第81話 『ランカー』✿No.87
『鉄の絆』……何処かで聞いた気がしないでもないなと、エヴァは思う。
最近聞いた気がするが、各階層で聞き込みをしていた彼女であり、多くのチームに声を掛けられていたため、思い出せないでいた。
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とはいっても、今日この日これから、彼女達はとっても驚く出来事が待っていて、それにより、彼女の中で『鉄の絆』なんてチームの名前は、再び記憶から消え去ってしまうのだが。
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いろんな人に「馬鹿」だの「あふぉ」だの言われてきた、ある意味ネタである無理難題クエスト『ラミアの1000本ノック』。
期限は明日の深夜まで。
今朝の時点で鱗は829枚
本日のラミア討伐で恵みがあった枚数63枚 合計892枚
それプラスで、『死に落ち』3体である。
最初の解体で得た鱗の枚数が63枚が最も多い数であったが、最低でも1体40枚を切ることはなく、恐らくであるが、本日の解体を持って残り108枚は超えるはずだ。
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超えなくとも明日ひとつの巣に籠れば、『クリアは確定』であって、偏に昨日今日の『死に落ち』のお陰であった。
あれ以来、ラミアの真珠のドロップは小さいものが1つだけで、それは1万エリス程度にしかならなかったが、パール鱗は8枚も出ており、それだけで16万エリスとなり、肉や爪の売却、初日の特大真珠を含めると現段階で30万エリスを超えている。
最低でも50万エリスの稼ぎが確定したようなものだ!
先程、サーシャが揉めていた原因であるレアドロップの『痺れ牙』は、最低ではあるが50万エリスで取引されている。
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このことを考えると、エヴァ達の(強運のお陰でもあるが)努力の結果と、『鉄の絆』が運よく手にしチームを崩壊させた金額が、ほぼ同じ50万エリスであることは、全くもって皮肉としか言いようがなかった。
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「あら、あなた達? 来てたのね。声かけてくれれば良かったのに。」
暫く待っていると、サーシャが事務局から出てくる。
「サーシャさん大丈夫? さっきの人達と揉めていたみたいだから。」
大きな目を少し潤ませて心配そうな顔をするエヴァに、サーシャの心は癒される。
「ん、見ていたのね。レアが出て持ち逃げされた挙句、詐欺もされててギルド経由で負債を抱えちゃったみたいでねー。良くあることよ。」
「まぁ……そんなことをして、いったい何が楽しいのでしょうかね?」
「本当だよね! レアなんて『また』出せばいいのに。」
(アハハ……エヴァちゃんがそれ言うと運が強すぎて説得力がないわよね。)
自分がけし掛けたのではあるが、実は連日の0.1%確率の『死に落ち』が連発し少しだけギルドで話題になっているエヴァを見てフリージアは笑う。
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「ところで、フリージアちゃんは?」
今更ながら彼女がいないことに気が付くサーシャ。
「『か・た・な』? の材料を揃えに、リンデン達と第7階層に言っているよ。」
「へぇ、フリージアちゃんとリンデン君がねー。」
「それで、どうしようか迷ったのですけれど、クエストの期限が『明日』でしたので、若しものことを考えて、わたくし達だけで戻ってまいりましたの。」
「ああ、それで解体の時間暇だから寄ってくれたのね?」
「そそ、そしたら大変そうだったので。」
「ありがと!」
サーシャはそのエヴァ達の優しさに本当に救われた気分で、優しくふたりの頭を撫でる。
すると……。
『ん? ん~~~~? あれれぇ?』
『あれぇ?』
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エヴァの導きの妖精『もも』とマーガレットの『カナリア』が、「あれあれ~」と言いながら、エヴァ達の周りを不思議そうに飛び回る。
「どうしたの『もも』?」
エヴァが『もも』に聞くと、たどたどしい言葉で言う。
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『りんでん? らんかー なた!』
「ふぇ?」
『りんでん、87ばん!』
「え? どういう?」
「まさか!?」
そのエヴァ達と導きの妖精の会話を聞いて、サーシャが急いで端末を確認する。
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(あ……。これは……流石にリンデン君フォロー出来ないかも。)
漫画のように困った顔で一粒の汗を浮かべ「あはははー」と笑うサーシャ。
「えっと……、落ち着いて聞いてね。」
「ふぇ……」「……」
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「―――リンデン君が、E級のランク87位となりました。」
「ふぇ……」「……」
「彼は、E級の『ランカー』になったの……よ!」
「ふぇ……」「……」
『ふぇえええええええええええええええええ―――――――。』
響き渡る少女達の叫び声。そして汗を拭うサーシャ。
重ねるように、『ふぅぇええー』と笑顔で万歳をする導きの妖精の声とともに。
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『―――――はあああああああああああ?!!!!!!』
素材の採取を終え、サーシャとリンデン達が戻った、第10階層『迷宮』街『メイヤー’S 武器店』にも、同じく響き渡る少女の声―――。
素材がほぼ揃い、上機嫌であったフリージアの顔が真っ赤である。
たじたじのリンデン―――。
何がいけないんだ? と不思議そうにふたりを見るザコイチとメイヤー。
エヴァから、導きの妖精を通じてフリージアに連絡が入る。
「うん……うん……うん……。だよね。わかった……。」
フリージアの声のトーンが重く、リンデンは覚悟する。
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「今すぐサーシャさんのとこに行くよ!」
「ですよねぇ~。」
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折角集まったフリージアの『刀』の素材を『メイヤー’S 武器店』に置いて、フリージアとリンデンは、エヴァ達の待つ『迷宮』ギルドに重~い空気のまま向かうのであった。




