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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
4章
46/104

4-2.鬼人族の村にて

前回あらすじ:女王の国に入りました。モフモフに会えるかな。

 ケイトさんの実力を知りたかったので、パーティで魔獣討伐を行ってみた。

 ケイトさん全然問題ない、グレルと言う大型の狼を1人で3匹倒している。

 素手で戦闘する格闘家をやって、戦闘力なら俺達と変わらないと思う。


「残念ですが、このメンバーですと他の方の星が高すぎて、ケイトさんにポイントが入りませんが」


 討伐部位をギルドに持ち込むと、受付で注意されてしまった。


「ケイトさんも同じパーティになるのでしょうか。

『閃光3』ですと、色々と問題が出てくるのですが」


「パーティの受けれる依頼が、一番低いメンバーの星になってしまう件ですよね。

 それは話し合って、しばらくはそれもいいと割り切りました。

 ケイトさんにポイントが入らない事も、納得しています。

 今は一緒に旅をするのが目的なんで、のんびり行こうと思っています」


「そうですか。

 ギルドとしては止めていただきたいのですが」


「俺達が納得してれば、良いのではないんですか?」


「魔境深淵帰りの5つ星『閃光3』の皆さんには、それにふさわしい仕事をしていただきたいのです。

 ご存知と思いますが5つ星以上の冒険者は少ないのですよ。

 受けられる者がいないため、高難度の依頼が長く放置されている事があります。

 出来ればそのような依頼を受けて欲しいのですが。


 それに皆さんに低い依頼を受けられてしまいますと、本来そのレベルが適正な者の仕事を取ることになりますので、やめていただきたいのです」


 そうか、俺たちが仕事を取ることになるのでやめてほしいのか。

 どうしようか、リーシェさん達を見るが良い案は無いようだ。


「同じパーティに入らなくても、一緒にいる事に問題はありません。

 一緒に仕事をする事が問題になるのです。

 ケイトさんは4つ星になるまではソロで活動なされてはいかがでしょうか」


「私はいいわよ」


 ケイトさん気楽に答える。

 実力的には問題はないか。


 そこで、受付の人はわざとらしく声を低くして


「ケイトさんが受けた依頼を、たまたま近くにいた冒険者が手を貸すことはよくある事です。

 あまり大きな声で言える事ではありませんが、あまり度が過ぎなければ見逃されています」


 抜け道は有るけど、やりすぎるなと言う忠告だな。


「もう1つお願いがあります。

 ケイトさんが1人で討伐するので有れば、一度査定を受けていただけませんか」


「査定?」


「知らない」

 リーシェさんも知らなかった。


「えーとですね。

 ケイトさんの今の状況ですと、討伐部位を持って来られても、ギルドでは受け取れないのです。

 他の方が倒した物を持ち込める場合、受け取れない規則になっているんです。


 そのような立場の人は討伐する実力があるかを、ギルドで判断しているのです」


 なるほど不正防止か。

 査定は、すぐ出来るとの事だったのでお願いした。


 結果、やりすぎ。

 ケイトさん、不正を疑われた事に腹を立てたらしく、最初の一撃で試験官をぶっ飛ばした。


 1人での討伐は可能と認められたが、

「手加減しろ」

 と怒られている、見習いに言う事ではないよな。


「死なないよう手加減した」

 とは、ケイトさんの言い分。

 知らないとはいえ守護竜(ガーディアンドラゴン)の誇りを汚したんだ、これくらいで済んで良かったと思えとの事。


 これで魔物討伐はケイトさん1人で行くことが可能になった。

 彼女の実力ならそれほどかからないで、正式な冒険者になれるだろう。


「次は、例の依頼を済まそうか。

 受け取り人の所に行こう」


 翌日、指定されていた道具屋に行ってみると、奥に通され説明を求められた。

 目の前には、鬼人族の少女が座り、その後ろに2人の面を付けた男が立っている。

 3人から感じる圧は相当なものだ。


「運ぶ事を依頼された『荷』は無いということですね」


 俺達と話すのは、座った少女だけだ、少女はラヌと名乗った。


「私達は『荷』を運ぶ事を請け負っていた。


 ここで『荷』を受け取り、目的の場所に運ぶ。

 襲われる可能性があるので、護衛も頼まれていた」


 本当の受け取り人は『竜騎士』の追撃も想定して、鬼人族を護衛に雇っていたみたいだ。

 自分は表に出ない、用心深い人なのだろう。


「何が『荷』か知っていたのですか」


「私たちは『荷』が何か知らない。

 だが運ぶにはそれで十分だ」


 俺達の間にあるテーブルの上には、水の入った器が置いてある。

 魔法道具で噂には聞いたことがある。

 結構知られている魔法道具で、嘘を言わせないためにわざと見えるところに置いているのか。

 偽物の『荷』をわたされない用心のためか。


「『荷』はここにない、そもそも『荷』は運べない状態になってしまったのだ、これは俺達のせいではない。

 失ったわけではなく、むしろ依頼人が望む事になったと思っている。

『荷』を待っていた者に、その詳細を伝えたい」


 全ての卵からドラゴンが生まれ世界中に散った、当初の目的だったドラゴンの保護と分散は達成している。

 受け取り人が宰相ヘンネベルの考えに賛同した者なら、この結果を受け入れるだろう。

『竜騎士』が目的だったとしても、この地に住む者にも機会は平等に有る。


「詳しい話は『荷』が何かを知らない者には言えない」


『竜騎士』の事を彼女に話すわけには行かない。


「お前が嘘を言っていないのは判った。

 だが目的を達していない事も確か、失敗は償っていただけなければならない」


 償いを口にした瞬間、鬼人たちから感じる圧力の質が変わった、殺気を含んでいる。

 なんか失敗と言う単語に、過剰に反応している。


「待ってください。

 貴方がたが頼まれた内容ではなくなってしまいましたが、これは依頼元の望む結果なんですよ。

 それを依頼人に伝えず勝手にぶち壊していいんですか、自分たちの仕事を失敗させるようなものです。

 一度、依頼人に話をさせてもらえませんか」


 彼女らは約束を守る事に固執した考えを持っているようだ。

 鬼人の少女は目をつぶって考え込んだ。


 後ろの男たちは全く動かない。

 表情も見えない、彼女の護衛と言うより俺達を威圧するためにここにいる感じだ。

 本来は表で働く者ではなく、裏仕事が専門だろう。


「このまま貴方達を、依頼人に会わせる訳には行かない。

 だが依頼人の意にそぐわない結果も望んではいない。

 どちらにしても、我が一族の名誉に関わっている、私では判断は出来ない。


 族長に会ってもらう。貴方には村に来ていただきたい」


 断れない言い方だ、断れば殺すつもりか。

 ここで争っても得にはならない。それに鬼人の村にも興味がある。


「みんな、いい?」


 リーシェさん達に聞いてみると

「構わない」

「ヨガがしたいようにすれば」

「私は付いてくだけだ」


「では、それでお願いします」


 馬で移動した、村までは3日かかるらしい。


(ラヌさん達、何か言ってない)


 ビチュレイリワは彼女達に監視を付けたはずだ。


(それが、全く会話が無いんです。

 ラヌさんが指示するだけで、男性2人は一言も喋りません。

 3人しかいない場合でもです、徹底してます)


 新しい情報は無かった。


 ーーーーー


 村は200人に満たない小さな村だ。

 そのまま族長の所に連れて行かれる。


「お前の言い分は聞いた、だがそれを信じることはできない。

 未熟者は誤魔化せたかもしれないが、我は騙されぬ。

 自分の言うことが真実だと証明して見せろ」


「だからそれは無理だと言っているだろう。

『荷』は本来の姿になったと言ったところで、『荷』がなにかを知らない貴方がたでは何を言われているかわからないでしょう。


 貴方がた依頼人は『荷』が拘束されていることに反対し、それを開放する者と手を結んだ。

 その者と、この地に安全に『荷』を隠す約束をしたんだ。

 だが『荷』は運ぶ前に開放されたので、持ってくる事が出来なくなってしまったんだよ。

 それは依頼人の目的が達成したことを示す。それを伝えに来た」


 卵がなくなった時点でこの依頼を放棄しても良かったが、『荷』の受け取り人は宰相の賛同者だ、2人の関係を悪くしたくない。

 何があったかは知らせたい。

 それに俺達の依頼書にも『荷』の受け取りを証明してもらいたいんだ。


「お前たちが、しくじりを隠していないと、どうして言えるのか。

 弱い者の言葉は信じるに値しない、証拠がないのであれば力で証明しろ」


 こいつら筋肉バカだ、それが何の証拠になるんだよ。

 本当の力とは、武力じゃないのに。


「このヌグとシルは村のつわ者、彼らに勝てばお前の言い分を信じてやろう。

 戦え」


 他の選択は無いらしい。


「判った、俺が2人を相手に勝てばいいのか」


 うんざりしながら言った俺の言った事で、向こうがざわついた。


「自分を過信しすぎだ、お前の器が知れる。

 全員の力を見る、1人ずつ戦ってもらう」


 村で一番強い者を侮辱したと思われたようだ。

 だがリーシェさん達も1人ずつ戦わせるだと、勝手な言い分だ。


「キューさんは神官なんだぞ戦いが専門じゃない。

 そのやり方は、受けれないな」


 ここで、やるか。

 この数相手だと手加減できそうもないな。


「なに、気負ってんのヨガ。

 試合でしょう、殺し合いじゃないその物騒な殺気は引っ込めて」


 キューさんなに言ってるの、こいつら俺達殺すつもりだよ。


「私達は話し合いに来ているの。

 面倒な事はしない」


 リーシェさんまで


「それに、この人もだけど、ヨガも私達をなめすぎ」


 いや2人が強いの知ってるけど、1対1で戦ったことなんてないじゃないか。


 試合は村の真ん中の広場で行われ、周りには村人が出てきている、興行かなにかと勘違いしていないか。


 まずは俺とヌグさんの対戦。

 ヌグとシルの2人は、ラヌさんと一緒にいた男達だった。


 さて、どうしよう。

 向こうは2人こっちは4人、それだけで俺達をどうする気かわかる。


 次の試合でリーシェさん達に何かあったら、俺が相手になると思ってもらったほうがいいよな。

 なら、あっさり倒すより、力の差を感じてもらいますか。


 試合開始の合図と同時にヌグさんが飛び込んでくる。

 両手にナイフを逆手持っての連続攻撃。

 体を回転させたり、フェイントの突きで急所を狙ったりしているが、武器の両手使いなら赤の双剣で経験済み。

 彼と比べれば、ヌグさん弱い。


 俺は攻撃を全て剣でかわす。

 ヌグさん『マナまとい』で強化もしているが、それほど早くはなっていない。

 強化や力に振り分けているようだ。


 脅威を全く感じない、試合開始時の位置からも移動しないでかわせている。

 力の差を見せつけるという考えを、あからさまに見せていた。


「ヌグ!」

 この村には俺を相手にできる者がいない、村人に見られては問題があると考えたのだろう、族長が叫ぶ本気をだせと。


 ヌグさん俺にナイフを投げた後、素手で攻撃してきた。

 これが本来の彼の戦いかたなのだろう、形になっている。


 それでも俺には攻撃が届かない、拳も蹴りも全てかわす。

 遅い、格闘家としてはこれは致命的だろう。

 どんなに一撃が重くても、当たらなければ意味がない。


 彼と戦って気づいた事がある。

 繰り出される攻撃は全部俺を殺そうとするものだが、それは対人に特化した技だ。

 魔物相手に戦ったことが少ないことを示している、彼らの戦いには幅がない。

 これならリーシェさん達でも大丈夫かな。


 ヌグさん横に飛んだ時、踏ん張りが利かなくよろめいた、疲れてきたみたいだ。

 一方的に攻撃して全く通じない、経験上これが一番疲れる。


 さあ、仕上げにかかりますか。

 向こうの攻撃に合わせ、ヌグさんの角を切る。

 今まで剣で拳や足を叩いていた時には、ソニックブレードは使っていない。

『マナまとい』で防げてたと思っていたのか、剣に対して警戒がなくなっていた。


 周りにいた村人から驚きの声が上がった、ヌグさんも何が起きたか判っていない。


 剣で地面に落ちた角を指すと、言葉にならない叫び声を上げてヌグさんが飛びかかってくる。

 理性がない動き、激高している。


 角は大事なものだったらしい、名誉とか古臭い事言ってたから、そうかなとは思ってたけど。

 人を殺そうとしているんだ、自分がどうなろうと、その覚悟はあったはずだよな。

 それとこれは全員の角を落とせる、と言う俺の意思表示。


 俺の拳が、飛び込んできたヌグさんの顔に入り崩れ落ちる。

 もう起き上がってもこない。


 しばらくしても、勝ち名乗りが上がらない。

 族長に合図を送ると、近くにいたラヌさんが


「勝者、ヨガ」


 代わりに宣言してくれた。

 族長は固まって目の前で起きたことを受け入れたくないのだ。

 周りにいた者が話し合っている。


(効果あったかな)


[次をどうするか揉め始めていますね。

 ヨガと戦うか、部族の名誉を守るかの話し合いになっています]


 近くにトカゲがいる。

 盗み聞きはビチュレイリワが得意だ。


 忘れてほしくないが、この試合は付き合ってるだけだ、俺たちに戦う理由はない。

 リーシェさんが危なくなれば、躊躇なく助けに入るからね。

昨日今日寝てました。

リアルの忙しのは一段落したんですか、週1話は続けさせていただきます。

少し余裕ができる。


余裕ができても誤字脱字が多いのは変わらず。

お指摘、感想お願いします。



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