No.4 結婚するということ
予備校帰りの夏樹が お泊まりに来てくれた。
ここ数日の怒濤のような展開についていけてない私に冷静な意見を言って欲しかったから…。
が、
「あわわわ!!」
と、白目むいてるよ!!
「な、夏樹!?戻って来て〜!!」
肩を揺すると正気に戻ったようだ。
「アタシのビールが効いたな!!」
「…そ、そうかもね」
あながち間違ってはいない。
恋人ごっこからのビール!!
「夏樹のおかげだよ。ありがとう」
「いやいや、神楽の粘り勝ちだよ」
涙目の夏樹にジ〜ンときた。
「でもまだ彼女と ちゃんと別れてないからな」
「う、うん…」
「気を抜くなよ?」
「は、はい!!」
真面目な顔で見つめ合い、ふふふと笑いあう。
どうなるか分からないけど、いけるとこまで行こう。
たとえダメになってしまったとしても 思い出は残る。
大
切にしてこう。
二人の時間を……
「んでさ…」
ん?夏樹が珍しくモジモジしている。
「たまにはアタシの話も聞いてよ…」
「辰吉のこと?」
「んな、直球だな!!」
だって、それしかないでしょ?
「で?なんかあったの?」
この表情からして悪い事ではないだろうけど。
「たっつんにプロポーズされた…」
「おお!!」
おお〜!!
「おめでとう!!おめでとう夏樹〜!!」
ブファッ!!と涙が出た。
「なぁんで神楽が泣いてんのよ〜」
そういう夏樹の目にも涙が…。
「幸せになってね」
「うん!!と言っても親がどういうかだけどね」
え…?
「たっつんが施設で育った事あんまり よく思ってないんだよ。それでも付き合うのは渋々許してくれてるけどね」
「で、でも辰吉さんの両親は事故で亡くなったんだから辰吉さんに罪はないじ
ゃん」
「それでも世間体とか色々あるんだって」
そんな…。
辰吉さんほどイイ人は、この世にいないよ。
皆を力強く引っ張っていくリーダーシップも優しく広い心で誰からも好かれて…。
「昔ヤンチャだったのも原因の一つらしくてさ」
伝説の暴走族 総長だったんだっけ?
「それ嫌がるから言うなよ?」
は、はい(笑)
「20歳になったら勝手に結婚すればイイじゃんと思ったんたけどさ。その、ほら…たっつんに家族を作ってあげたいじゃん?」
「夏樹…」
私はギュウと夏樹を抱きしめた。
「大丈夫!!きっと許してもらえるよ!!だって夏樹が選んだ辰吉さんだもん」
「ありがとう!!」
ホッと安心した顔をした。
「でも、こうなってみて思ったんたけどさ、新垣さんが結婚できないのも何となく分かったわ」
「新垣さん
?」
「うんうん。同級生ってことは相手も28やろ?女の適齢期ギリギリじゃね?それでも許さないってことは新垣さんが施設で育ったからでしょ?」
「そんなこと言ってた…」
「アタシも覚悟しとかなきゃな。どんなに婚期が遅れても たっつん以外の人と結婚なんて考えられない」
そう言った夏樹は今まで見た中で一番綺麗だった。
『今から帰る』
なんだか恒例行事のようになった新垣さんからのメール。
意外とマメだな…とか思いながらカレーを温めなおす。
昨夜二人で作った二日目のカレー!!
新垣さんの秘伝のレシピと私のレシピを合わせた傑作!!
新垣さんは美味しいカレーを食べるのために出来立ては まだ食べてない。
しかし私はこっそり食べた(笑)
メッチャ旨かった!!
早く新垣さんにも食べさせたい!!
ワク
ワクしながら おたまでカレーをまぜる。
どんなに婚期が遅れても たっつん以外の人と結婚なんて考えられない
言いきった夏樹は凛として綺麗だった。
眩しくて目を細めて見つめた夏樹の顔に誰かが重なった気がして息が止まった。
見たことないのに ありえない。
でも…
新垣さん以外と結婚なんて考えられない
そう、新垣さんの彼女も思ってたんじゃないのかな……




