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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
8章
102/104

8-14.戦況

前回あらすじ:ヨガはミツルにとどめをさすことは出来ませんでした

 魔王軍からフルーフを開放したと同時に、ウサオアがアルテミラルへ宣戦布告した。

 その宣戦布告は、世界の人々を驚かせた。

 魔王軍と同盟したと、発表したからだ。


 元々教会の要請を頑なに拒んでいた国なので、魔王との関係は疑っていた。

 異常なまでに警戒が厳しく、ビチュレイリワでさえ城の中を観測出来ていなかった。

 俺としてはビチュレイリワが覗けないと言う事実で、魔王と繋がっている証拠になりそうな気もする。


 ここにきて隠す気も無い。


「何の得があるんだ。

 秘密にしていた方がいいと思うんだが」


「注目を集めたいのでしょうね」


 俺の疑問に、リーシェさんが答えてくれる。


「注目?」


「他でしたい事があるから。

 ウサオアに意識を集中させたいんだ」


 とキューさん。


「魔境でオークやゴブリンなど、集団行動をする魔物の数が増えてます。

 それが関係していると考えれば、王都に攻め込んだ私達を、後ろから挟み撃ちにするきでしょ」


 ピノはビチュレイリワからの情報を伝える。


「魔物で軍隊でも作るきか。

 何故ゴブリンなんだ」


 新人冒険者でも倒せる魔物。

 100匹のゴブリンより、10匹のオーガーの方が脅威のはずだ。


 俺の予想はあっさり外れた。

 魔王軍との戦いを話あうための会合に、王たちが集まった。

 その会合の開始と同時に、ジュア・ニフス国から救援要請が来た。


 - 我がジュア・ニフスの誇る罠が意味をなさない。

  魔物が組織だって動き、罠を回避している。

  冒険者をお送り下さい -


 アルテミラル国王が冒険者を率い救援に向かった。

 兵はウサオアと戦うため、俺の元に残された。


 だから逆だって。


「前回、魔境で一緒に戦ったクラウンやギルドが解体せずに残っています。

 今回の、アルテミラル国王の選択は正しいと思います」


 ピノ、俺はそんな事を言っているんじゃない。


 魔境対応のため『人界の盾十国』は、自国の防衛に兵を残す必要が有る。

 連合はなったが兵の数が揃わない。

 また、王が自国に残る事になった。


「カリギュナーの兵はヨガ殿に預けましょう」


 と、カリギュナーの宰相ヘンネベル公爵が言ったのをきっかけに、話の流れで俺に全軍が任された。

 公爵の口角が上がっていたのを見逃してないぞ、性格が悪い。


 この会合で、全土に魔王軍との戦いが宣言された。

『人界の盾十国』以外からも兵を集める。



 魔王軍の拠点は2つ、魔境と暗黒大陸だ。

 魔境深淵へは過去にも手が届いた実績が有ったが、暗黒大陸は守りが固く近づく事もできない。

 だからこそ、ビチュレイリワの提案は大きな意味がある。


 その暗黒大陸からの軍をビチュレイリワが見つけた。


[上陸艦13隻。

 大陸西海岸に向けて進行中]


「妾が行く」


 何かを言う前に姿が消えていた。

 飛んでいった、タビさんにしか出来ない。


 彼女は、かの地の女王だ。





 情勢はピノを通して、ビチュレイリワから戦況を教えてもらっていた。


 タビさんは鬼人や人狼、虎人など戦いにたけた種族を率い戦う。

 善戦している。


 援軍を送りたいが、送る兵がいない。

 俺はウサオアへの進軍を開始しているため、抜けるわけにはいかない。


 そもそも、地上を行っては間に合わない。

 空を飛べる戦力は、竜騎士2騎と銀鱗翼竜(ケフロイヤ)

 どうするか悩んでいたところへ。


火狐(ヒコ)の所は大丈夫だ。

 もうすぐ仲間が駆けつける」


 ウサオアへの進軍に加わってくれたのが、タプヤルガさんこと白毛四足竜(タンヤアナ)様。

 一緒に女帝ミフォラレェーズ様も。


 なんと彼女は史上4人目の守護竜(ガーディアンドラゴン)を駆る者だ。

 女性として初めて守護竜(ガーディアンドラゴン)の背に乗る。


「私は卵を生んでいるしな。

 それにこの戦いが無事に済めば、呪縛のような宿命はなくなる」


 とはタプヤルガさん。


「4人目の守護竜(ガーディアンドラゴン)を馳せる英雄ですね」


 俺が、手を出すと


「自分が何に乗っているのか忘れていないか」


 と握りつぶすほどの力で、握手された。

 そうだ4人目は俺だった。


 守護竜(ガーディアンドラゴン)の助力も有り魔王軍の上陸を防いだ。

 これで彼らの援軍を断ち切った。


 引き返した船もいる。

 いつ再度上陸を試みるかも判らない、タビさんが西海岸から離れられなくなった。



「まさか、あれがこんなことに...」


 ウサオアへ侵攻し、王都を取り囲んだ最初の作戦開議で、俺の口から出たのは愚痴だ。

 兵が集まらない。


 ゆっくりと進軍した、各国が魔王軍との戦いに応じてくれるのを待ったのだ。

 多くの国が連合に合流の意思を示してくれたが、同時に何の反応を示さぬ国も多かった。


「これほど『奴隷印』の指輪が世界に食い込んでいたとは」とキューさん


 魔王軍との戦いを無視した国は、奴隷が認められている国だった。

 そしてそんな国で奴隷になっているのは獣人が多い。

 魔王軍の上陸を防いだ事で、タビさんの国は連合軍に参加する事になった。

 同時に経済活動に奴隷が組み込まれていた国は、声を上げなくなったのだ。


「暗黒大陸からの攻撃に、こんな罠が仕掛けられていたなんて」


「ヨガ、ぼやくな。

 俺は、この程度で済んで良かったと思ったがな」


 とは、ハバルのギルド長バーナーさん。

 ハバルの冒険者達は、自国が魔王軍と同盟したと知った時、即時に解放軍を組織した。


 冒険者は、魔物と戦う事に命をかけていたのだ。

 そのボスの下につくことは出来ない。

 それは、自分の生き方を否定するようなものだ。

 今も冒険者達はハバルで魔物を抑えている。


 バーナーさんは解放軍の代表としてこの場にいる。


「良かった?」


「そうだ。

『奴隷印』の指輪の策がもっと広がっていたら、『人界の盾十国』でさえ立ち上がらない国があっただろうな」


「魔王軍がやっていた計略は、『奴隷印』の指輪だけじゃない」


 そう言うのはフルーフ元王。

 彼は王座を子に譲り、自分はこの戦いに身を投じている。


「城に入り込むため、貴族達の中に種をまいていた。

 そして、心弱い者が取り込まれた。

 恥ずかしい話だ」


「それは、どこでも同じ」


 とオード議長。

 教会の中枢にも、魔王の手は伸びていた。


「ハバルでも、将来楽しみだった若者が先に死んでやがった」


 とバーナーさんがテーブルを殴った。


「だから口うるさく言ったさ『油断するな』と。

 だが、いくら言っても死んでゆく。


 納得がいった、見張ってやがったんだ。

 将来自分たちの障害になりそうな、粋のいい若者を」


 それは知らなかった、ハバルのギルド長だから気づいたのだろう。

 ずーっと何故と悩んでいたんだろうな。


「魔王軍の策を褒めても、どうにもならん。

 その策に間に合ったのだ、この機会を活かす事を話し合え」


 今まで黙っていた剣聖が、進まぬ会議にしびれをきらして、口を出した。


「人が1つにはまとまれぬのは、『奴隷印』の指輪のせいだが。

 連合を3つに戦力を分けたのは、準備されていたものではない。

 場当たり的な策だ」


 場当たり的?。


「なるほど、今までの魔王大戦は、最初に大量の魔物が魔境から溢れ出していた。

 今回魔境に、そこまでの数はいない。

 魔王軍の準備ができる前に、私達が動いたと言うのね」


 リーシェさん良く判ったな。


 他の者も"なるほど"とうなずく。

 彼女はその立場も有って、その言葉は軽くない。


「魔物がどう増えるのか知らんが、今多いオークやゴブリンでは我らは脅威を感じないが」


「生産コストでしょう」とピノ。


「なんだね、その生産コストとは」


「すいません。

 生み出しやすさです。

 短期間に増やせる数がオーク、ゴブリンが多いので、優先して増やしているのだと思いますね」


「魔境から兵を離さぬため、数を増やしたのか。

 弱くとも数は力になるからな」


「剣聖が場当たり的と言った事は、理解できますね。

 前もって準備していればこんな事はしないでしょう、我らに対応するため出来る事を選んだに過ぎない」


 ピノが冷静に魔王軍の策を分析した。

 ならタビさんを西に向かわせたのは、戦力の分散。

 それと、連合の兵を増やさぬため。


「眼の前の城には兵がいないのか」


 やっと理解できた。


「少ないと言っても異形の魔王兵、侮れんぞ。

 どうする」


 俺の兵を分ける策が採用された。

 集中して攻めた場合、そこに戦力が集中する。

 消耗戦になってしまえば、被害はこちらが多くなる。


 兵を3つに分け、城を囲む事にした。


 南は、守護竜(ガーディアンドラゴン)に支援を頼んだ。

 最も戦力の充実した部隊だが、その敵の兵力も集まる。

 激戦で守護竜(ガーディアンドラゴン)といえども、無傷ではいられない。

 ケイトさんも怪我のため人型になることが出来ない。


「南は任せて」

 と銀鱗翼竜(ケフロイヤ)の姿のまま戦いに加わっている。


 もっと兵がいれば北からも攻め、向こうの戦力を分散できる。


「やはり主役の登場は、場がその時を知っているな」


 と天幕にさっそうと入ってきたのはブンヘズ王。

 増援に来てくれた。


「本隊の到着はもっと後だ、俺達は先にきた」


 あの笑顔は、何か含んでいる。


「入ってこい」


 と王が声を出すと、外で待機していた者たちが入ってきた。

 身につけている装備はバラバラだが、共通な事があった。

 マナだ、ドラゴンのマナと混じっている。


「私は選ばれたぞ」


 王は自慢げだ。


「我ら11名の竜騎士。

 魔王を敵とする連合軍に加わる」


 北をブンヘズ王に任せ、四方からの城攻めが始まった。


 守りがかたい。

 想像どおり敵兵の数が少ない、だが各方面に光子砲(レーザー)を使えるものを配置している。

 近づく事も困難だ。


「このままでは、こちらの被害が多くなるだけだ。

 あの光る矢をどうにかしなければ、戦いにならない。

 懐に入れば、五分に持っていけるのだが」


 五分に出来るのは剣聖だけだと思う。

 ここにいる全員が思っているだろうが、口には出さない。


「何か策はないか」とブンヘズ王。


 空を飛ぶ者は、ピノから水の壁を作る対応策を教えられ、レーザー直撃の数は減った。

 だが近づくことはできていない、囮となり飛び回っている。

 進むことができず、イライラしている。


「フルーフ様、頼みがあります」


 ピノが策を思いついたようだ。


「なんだ。

 出来ることなら何でもする」


「王城地下に作られた金属の壁。

 あれを掘り出させていただきたい」


「あれを」


「簡易的な盾にします。

 剣や槍を防ぐには心許ありませんが、レーザーを防ぐには十分でしょう。

 加工もこの地にあるもので可能ですし」


「セルンに伝令を出せ、城を破壊しても良い。

 地下の壁をすべて送れと。

 手が動くものをすべて使え、身分など関係が無いぞ」


 叫び、伝令を出す。


「城を壊してとは」


「ちょうどよいのだ。

 あんな場所に戻るなら、山野に住んだ方がましだ」


 フルーフ王は本気だ。

 城から救出された後は人が変っている。

 軍で兵と共に寝起きし、従軍している。


 その気合は兵達にも伝わっている。

 魔王軍に城を乗っ取られていたという事実は、フルーフ兵達に重くのしかかっている。

 何を言っても、見苦しい言い訳にしかならない。


 "我らには帰る城はない"と言っていた隊長もいた。


 元王は、あの時生き延びた大臣を引き連れている。

 雷に撃たれ気を失った彼らは、癒しの手により死を免れていた。


 生き延びた彼らに


「自らの躯で、汚名をすすげ」


 と王が檄をとばしたと聞いた。

 罪は問わなかった、家名を子に譲渡し従軍している。

『死にたくない』と情けない声を上げた者はもういない。


 仲間の屍を踏みこえ、前に進むフルーフ兵は激烈だ。

 その行動で、他国のうるさい陰口を黙らせた。


 フルーフからの盾と兵の働きにより、やっと戦況が好転してきた。


「西軍より伝達。

 敵魔王軍の兵3匹を撃破、残り4匹。

 今日中の突破を目指す。

 との事です」


 駆け込んできた伝令が大声を上げる。



書いてすぐ上げているの、いつも以上に誤時、脱字、読みづらさが有るのを許して下さい

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