこそ開放的な種族だ。

 その逆の狼は、やっぱり無しか」


「俺等は群れの中に、他の者が入るのを嫌う。

 ヨガ殿に、特別な思いを持ってのことでは無い」


 人狼族の戦闘能力の高さは、鬼人族と共に国外でもその噂を耳にするが、その詳細はあまり聞かない。

 残念ながら昨日の戦いにも参加しなかった、その強さを見てみたかったな。

 あまり表に出たらがらない種族なんだろう。


「何だよ、みんな用意していたのか」

 そして鬼人族の長も。


 何でこんなに優遇してくれるんだ。

「俺、皆さんにこんなに信用してもらえることしましたっけ?」

 と思ってしまう。


「ケミナルス殿からの手紙に、お前達の言葉は本当だとあった。

 しかも会いに来る。

 これはお前たちが信用に足りる者だと言う事だ。

 前の村での行動もそれを示している、あのバカどもを誰も殺さなかった」

 その必要なかったからね。


 でも、ケミナルス殿って絶大な信頼がある。

 そのおこぼれが『長の友』か、すごいな。




 長の屋敷から戻ると


「ヨガ待ってた、行くよ」とキューさん。


「どこ行くの。

 約束なんかしてなかったよね」


 予定では、明日竜神族のケミナルス殿に会う。

 それしか決まっていなかったはずだ。


「白馬が出る。

 見に行きたい」


「白馬?」

 どこに、そして見に行ってどうすんだ。


 俺が不思議がっていると

「さっき村の人に話を聞いたのよ。

 川沿いに野生の馬がすんでいて、その中に白馬がいると」

 とリーシェさんが教えてくれた。


 あ、キューさんキキットの代わりの馬が欲しいのか。

 捕まえるつもりだよね。


 でも大人の野生馬捕まえても、調教は出来ないと思う、そんな事も忘れてるんだ。

 諦めてもらうにしても、一度捕まえないとダメかな。


「お前らが馬を捕まえに行くなら、俺も行く。

 村で馬車に使いたい」


 ミラストさんが同行したいと言ってきた。


「ヨガ、『ロハイラの耳』持ってんだって。

 今まで馬を見つけるまでが大変だったんだよ。

 頼むな」


 なるほど、俺は馬の見つけ役か。


 ーーーーー


 ラヌさんから馬車を借りて、馬を見に出かけた。

 村を出て探してみると、幾つかの群れがある。

 十頭前後の群ればかりだ。


「馬の群れは5つほど有るよ」


「白馬がどこいるか判る?」


「キューさん無茶言わないでくれ。

 色までわかんないよ」


(もしかして、ビチュレイリワはわかるの?)


[詳しく調べてれば、わかりますが。

 重要性、緊急性とも低いので行う気はありません]


「近いとこから当たってみますか」

 とケイトさんもキューさんにつきあわされてしまった。


「すぐいるならそれで良いけど、どこいるかわかんないんでしょ、こんな時は最悪の事考えたほうがいいかも。

 遅い時間に遠くで見つけるか、近くで見つけるか、どっちがいい?」


「遠くからにしますか」


 俺の『ロハイラの耳』のおかげで、探し回る必要はない。

 まっすぐ群れにむかえる。

 しかも近づく必要もなく、見える所までで確認する。


 いない。

 馬はいるが、白馬がいない。


 太陽が沈み始めている、次が最後の群れだ。


 村に一番近い群れだ。

 遠くの群れから探そうと言った、リーシェさんが申し訳無さそうにしている。

 彼女を攻める者はいないが、責任を感じているのだろう。


 次の群れにいるのは確実なので、群れを川に追い詰めるように反対側から近寄っている。

 幸い今夜は4つ月だったので、日が沈んでも月の光りで明るい。

 今は雲が黄月を隠しているが流れている、馬を捕まえるには問題なさそうだ。


 肝心の馬がいない!

 いや、馬はいる、白馬がいないんだ。


「いや俺も、白馬を見た者を何人か知ってるぞ。

 嘘を言うやつらじゃない」

 今度は、ミラストさんが慌てている。


「ヨガ見落としていない!」

 キューさん必死だね。


「村の近くに、他に馬はいない。

 もっと遠くにいったか、死んだかだと思うな」


「そんな〜」


「さて俺は子馬を捕まえなきゃな」

 ミラストさん、キューさんに付き合って今まで、馬を捕まえていない。


 彼にも迷惑をかけたな。

「捕まえるの手伝うよ」


「なら、任せて」

 とリーシェさんウンディーネを呼び出して、川から水で群れを囲ってしまった。


「子馬全部捕まえるの?」


「いいやニ頭でいい。

 あいつとあいつ」

 ミラストさんが指差すと、その子馬を分けるように、土が盛り上がり壁を作る。

 リーシェさんの土精霊の力だ、代わりに水の檻は無くなっている。


「お前ら便利だな」

 そう言いながらミラストさんが一頭に近づいて頭に袋をかぶせる。


 何も見えなくなると、おとなしくなる習性があると言っていた。

 暴れて怪我をさせないためだろう。


 捕まえた子馬を馬車に繋いで、もう一頭の所へ向かうと。

 リーシェさんの作った土の壁が壊れた。

 馬は体当たりで、壊したんだ。


「つっ」

 術者のリーシェさんに痛みが行ったみたいだ。

 心配した俺達を、手で制した。


 でも普通の馬が、リーシェさんの壁を壊せはしない。

 体当たりした馬は白い、そして角がある。


「ユニコーン?」

 幻の霊獣だよね。


 その角は、あらゆる傷や病を治す力があると、信じられている。

 そのため、ほとんどの冒険者ギルドに、その角の取得依頼が破格の価格で出ている。

 どこにいるのかわからないから、受ける冒険者はいないけど。

 目の前にいる。


「どこから来たんだ」


「群れにいた馬が、突然変わった」とキューさん。

 群れ全体を見ていたようだ。


 - その子を離せ -

 頭に直接響く轟音、言葉を意味しているが、殴られているようだ。


<遮断に失敗しました。

 ヨガ、気をつけてください>


「離せと言うのは、あの子のことか」

 ミラストさんがさっき捕まえた子馬を指す。


 - そうだ -

 今度は、怒気が無いためか、痛みない。

 会話してくれる気になってくれたようだ。


「ミラストさんいいよね」

 ミラストさんを向くと、ユニコーンを口を開けて見ている。


 返事は期待出来ないか。

 馬車に近寄って、子馬を離した。


 群れに戻ったの確認してユニコーンに視線を戻すと、キューさんが近にいる。

 ユニコーンも逃げていない。


「キューさん何する気、危ないわよ」

 リーシェさんには、さっきやられた事が頭にある。


「きれい〜」

 でもキューさん聞いていない。

 確かに綺麗な白馬だけど、それは馬じゃないから。


 キューさんそのままユニコーンに触れ、撫でる。

 ユニコーンもなされるがままだ。


 - 乗るか? -


「乗っていいの」

 ダメだよキューさん。


 キューさんを乗せたユニコーンが走り出した。

 川の水の上を走って向こう岸にゆく。


「どこ行く、キューさん返せー」


 加速で追いかける前に、大声を出すと

 聞こえたのかこっちに戻ってくる、良かった。


 でもユニコーンは、もう少しというところで水に沈んだ。

「キューさん」

 馬の足が届く深さだったのでそのまま、川を渡り切った。


 どうしたんだ?

 あれ、角がない!


 俺の前まで来て。


 - 乙女よ楽しかった。

 仲間の元に戻れ -

 とキューさんを降ろそうとするが、キューさん首にしがみついておりない。


 この馬、いいやつじゃないのか。

「楽しかったんならキューさんの愛馬になって、一緒に来るか?」


「「!!」」

 俺の問に、リーシェさんとケイトさんが驚いてる。

 キューさんも驚いているが嬉しそうだ。


 しばらくして

 - 面白そうだな。

 だが私は行く所がある、無理だな -


「どこ行くの、私も一緒に行くから」とキューさん。


[ヨガ、この話に乗って下さい]


 どうして、ビチュレイリワまで。

 

[色々な経験です]


 いや、特殊すぎるでしょう。


「どこ行くんだ、俺たちは目的がないから連れて行ってもいいぞ」


 - 私は最後のユニコーンかも知れん -


「最後?」


 - そうだ、他に同族に会った事がない -


 そこまで幻なのか。


 - 仲間を探しに行く -


「なんだ、お前も目的地が無く旅する気か、俺たちもだ。

 一緒に旅をしないか、そのうち仲間にも会えるかもしれないぞ」


「どうして、今まで仲間を探しに行かなかったの?

 なにか理由が有ったはずよね」

 とリーシェさん、復活したようだ。


 - 私の真の姿は4つの月の光りで存在する。

 光りが無い時は、力が無い -


 川を渡る最後で沈んだのは、月が雲で隠れたためか。


「それで長い旅は厳しいのね。

 それこそ私達と一緒に行こうよ」

 キューさんが首筋を撫でながら勧誘を続ける。


 - 良かろう。

 ただし約束がある -


「言ってみろ。

 変な要求だったら、この話は無しだ」


 - お前は乗せない -


 俺には軍馬がある。

「問題ない」


 - 4つ月の光りの下では触れる事も禁じる。

 触れられると、焼けるように痛む -


「不必要にお前を傷つける気はない」


 - この娘が、私に乗る資格を失った場合、私は去る -


 資格?


「何で、キューさんが乗れるんだ」

 ミラストさんが復活。


 何でって、何で?

月が4つ有るのは、最初から設定です、今回思いついたわけじゃないです。

だから期間の表現に月は使っていまんせん。

(週もだけど、有ったら作者のポカ。読み返しでメートルは有ったりするんで自信無いですが)



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