第一章 感染者 -インフェクター- (I)
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結局昨日は、お風呂に入って寝間着に着替えて、ふかふかのふとんで心地良く寝てしまった。これでは少々図々しい。
「どうもありがとうございました」
「いえいえ。またいらしてください」
マリアに返されるが、僕は少々違和感を持っていた。
「あの…ところで、どうして敬語なんですか?僕は泊めさせてもらっている身分ですから、使うのは当然と思ってますけど…」
「使え使え、と親にノイローゼになるほど叩き込まれたのです」
「なんて親だ。同年齢なんですから、使わなくていいんですよ。堅苦しくてやってられません」
その時、マリアはちょっと驚いた顔をした。しかしその直後に、にやりとした顔で言った。
想像を絶するものだった。
「いやー、一度敬語を使わねぇ生活、憧れてたんだよね~」
「…………」
いやいやいやいや。
「いや~、肩の荷が下りた。サンキュな、傭兵」
それもヨウヘイだがそれもそれだろう。え、、こんなキャラなの?ダメだ…せ…世界観が……。
「ほいじゃまたなー(^^)/~~~」
な…顔文字だと………!!いったいどう発音したんだ………!?
…………。
…………………キャラ……ッ
変わりすぎだろオオオオオォ!!!
今日、変わったことが3つあった。
1つは、マリアが情緒不安定になったこと。
2つ目は、僕まで情緒不安定になったこと。
3つ目は、タケルの影が薄くなったことである。
なんて日だ!!(実は棒読み)
「さよならー」
僕はマリア達に感謝しつつ、マリアの家をあとにした。
さてと。
「武器屋にでも行くかー」
足取りは不思議と軽かった。
その時は。
*
ほどなくして、僕は武器屋にたどり着いた。
店主は、なんとなくだが優しそうな雰囲気だった。
目がまんまるで、頬がふっくらとしていて、鼻が赤くて、口は典型的なたらこくちびる。そして、商人特有の帽子をかぶっている。
「いらっしゃいませ~」
笑って挨拶された。愛想がいい。
「初めて武器を買うんですが…。何かオススメはありませんか?」
「予算はいくらでしょう?」
「1200Gです」
魔導書を使ってから、通貨の単位はGになった。そこは手堅くゴールドでいいだろう。なぜゴルド。やはり胡散臭い。
「1200Gですか…。ではこのオンボロの劔はどうでしょう?11Gです」
「バカにしてるんですか」
漢字無駄に格好いいし。
「いやー、今ほぼ全品1205Gセールしているんですよ。唯一セール対象外なんですよ、この商品。唯一無二です」
「2回言う必要はないです」
「大事なことなので」
店主は、コホンと咳払いをして言った。
「2回言いました」
「何で分けたんですか!?」
「読者にとって読みやすい小説を書くことが僕の最終目標なんですよ」
「何か乗り移ってませんか!?」
…………。
ふう。僕は溜め息をついた。
「まぁ、いいです。じゃ1205G出すので、オススメお願いします」
「え……。何でまだ持ってるんですか?」
<続く>




