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『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第6章  ✿刀とランカー✿
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第80話 恰幅の努力と✿『観察眼』

 フリージアが得た安心感は、より彼女の『刀』との親和性を高めて行く。


― ☘ 

 新しい試みの最中の集中力は、まだまだ未熟である彼女にとって、いつもの片手剣とは勝手が違うため散乱しており、眼下の敵のみに集中できる安心感は、その集中力をしっかりと補ってくれていた。


「ん。返しの剣先の位置を考えると、引き切ることも可。成程、それでメイヤーはあのとき引き切りを見せたのか。」


「この少し湾曲した形は、意外と相手をいなし易いのかも知れない。」


 ブツブツブツ……。


 フリージアは、新しい玩具を与えられた子供の様に『刀』にのめり込んで行く。

― ☘

 その際、リンデンに気になったことを無意識に聞いているのだ。


 本人は『不本意だが』とは、言っているのだけれど、満更でもないのが表情からも伺える。


 集中の極致でもあったためか、フリージアの顎から大粒の汗が零れ落ちる。

 階層の天から木漏れる光にその汗が眩しくて、リンデンはその姿に見惚れてしまう。


「このクラスの敵では、もう相手では無さそうですね。少し疲れが溜まったように見られます。一度休んでください。僕にも戦わせて貰います。」


 リンデンの導きの妖精ナビゲーター『カスミ』から、「はにびー」のハチミツとレモンを混ぜたドリンクを取り出し、フリージアに渡す。


「ふん!」

 と、言いながら、彼女はそれを受け取り、邪魔にならない岩陰に腰を下ろす。


 ✿

― ☘

 スケルトン達と戦うリンデンを見て、フリージアは目を疑う。

 これが、あのスライムに怯えていた恰幅なのだろうか?


 少しは動きがマシになり、力強くはなったが、前衛としては、まだまだ力不足なのは明白だ。だが、実に無駄のない動きなのである。


 見ていてイライラする程、ぎこちなく敵の攻撃を躱すのだが、その後の反撃が流れる様に相手の癖を突き、『吸い込まれる』ように弱点へ攻撃をしている。


「ほう……。」


 思わずフリージアが感嘆の言葉を口にしてしまったのは、スケルトンアーチャーが彼を狙った時だ。


 自分の立ち位置を変え、スケルトンナイトをその射線上に誘発する。

 そして、スケルトンナイト越しに手に持ったスティングをアーチャーに向かって投げ仕留める。


 ◇

― ☘

「弱いけど、あいつ強いだろ?」

 鉄鉱石を掘りながら、ザコイチがフリージアに聞く。


「確かに弱いけど強い……不思議な感じ。あいつの強みは……目?」


「あぁ。多分、同等の敵にすらあいつは厳しいんだが、それは初見での話だ。あいつの『気が付く』ことは芯を得ているんだ。それは敵でも……見方でもな。」


「ふむ……。」

「マナーもあるから聞いてはいないが、恐らくは―――。」


― ☘

「観察眼持ち。」


「流石アリアの弟子なだけあるな。」

「御師様の仲間の話はよく聞かされた。でも、ザコイチの癖によく知っている。」


「呼び捨てかよ……それに癖って。ま……俺も『情報屋』みたいなことをしてたから、一応はな。」


 「ふーん。」と、言うとフリージアはリンデンから貰った飲み物を飲み干す。


 でも、観察をして弱点や癖を知っているだけでは説明出来ない。

 あの一撃必殺に近い吸い込まれるような武器の動きは一体―――。


― ☘

 恐らく、ザコイチにも、これは見えていないのだろうなと、親指の爪をかじりながらフリージアはそう思い、リンデンの動きに目を凝らす。



 ✿  ✿  ✿


「いや~、マーガレットの援護助かったよー!」

「エヴァさんの『花』魔法リアトリスでの豪快な燃やしっぷりも見事でしたわ!」


「あれ、魔法に集中しないと消えちゃうから使いどころが難しかったんだけど、打ち漏らしたラミアを、あれだけ的確に矢で打ち抜いてくれるのなら、戦いでも使えるよね?」


「ただ、『死に落ち』したラミアも燃やしそうだったので、肝を冷やしましたわ。」

「あはは、一応『見ていた』からね。急いで火柱を移動させれたからセーフ!」


 今日だけで、第9階層の「ラミアの巣」を2つ回って、それなりに鱗が期待できる状況となっていた。


 時間効率は3人で回る時と比べて、エヴァの消費が激しいものの、それはそれで刺激となり充実感を得ているエヴァとマーガレットであった。


― ☘

 ここで、ふたりは一度『迷宮』ギルドに戻ることを決めるのだが……。

―――そこで、知ってしまう。あるひとつの『衝撃的な事実』を。



 ✿


「た~のも~~!」

 何時ものように、ふたりは解体屋でラミアの『死に落ち』を解体依頼を出す。


「お……う。毎度。今日も3匹か……すげえな。」

 ノディムのこの言葉も日常となってきた。


「ところで、俺の計算が間違ってなけりゃ……この解体辺りで、1000本ノッククリアしちゃうんじゃないか?」


「んー。どうだろ? ノディムさんの腕次第?」


― ☘

「ははは、てこたぁ。ゴールは近い感じだな。任せておけ! 無駄なく解体しておいてやる!」


「ありがとうー。じゃ、サーシャさんのところ行ってくるから、また夕方ね!」


 ◇


 ノディムのサムズアップを横目に、ギルドの受付に行くと、珍しくサーシャが苦情だろうか? 大声で騒ぐ迷宮探索家フローターの対応に負われていた。


― ☘

 話は良く分からなかったのだが、どうやらE級迷宮探索家フローターチーム『鉄の絆』のメンバーのひとりが、第9階層の『階層ボス』のレアドロップの『痺れ牙』を持ち逃げしたらしい。


 しかも、買取商人から多額のお金を先払いで貰っての逃亡であって、その返済がチーム『鉄の絆』に『迷宮』ギルドから請求があったようだ。


 迷宮探索家フローターの信用払いであったのが発端であり、それがチームで交渉を行っていたという点が『迷宮』ギルドの立替えとなり、チームが負債を負ったという流れであった。



「はぁ……。何が『鉄の絆』よ……メッキじゃない。」


― ☘

 聞く耳持たずの対応で『鉄の絆』を追い返したサーシャは、どっと疲れた顔をしていて声を掛けずらい雰囲気であり、エヴァ達は、暗い顔で執務室に戻っていく彼女を無言で見送った。

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