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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
4章
45/104

4-1.女王の国

前回あらすじ:ハーレムパーティ結成

(やっとキーワードに内容があわせられた)

「お茶をどうぞ」


 4つ耳族の女性が、俺たちにお茶を出してくれている。


「どうも」


 少し喉が渇いていたので、一口飲んでしまった。

 思っていたよりいい茶葉が使われているな。


 俺たちは『亜人の国』国境の詰め所にいる。

 何か怪しまれたかと思ったが、違った。

 この国に初めて入る人は、必ず注意や説明を受けなければならない決まりだそうだ。


「初めて女王の国に入る人は、本人に悪気が無くとも何かと問題を起こしますから。

 その対策として入国時に、この国で注意しなければならないことをお教えしているのです」


「女王の国とはなんでしょう?」


「はい、そこからですよね。

 この国の正式な名前は『女王タビの国』と言います。


 ちなみに外で良く使われている『亜人』は、この国では差別用語なので禁句です。

 私たちは人の偽物ではありません、この国では『多色の民』と自称しています」


 俺たちの前に座り、説明をしてくれている男性の額には小さな角がある、鬼人族だ。

 人狼族に並ぶ戦闘種族として有名な一族だ。

 そんな彼の、口調は優しい。


「この国には色々な種族が住んでおりますので、それを色にたとえて呼んでいるのです。

 どの種族がどの色というわけではないのですが、何故か昔から外の人のことは無色と言っていますね。

 これには侮蔑の意味は含まれておりませんので、そう呼ばれても怒らないでやってください」


「すいません。

 さっき禁止された呼び方でこの国を呼んでしまったんですけど、どうなるんでしょう」


 さっき『亜人の国』とはっきり言ってしまった。

 追い返されないよな。


「大丈夫です、それを止めていただくために、ここで説明していますので。

 ただし国内でそれを口にするとトラブルになります、お気を付けてください。


 見たところ皆さんには、私達色付きに対して偏見をお持ちではないようです。

 全員が皆さんのようであれば、問題なくお通しできて私たちの仕事も楽なのですが」


「通れると言いましたが、追い返されることもあるんですか?」


「残念ながらあります。

 特にある条件がある国の出身者に多いです」


「条件ですか。

 国が特定できているなら、国交を断てばよいのに」


「特定の国というのではなく、奴隷制度のある国なのです。

 そこには奴隷になっている多色の民も多いので、私達も蔑んで見ているのです。

 いくら自重をお願いしても、横暴な態度を変えていただけないのです」


 ありそうだな。

 そんな国は身分制度もガチガチで、身分を気にしない俺たち冒険者にも人気がない。

 そもそもが冒険者の入国さえ認めていない所もある、冒険者のギルド証では入国できないのだ。

 カリギュナーもその1つだな。


「それと冒険者の皆さんには注意していただきたいのですが、この国に人型の魔物や魔獣はおりません。

 人に近い姿をしているのはすべて『多色の民』ですので、いきなり剣を抜くなどしないでください。

 冒険者にはこの事故が多いのです、気をつけてください」


(ピノ止めてね)


<その前に多色の民と教えます。

 それに、それくらいはヨガにも出来るはずです>


 マナの見分けって、面倒なんだよ。


「ところで俺達に偏見が無いと、どうやって判断したんです。

 何か秘密の魔法とか使ってですか?」


 偏見があるかなんて質問はされてない、勝手に魔法をかけられていたとしたら、あまりいい気分はしない。


「秘密でも何でもありません。

 私達に対しての対応を見ただけです。


 たとえば、彼女の出したお茶を気にしないで飲むとか、私への態度とかです。

 鬼人族を前にして警戒される方が多いんです、中には必要以上に挑発的な態度をとる方もいます」


「貴方に挑発ですか」


「自分が『亜人』を前にして、弱気になっている事を認めたくないのでしょう。

 面と向かって私達を番犬や獣と言う人もいますから」


 大変なお仕事ですね、頑張ってください。

 その後一通りの注意を受けて外に出ると、騒ぎが起きていた。


「うるせー、亜人の分際でなにを俺に指図してるんだ。

 おめえらは黙って、人の言うこと聞いてりゃいいんだよ」


 まさかこんな絵に描いたような人がいるなんて、じっくり眺めてしまった。

 何でこの国に入ろうとしてんだ。


「皆さんが来る前に来た人達です。

 思った通りダメでしたね」


 俺たちに説明してくれていた鬼人が、大声で騒いでいる人たちを指差して言う。

 まるで演劇の悪役じゃないか、それも出てきてすぐ倒される役の。


「さっき言った、奴隷制度のある国の人たちだったので、もしかしたらと思ってたんですが。

 やっぱり揉めてしまいましたか。


 最初から私たちに指示されることが嫌だったようで、あまりにも攻撃的でしたから担当官が入国を禁止したのでしょう。

 それで騒いでいるのだと思います」


 騒いでいるのはベテランの冒険者のようだけど、ここにいる警備兵の力が判ってないのか。


「これ以上、俺達の邪魔するんなら、全員奴隷商に売っぱらうぞ」


「あー、これは完全にダメです。

 脅しのつもりでしょうが、それを許すほどここは甘くはありません」


 鬼人の声が変わった、怒っている。


「先程もご説明しましたが、この国で奴隷に関することを口にしないように。

『亜人』は喧嘩で済みますが、『奴隷』にするなどと言えば重罪になります」


 警備の兵が走ってきた。


「アルフォートやりすぎるなよ」


 鬼人は今来た獣人たちに、やりすぎないようにと注意している。

 聞こえていればいいが、獣人たちは騒いでいた奴ら以上に興奮している。

 完全に頭に血が登っているようだ。


「黙れ、この国で奴隷に関わることは重大な犯罪だ。

 口にするだけで関係者とみなされる、お前達の犯罪は確定したぞ。

 大人しく捕まるなら怪我しないですむが、抵抗すれば叩き潰すぞ!」


 先頭にいた、虎の獣人が怒鳴り返した。


 騒ぎを起こした冒険者は7人。

 警備は4人、虎の獣人、リザードマン、猫系と犬系の4つ耳族たちだ。


 数で自分たちが優位だと思っているのか、まだ冒険者たちの威勢がいい。


「捕まえられるなら、捕まえてみやがれ。

 逆にお前達を捕まえて、その革を敷物にしてやる」


 前にいた冒険者3人、血を吹き出し倒れた。

 その近くに虎の獣人が叫び声を上げ立っている。

 マナを使っての高速移動で一気に近づき、伸びた爪で冒険者を切り裂いたのだ。


「今の一言は彼には禁句でした。

 実際、彼の妹が人に狩られ、その革が貴族の屋敷に飾られていたのですから」と鬼人


 何だそれは、そんなことがあるのか。

 それを行ったのは目の前の冒険者でないだろうが同罪だ。人の敷物にする発想が気持ちが悪い。

 リーシェさんたちも怒っている。


「皆さん、いい人なのですね。

 全ての人が皆さんのようであればどんなに良いか」


 この鬼人は、この国に入る人を審査している。いろんな人たちを見てきたのだろう。


「隊長、殺しちゃダメですよ」


 虎と一緒にきた警備兵の犬耳が、彼のやりすぎを止めている。


「そうだよ隊長、ここで簡単に死なせちゃダメですって。

 自分のした事を十分に反省してもらって、残りの人生送ってもらわなきゃ」


「そうそう、ちゃんと裁判受けさせないと。

 今度は彼らが犯罪奴隷で、残りの半生は炭鉱暮らし。

 二度と太陽を見れないのが、彼らにはお似合いですよ」


 冒険者を気遣って止めたんじゃない、彼らに楽に死なれたくないんだ。

 簡単に冒険者たちは捕まって、運ばれて行く。


 さあ『女王の国』へ入りますか。

 そうだ、ケイトさんには冒険者になってもらわないと。

 俺たちは今後も旅をするつもりだから、ギルド証を持っててほしい。


 鬼人さんに冒険者ギルドのある街を聞いてみると。

 正式なギルドがあるのは国境付近のコドールドの街のみで、後は出張所が沢山あるとの事だ。

 この国では各部族で村を形成していて、街と呼べるような場所は少ない、それを補うように出張所があるそうだ。


「ただ外で受けた依頼の報告はコドールドでしないといけません。

 出張所は国内の補助的な場所だと聞いています。


 君たちはカリギュナーで受けた依頼で彼女を連れて来たのだろう、なら先に依頼を済ませたほうが良いのではないか。

 行き先もコドールドの街だよな」


 事情が変わったから、どうしよう。

 どうしようか考えているうちにコドールドに着いた、国境から半日もかかっていない。


「これからどうしよう。

 ギルドに行ってケイトさんに冒険者になってもらうか、荷の受取人にことの顛末を説明しに行くか。

 どっちがいいと思う」


「ギルドだと時間がかかりそうだし、依頼結果の説明は面倒な事になりそうね」


 そうなんだよな、冒険者登録の場合ケイトさんが見習いを卒業するまで街から離れられない。


 誰が待っているのかは知らないが、ドラゴンの卵を待っているんだ、大きな期待をしていると思うんだよな。

 それが手にいれられないのだから、どうなるか見当もつかない。


「すぐに街を出る事になるかもしれないから、先にケイトを冒険者にしてしまおう」とリーシェさん


 そうか、ギルドはコドールドにしかないんだ、もめればこの街にいられなくなる。


「ケイトさんの見習卒業まで、しばらくはコドールドの街にいますか」


 彼女ならすぐ条件を達成するだろう。


 そう思って、ギルドに行ってみると。


「この街を離れても問題はありませんよ。

 成果は出張所に申請すれば、多少時間がかかりますが、コドールドのギルドに連絡が来ます。

 ですので国内であればどこで活動されても良いことになっています」


 と窓口で教えてくれた。


「この国には魔物がいないので、ここだけでは見習の条件が達成しにくいのです。

 国全体を1つのギルドと管理して、冒険者の活動範囲を広くし、その分を補っています。

 この方式ですと、この国の冒険者にも都合がよいのです」


「そうだ、ここには魔物いないんだった。

 どうやってポイント稼ぐんだ?」


「魔物はいませんが、代わりに魔獣が多くいます。

 魔境周辺を拠点にした冒険者は、魔物と魔獣を一緒に考えていますが、魔物は魔境周辺にしかいません」


 魔物とは魔石を持っている可能性のある物で、魔境周辺にしかいない。

 ゴーレムなど生き物でない場合もある。

 魔獣とは、人にとって危険な獣の事だ。

 魔境周辺では全部魔物と言ってたので、気にしてなかった。


 よく考えれば見習の頃に狩っていた、巨大カエルのゼルフルや巨大猪のヴモグが魔獣だ。

 ここでも、やることは何も変わらない。

 国全体が活動範囲なら、このまま街を離れても問題なさそうだし。

 ケイトさんにはここに戻って来る間、ポイントを稼いでもらおう。


「依頼覗いてきたけど、魔境周辺とは少し違うね」


 俺とケイトさんが登録の手続きをしている間、依頼の掲示を覗いていたリーシェさんの感想だ。


「ラーディだと7割くらい討伐依頼だったけど、ここはそこまでの数はなかった。

 代わりに採集や護衛、調査が多い。

 あとラーディにはなかった交渉と調停って言うのがあったけど、何すればいいのか良く分からなかったわ」


 リーシェさんの話を受けて、窓口の人が教えてくれた。

 この時間は受付も暇なんだろう、今は誰も並んでいない。


「交渉や調停の依頼はこの国特有なものですね。

 この国では、各種族間の事情も異なっているので、同じか数種類の種族でまとまって村で暮らしているのが普通です。

 それが国土の広さに対して、大きな街があまりない理由なんですが。


 村同士で交易を行っているのですが、利害が一致せず、時には諍いが起きることもあります。

 村は冒険者に依頼して、自分の受け入れられる範囲を伝え相手との交渉をする場合があります。

 今まで付き合いのなかった村との最初の話も、冒険者に依頼されることが多いですね。

 あと争っていた人たちが、第三者に落とし所を調整してもらうこともあります」


 なんでだ?


 俺の顔に出ていたのだろう、受付の人が説明を続けてくれた。


「どちらの味方というわけではありませんから、話を聞いてもらいやすいのです。

 それと、第三者に頼むことで、失敗しても村には影響が出ないようにしているのです」


「それって国や領主の仕事ではないですか。

 村が領主の代わりに何かをしているのかもしれませんが、領地で解決できないことは中央へ陳情するのが普通だと思うのです。

 王都に相談できないのですか」


「女王の国では、各部族の自由や自治が重んじられています。

 国の組織も最小限しかないので、たいていは村同士で問題を解決しなければなりません。


 それに政治の中心と言う意味での王都はありませんし。

 重要な問題は5年に1度開かれる種族長会議で決められ、国民はその決定に従うのです」


「女王様がおいでになるのにですか」


 受付の人は少し困った笑いをして


「この国を作ったのがタビ女王陛下です。

 民は敬意を込めて『女王タビの国』と呼んでいるのです」


 国名は、建国の女王の名をとっていたのか。

 名前を世襲しているのか?


「王家はどうなっているのです?」


「王家はありません。

 女王はお子がいなかったので。


 それに、この国を1つの血脈で治めようとしても無理なことです。

 王家が無かったからこそ、この国は続いてきたと私は思っています」

新しい章の説明回でした

誤字・脱字のご指摘や、感想をいただけると嬉しいです


2020/03/11 女王の名前 & 表現 修正

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