プロローグ(後)
*
それは10日前のことだった。
唐突なことだった。
地中深くに封印されたといういにしえの魔導書が発掘された。
なぜか日本語で、「汝、これにより災厄が与えられん」と書かれたものだった。
正直かなり胡散臭かった。
全国の国民9割が「埋めちまえ!そんなマガイもの」という声で埋まり。一時はデモ騒動もあり、200kmほど渋滞ができたこともあった。
だが。
しかし。
とあるお偉いさんが、この本に興味を持った。
使いたくて使いたくて仕方がなかった。
好奇心、ってヤツに負けたのだ。
国民の批評が90%から99%になったころ、お偉いさんは、ついにそれを使ってしまった。
テレビを通じて固唾を飲んで見守る国民。
そこからは、予想だにしないものがとびだした。
びっくり箱だった。
くり箱だった。
箱だった。
だった。
た。
…。
全人類の耳にビブラートがかかる。
中心となるページを開いた途端、バネ式の人形がとび出したのだ。これではびっくり本だ。
しかし、それだけではなかった。
そのびっくり人形が、永唱を始めたのだ。
「アルサルローメン ズリュトフナンムン テラフォケアリナム ディスディス………」
およそ30分ほど続いた永唱。眠らせる効果でもあるのか、全国民は眠りにおち、その決定的な瞬間を見たものはいない。だが、目覚めた時には魔物が外に現れていた。
家にこもる者。SNSで拡散する者。状況を面白がる者。
魔物を退治しようという者!!それは僕という、勇気溢れる素晴らしい者!!!!!
拳を握りしめ、僕は心の中で思った。
「やだ」「何あいつ」「突然叫び出したぞ」「ボキャブラリーが皆無ね。弱そう」
…………………………………………………。
声に出ていたようだ。(ò_<)テヘペロ
気持ちをごまかすために絵文字を使ってみたが、虚しさが倍増しただけだった。
話を戻そう。
外にあった店は、武器屋や道具屋、鍛冶屋など、何やらRPG仕様になっていた。今日は、武器や防具をおこづかいで買おうとしていたのに。あのデスライミュが現れた途端に、
丸腰ではモンスターと戦えない。
そう一瞬ためらった僕は、一心不乱に逃げ出した。
「全てのモンスターを倒す勇者でも、戦略的撤退は必要だ」
そう、自分に言い訳しながら。
<続く>




