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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
8章
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8-13.過去との決着

前回あらずじ:アトロフの死を確認するため、ミツル墓から掘りおこさせていました。

(書いてたっけかな? by作者)

「茶番はやめよう、ミツル。

 今回の黒幕はお前だ、アトロフじゃない」


 大臣達が顔を見合わせている、彼らはアトロフが全てを行っていたと思っていたようだ。


「それに魔王軍も無駄な事はやめな。


 謁見の間に相応しくない石像の数々。

 その様な醜く異形の姿が、この場にあるわけ無いだろう」


「ははははは...

 面白い、面白いぞ冒険者」


 玉座の後ろに有った金色のドラゴンの像が声を上げた。

 ミツルの声だ。

 そして、ゆっくりと前に進んでくる。


 鱗が羽になっている銀鱗翼竜(ケフロイヤ)とは違い、いかにもドラゴンという姿をしている。

 力の象徴の中に自分を入れたのだ。


「初めて会ったはずだ、冒険者。

 何故私の事を知っている」


「昔からリーシェさんにちょっかい出していたじゃないか。

 キリスさんの件で排斥できた時は、これで終わったと思ったんだが」


「そうか、貴様はあの時の元凶か」


「俺は、うるさいハエをはらっただけだ」


 当時、お前にここまで関わる気などなかった。


「しかし、リーシェさんにアトロフを合せるとは意外だった。

 アルテミラルの王になる為に、お前が出てくると思った」


「あれを見ろ、王など意味がない」


 後ろの玉座をチラリと一度見た。


「実際に支配していれば、立場などどうでも良いのだ。


 それにアトロフは特別製だった。

 アトロフの触れたものは私も感じ、アトロフの口にしたものは私も味わえるのだ」


 気持ちの悪い事を言う。

 リーシェさんが自分の肩を抱いて震えた。


 奴の欲望の先に自分がいる、想像してしまったのかもしれない。

 俺も血が沸きだっているが、もう少し我慢だ。


「だから伯爵の地位にも興味が無くなったか」


 でなければ、父が生きてここにいるわけがない。


「小さな国の爵位などどうでもよい。

 私は、人がコアとなり魔王軍兵となった場合の成功例だ。

 これからの魔王の兵は魔法も使える。

 この功績により魔王グゥデゥ様にゴチョの爵位をいただいた」


「喋り過ぎだ」


 別の像が割り込んだ。

 頭がタコ、筋肉質の体に4本の腕とヤギの足がある。


 他の像も醜い。

 馬の首の所にワニの前半分がついていて、腕が蟹。

 上半身裸の少女の腰から下が長い蛇で、多くの翼が生えている。

 蛙足のムカデで顔が魚、毛むくじゃらな球体に色々な動物達の手足が生えているもの。

 全て色々な生き物をぐちゃぐちゃに混ぜ合わせたような、異形な姿をしている。


「申し訳ありませんショイ様。


 貴様のせいで、叱られてしまった。

 そろそろいいだろう、邪魔者には退場していただこう。


 動くなよ、少しでも動けば大臣達の命はない」


 俺は大臣達の命より、自分や仲間の命の方が大事だ。

 人質の意味がない。

 だが、これまで彼らを人質に好き勝手にやってきた奴は、俺達にも効果が有ると思っている。


「助けてください」

「命だけは〜」

「私は由緒ある公爵家」


 フルーフ王、いい家臣が多いな。

 大臣達は大貴族のはず。

 今まで散々いい思いしてきたのは、こんな時のためだろうに。


 その中に、目が死んでない者が3人。

 彼らは目配せをした、覚悟を決めたようだ。


「冒険者よ、王をフルーフ王国救えるか」


 声を張り上げた。

 いつ殺されてもおかしくないのに、勇気がある。


「約束は出来ないが、全力は尽くす」


 俺の返事で、3人が近くの魔王軍兵に体当たりをした。

 3人の体が黒い闇の球体に包まれた。

 その黒い闇は敵兵をも包む。


 そして闇が一気に縮む。

 球体が有った空間には何も無くなっている。

 大臣の体と、魔王軍兵の体の一部がない。


「ぐはぁー」

 1体は声さえ上げず床に崩れ落ち、残り2体は体を削られ叫ぶ。


「貴様ら」

 タコ頭が叫ぶ。


 同時に

「おまたせ」とキューさんも。


 室内に無数の雷が上下左右、全方向に走る。


 城の外でも、同じように雷が雨のように降っているはず。

 雷雲が育つ時間を無駄話で繋いでいた。


 その雷の中をケイトさんが、王に向かって飛ぶ。

 雷に阻まれ、ケイトさんの動きに反応出来る魔王軍はいない。

 ケイトさんも雷を浴びているが耐える。

 彼女の"耐えてみせる"と言う言葉を信じての作戦だ。


 ケイトさんが止まると同時に雷が止む。

 王を掴み銀鱗翼竜(ケフロイヤ)と姿を変え、天井を破り空に出た。


 上空に大型弩(バリスタ)の攻撃は無い。

 操作する者がいないのだ、外にいた死体たちは雷で動けなくなっている。

 ビッシュ・クラエテルも生き物だ、雷の直撃を受ければ死ぬ。


 天井に開いた穴から竜騎士のドラゴンが飛び混んできた。

 竜騎士とセバム子爵達が乗る。


 近くに精鋭80の騎兵を待機させている。

 合図を待って城に乗り込んでくる。

 セバム子爵はその指揮を、竜騎士達はワイバーンを彼らに近づけさせないために動いた。

 城内に残る死体兵と戦うためだ。


 像のフリをして柱にしがみついていた、魔王軍の兵士も3体飛び出してゆく。

 大臣の道連れになったのが1体、雷を受け動けないのが2体。

 闇に体を削られたが2体はまだ動く。

 他にミツルも含め5体。


 謁見の間では7対4の混戦が始まった。


 俺はタコに飛んだ。

 タコも反応が速い。

 見切ってギリギリで剣先をかわす。


 かわされた剣を返し、もう一撃を試みる。

 今度も見切られたが、頭が飛ぶ。

 マナで刃を伸ばした、マナの見えない奴らにはわかるまい。


 床に転がった頭が最後に

「剣は伸びていないはずだ」


 俺の剣が伸びるのは調査済みだったのか。

 知られていた事が、逆に今は有利に働いたな。


 だが頭を切られても、元タコ頭は倒れない。


 タコと対峙した俺の後から鰐馬が火弾を吐いてくる。

 俺には後ろも見えている、不意打ちにはならない。

 剣で火弾をはらう。


「炎はこう使うの」

 のリーシェさんの叫びと共に、暴風と業火の渦が鰐馬を巻き上げる。


 俺は頭の無くなった胴から4本腕を切り、胸を突き刺した。


「これだけ形態が違うと、急所もバラバラですね」


 ピノはレーザーを使う魔王軍兵を牽制していた。

 連射ではピノが圧倒的に速い。

 致命的な傷は追わせていないようだが、押している。

 有効な攻撃をさせていない。


「細かく切り刻めば、急所など関係ない」


 今、タビさんが相手にしていた、大きな蠍が崩れ落ちた。

 元々顔がないが、その代わりあった多くの毒針付きの尾がすべて切り落とされている。


「そんな力押しが出来るのは、タビさんだけ」


 と不満を漏らすキューさんは、蛙ムカデを加護の壁に捉えもう少しで押しつぶしそうだ。

 キューさんのもかなりの力押しだと思うが。


 柱に隠れピノの攻撃をかわしながら、俺にレーザーを当てようとしていたバッタを、柱ごと切った。

 今度は剣をムチのように伸ばした。

 バッタは距離が有ったので安心していたようだ、技は使い分けるさ。


[ヨガ、あいつが逃げます]


 ミツルが飛ぶのが見えた。


「逃がすか」


 と飛び出したドラゴンに切りかかったが、弾かれた。

 さっきの梟より硬い。


 飛び上がったドラゴンを追って、俺も地面を蹴り飛び上がる。

 今度も切れなかったが狙ったのが翼だ、衝撃を受け中庭に落ちた。


「小賢しい」


「ここでケリを付けさせてもらうぞ」


 奴は俺に背を見せて飛び立つわけにはいかない、今と同じ事が繰り返されるだけだ。


「出来ない事は口にするな」


 青白い炎を吐いた。

 避けるが、あっという間に中庭が炎に包まれる。


「苦しくはないか。

 この体にはこの程度の炎、涼しささえ感じる。

 人であるお前にはどうかな」


「気にするな」


「マナか。

 全身をマナでおおい耐えているのか。

 だがいつまで持つかな」


 今度は爪と尾で連続して攻撃してきた。

 しかも高速でだ。


「驚いたか、私もできるのだよ。

 この姿でもマナをまとえる。


 今までの魔王軍兵は、速く動こうにも物理的な限界があった。

 だが、マナを使える私にそんなものはない。

 いずれ私の優秀さは魔王様も知ることとなり、地位も上がるだろう」


「そんな姿になってまで、まだ地位が欲しいか」


「なに」


「あんなに欲しがった伯爵の地位は、自分が人で無くなった途端興味を失ったのにな。

 魔王軍での地位だと、そんなものがお前に与えられると思っているのか。

 おめでたいな」


「黙れ、この場で死ぬお前には関係無いことだ」


 また爪の高速攻撃。

 だが、やつが言うほど高速ではない、剣聖や聖騎士に比べれば全然遅い。

 1人が持てるマナ量など知れているし、使いこなすには訓練がいる。

 こんな大きな胴体に対しミツルのマナは少なく、鍛錬もされていない。


 簡単にかわせるし、反撃もできる。

 が、硬い。


[時間稼ぎをしましょう。

 ヨガは集中してマナで刃を研いで下さい。

 少しの間私が制御します]


(頼む)


「魔王から爵位をもらっただと、おかしな話しだ。

 領地を持たぬ魔王が、爵位を与えられるわけがない。


 "ゴチョ"と言ってたが、正しい発音は伍長(ゴチョウ)だ、これは爵位ではない。

 階級だ、しかもかなり下の。


 "ショイ"と言っていた少尉(ショウイ)からが初めて士官と呼ばれる。

 言ってみればここから普通言われる貴族階級で、少尉(ショウイ)が士爵程度だ」


 今はビチュレイリワが話している。


 ミツルは何も返さない。

 何を言われたのかも、理解出来ていないのかも知れない。


「何故、魔王軍の兵は異形の姿をしているか、不思議に思わないか」


「何?」


 これには、興味を持った。


「敵に恐怖を与えるためわざと醜く造っている。


 なら、普通の人型も作れるはずだ。

 人型に戻りたくはないか」


「何をバカバカしい事を、あんな弱々しい器、何の役にたつ」


「アトロフは、お前の追跡を断ち切るのに役にたったぞ」


「なに」


「後で、あんな使われ方をするとは思ってなかったが」


「?」


「そっくりに造った人形だ。

 死体になってしまえば、ますます本物と区別出来なかっただろう」


「あのアトロフが作り物?


 なら奴はどこに。

 そもそも何故お前が知っている」


(なり上がった。

 代わる)


「決まっているよ、兄さん。


 僕も"アトロフ”を元に作られているのだから。

 魔法を使え、強靭な肉体機能をもつ。

 確かにそうだね」


「ま、まさか。

 だがその姿は...」


「何を言っているんだい、ドラゴンなんて姿になった兄さんが」


 ドラゴンが翼を広げた。

 逃がすか、飛びかかる。

 かわされたが、片側の翼を切る。


「私の翼が。

 この体が切られただと、何故だ。

 この世に俺を傷つけるものなどないはずだ」


「それを誰に聞いた。

 魔王の本当の名を知っているな、教えてもらおう」


 いきなりビチュレイリワに言わされてしまった。


[すいません、謝ります。

 これは重要なことだったので]


(魔王の名前を吐かせれば良いのか。

 いたぶる事になるぞ)


 たしか、彼女達は拷問は絶対しないはずだ。


[仕方ありません]


 あっさり許されてしまった。


「言え、魔王の名を」


 反対の翼を狙うが、切り落とせなかった。

 翼が折れた。

 あれ、集中が切れたようだ。


[ヨガの中に特別な感情が生まれてますから]


(特別な感情?)


 何だ。

 復讐出来て嬉しいのか、俺は?


[評価、判断はやめておきます。

 なんと名称を付けても、正しいとは思えませんので]


 確かに単純に嬉しいとも違うなこれは。


 地を這うしか無くなったドラゴンを追い、その足に剣を突き立てる。


「魔王の名を吐いてもらおう」


 凄んでみた。


「わ、判った。

 秘密でもなんでもない。

 偉大なあのお方の...」


[ヨガ逃げて下さい]


 ミツルのいた場所が明るく輝いている。

 上空を飛ぶ蛇からの攻撃だ。

 その少女の口から、その姿に相応しくない強烈な熱と光を吐き出したのだ。


 次が来れば逃げれない。

 だが、蛇は追撃はしなかった。


 王城奪還の戦いは大方終わっていた。

 逃したのはあの1体のみ。

 こちらも犠牲が多数でた。


 銀鱗翼竜(ケフロイヤ)もあの蛇にやられ負傷してた。

もうすぐラスト。

出来るだけ頑張る。

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