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この恋に殉ずる  作者: 冷暖房完備
研修ちゅ
50/55

No.6 大人の恋

賑やかな店内とは裏腹に静まり返る個室。

その空気を壊したのは妊婦の夏世さん。

「智恵子が結婚許してもらうために どれだけ頑張ってるか分かってると思ってたけどね」

神谷さんもキレた。

「だから、さっさと子供作っちまえって言ったんだよ。二人がクソ真面目なのは分かってるけど、順番とか気にする時代じゃないでしょ?」

並木さんは、ふるふると首を横にふる。

「携帯かせ。呼び出して説教してやる!!あと何ヵ月が待てないのか、クソ野郎って言ってやる!!」

「……て」

「そだそだ。ついでに今夜、子作りしちゃえよ」

「やめて!!」

ダン!!とテーブルを叩く並木さん。

「二人とも、ありがとう。でも違うの……」

俯きながら、並木さんがポツリポツリと話し出す。

「すぐにでも結婚したい あの人を10年も待たせたの。優しさに甘えてワガママ放題で振り回したツケがきたのよ」

「だとしてもさ…」

「姫なんて呼ばれて、いい気になってた。だから彼に愛想を尽かされちゃったの」

はらはらと泣き崩れる並木さんの肩を夏世さんが抱く。

「それで?諦めるの?」

夏世さんの言葉に並木さんが首をふる。

「まだ、諦めないよ。プロジェクトが成功したら、それを持って会いに行く。もう一度アタシを好きになってって言いに行く!!」

涙で顔をグチョグチョにしながら、並木さんは強い眼差しで言いきった。



「すいませ〜んお勘定お願いします。あと、代行呼んでもらってイイですか?」

夏世さんがテキパキと仕切る。

「飛山さん悪いけど、智恵子こんなんだからアタシが家まで送るわね」

「え?で、でも悪いです」

「終電ないから言うこと聞きな」

「あ、はい」

こ、怖〜(泣)

でも、意外と面倒見はいいんだよね。

口の悪いのさえなきゃ、いい人なのに(泣)

プルル、プルル

「もしもし、ついた?いつもの席だから迎えに来て」

夏世さんが電話を切る。

どうやら旦那さまが着いたようだ。

「お客様〜。代行さん来ました〜」

「ジャストタイミングだな」

そう言うと、酔っぱらいの頭を叩く。

「おら!帰るぞ!!」


ぐでんぐでんだった二人は、代行さんがイケメンだった事もあり、シラフか!?てなくらいピンシャンして帰っていった。

「えと、飛山さんだっけ?ゴメンね巻き込んじゃって」

人の良さそうなイケメン(確かに工場長には似てない!!)の旦那さまが謝る。

「い、いえ!!こちらこそ、奢ってもらっちゃって すいせん」

「ガキが遠慮しないの。ほら乗って。とっとと帰ろう」

「あ、はい!!よろしくお願いします!!」

「ナビに住所入れたから、近くに行くまで寝ててイイからね」

旦那さま優しいな〜(泣)


特に共通の話題もないので寝たふりなんぞしてみる。

「しっかし、今日は特にスゴかったね。飲みすぎだろ?」

「仕方ない。智恵子がフラれたらしいからな」

「は!?そんな話 聞いてないけど!?」

「なに?あんたに言ってないの?」

「元々 相談とかするタイプじゃないからね」

「でも親友でしょ?」

どうやら夏世さんの旦那さまと並木さんの彼氏は知り合いみたい。

「俺としては親友のつもりだけどね〜」

「どっからどう見ても親友じゃん」

「まぁ今度飲む時にでも聞いてみるよ」

旦那さまが深い溜め息を一つつく。

「しっかし今さらどうしたんだろうね、新垣は……」



え……………






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