第77話 『刀』必要素材と役割分担
『超希少種』モンスター「クイーンラミア」のレアアイテム、《《幻》》の『黄金ラミアの鱗』というメイヤーの言葉に驚きの声を上げる彼女達と溜息を付くリーダーリンデン。
「ねね? 良く分からないのだけど、私達が倒したの『マザーラミア』だよ?」
エヴァがびっくりしてメイヤーに聞く。
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「本当にまだ、ほとんど新人なんだなぁ。「クイーンラミア」は希少種の『マザーラミア』の亜種で『超希少種』なんだよ。だから、正式名称は「クイーン・マザーラミア」って名前なんだ。確認しなかったのか?」
「「「う~ん???」」」
頭の上に『?』を浮かべ目を点にして首を傾げる3人娘。
「お……おぃ、マジかよ? ハハハッ。リンデン、ホントお前、面白い奴等と組んでるなぁ~! おい!!」
「あははは……。」
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「まぁいい。でな、その『クイーンラミア』のレアドロップが『黄金ラミアの鱗』で、『階層ボス』のキングラミアと違って、滅多にお目に掛れない希少種のレアドロップだから『幻の』って言われるんだよ。分かったか?」
「「「へぇ~!!!」」」
「か……軽いな。でも、それさ。売った方がいいと思うぞ?」
「え? これじゃ剣の材料にならないのー?」
エヴァが少し寂しそうに聞く。
「なるぞ。すっごくいい素材だ! でも、それ売って素材屋で何か買った方が、お前達の『懐』が温まるんじゃねぇか? って話だ。」
そのメイヤーの言葉に、また『?』を頭に出して首をかしげる3人娘。
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「え、なんで? これでフリージアの剣が良い物になるなら、それでいいじゃん。」
「皆で出したもの! 絶対に使って!」
「ですわね。お金はもう直ぐいっぱい入りますしね。ラミアさん1000本ノックとかで!」
「は? ラミア鱗1000本ノック? 君達あふぉなの?」
「「「え?」」」
「あ……うん……。でも、それ100万エ……もういいよ。俺も覚悟を決めた!」
3人のその呆けた回答と、その横で汗びっしょりになって頭を下げるリンデンを見て、メイヤーは『あぁーこいつら金じゃないんだな』と悟り、真剣な顔をする。
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フリージアの要求は、手に馴染む剣。自分の体に合う剣。切れ味があって折れ難い剣。と、注文を付け放題であったが、その妥協をしない剣への真摯な姿勢に、メイヤーも答えようとしているのが伝わってくる。
逆に、メイヤーの希望は、『刀』を作らせて欲しい。その1点―――。
初めは難色を示していたフリージアであったが、こちらもその熱意に負けた……というところであろうか。
手と手をガッチリと握り合い、その条件を承諾したふたりは、刀製作の最終調整に入っていく。
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「『黒銀鉱』をベースにするのはいい。『黄金ラミアの鱗』をそれに併せるのもいい。だが、それ以外の素材がちと足りないかねぇ。」
「ん。具体的には?」
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「まず、第7階層のアンデッド地帯にある採取ポイントで『鉄鉱石』の採取、ついでにアンデットからのドロップ品。それと、これは素材屋にもあるかどうか……。」
メイヤーは指を折りながら、頭の中で素材を考え武器の設計図を引く。
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「……これもラミア系のなんだけどな。第9階層の『階層ボス』キングラミアの『黒蛇鱗』……。レア素材じゃないから手に入り易いと思うが、人気あるからなぁー。時価で水物だし、売ってるかねぇ?」
どうやら、『黄金ラミアの鱗』を定着させ、切れ味を増すためには、『階層ボス』の素材が必要らしい。
エヴァの眼がピカッと光るも、マーガレットは「おや?」とリンデンを見る。
リンデンは、そのマーガレットの視線を対して首を縦に振る。
「……あ。あのぉ……。」
「ん?」
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「僕……持ってます、それ。……すみません。」
「えー! 私もボス倒したいいいい!」
「チッ! やっぱりか。」
「すみません! すみません! すうみませえええん!」
と、謝りながら『黒蛇鱗』を出し、メイヤーに渡すリンデン。
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「……うん。確かに『黒蛇鱗』だな。でも、何で謝るんだ? あぁ、こいつらは、ただ戦ってみたいだけか……。」
「でもメイヤーさん! リンデンだけずるいって思わない?」
「まぁ、討伐に行って来てもいいけど、明日は絶対会えないぞ? 1週間……いや1か月くらいかかるかもな? 沸いたの最近なんだろ?」
メイヤーがリンデンに聞く。
「き……昨日です。」
「なら、悪いことは言わない。これを使わせてもらえ! それに……あふぉのお前等のことだ、1000本ノックまだ終わってないんだろ?」
「「ぶうううう!」」
「それに、エヴァは良いとしても、フリージアは少なくとも『刀』に慣れてもらわないといけないしな―――。」
っと、メイヤーは、模造した刀をフリージアに渡す。
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手に馴染まないから要らないと言った刀を渡されて困惑するフリージアに、メイヤーは立ち上がり、案山子を指さす。
「今日お前はここに泊まっていけ! 私と合宿だ。明日までにその刀を振れる程度までには調整する。後、刀の使い方を教えてやる。」
「ん? エヴァ達が御師様と弟達に伝言してくれるなら構わない。」
「全然OKだよ。」
「なら、決まりだ。で、リンデン。昼からザコイチと動けるのか?」
「恐らくは。ザコイチさん体調が悪い訳ではなさそうでしたし。」
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「ザコイチ賢者モードキモッ……。まぁ、お前とあいつで第7階層の素材を集めて来い。後エヴァ達は、1000本ノックをしてこい。終わるのか知らんけど……。」
何となくだが、エヴァ達の無鉄砲さを感じ取ったメイヤーは、フリージアの刀を作る課程をシュミレーションをして、最善の道を伝える。
その結論。それは、エヴァ達には素材集め等をして貰う―――だった。
要は、鍛冶の準備をする過程で、エヴァ達の好奇心に必ず邪魔され、集中力を切らすであろうと悟ったのだ……。
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「すみません。僕も……それが一番だと思います。」
リンデンが……申し訳なさそうに言う。
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「おう……お前も苦労するな。でだ、明日からは、フリージアも『お前達と一緒』に第7階層で骸骨系を相手に刀で戦わせたいんだが、頼めるか?」
「え……。」
メイヤーのその提案に、リンデンの胸は ”ドクン” と、大きくひとつ鼓動する。
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そして、リンデンは、その鼓動の高鳴りをフリージアに悟られないよう「明日、朝一番で迎えに来ます―――」と早口で伝え、足早にザコイチを叩き起こすために宿屋に走り去っていった。




