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第74話 『ひとつ貸し』だぞー!

―――第10階層

   最初の『迷宮』街「アンダーザトランク」


 階層の入口となる『マザーの子』は、街の北端にある。

 高い壁に囲まれた街の一角にある緑化ゾーンは広場になっていて、その中心にシンボルツリーのように『マザーの子』が鎮座する。


 着いたばかりの迷宮探索家フローター、帰ってくる迷宮探索家フローター、そして、今から冒険に出発するキラキラした瞳をした迷宮探索家フローターと、ここは熱気と活気に満ちている。


― ☘

 その広場から直ぐ南に、大きな門がある。

 この門は、『マザーの子』を超えてくるモンスター対策と言われているのだが、それは20年以上前の出来事であり、嘘か誠か今では伝説のようなもの。


 そんなお伽話のような話を王国直属の門番に聞かされて、目を輝かせるエヴァ達は、鼻息荒くその大きな門を潜る。


 ✿


 リンデンとザコイチが泊まっている宿『山翠亭』を目指す一行は、街の『中央広場』に差し掛かる。


 至る場所に出店されている露店を横目に、石畳の色の違いや端部のひび割れた石段を見て大騒ぎをする3人。


― ☘

 露店の客を装って、帽子やマントで変装をしているキャッチ・フライは、その会話を聞いていて、内心寒気を感じている。



「これが、御師様達が『ぶっ壊した』広場。」

「ふわぁ……。この広さを『半壊にした』なんて、お母様一体何を……。」

「すっごー、流石女将さん! 『ボッロボロにした』のが分かるね!」


(は……? この子達は……何を言っちゃてるんすか? 確かこの広場の傷跡は『風読み』と『アリアウルフ』が、突如沸いたモンスターとの激闘の末に出来た『伝説』の結果っすよね……?)


― ☘

「でも、見たかったなー! 女将さん達の『喧嘩』。」

「あ、エヴァ声大きい。確か『内緒』。」

「そうでしたわ。誰かに聞かれたらギルドが『黙ってない』ですわね。」



(ぶへぇ! 『喧嘩』!? マジっすか……伝説を更に上塗りする伝説を、身内から聞いちゃった気がするんすけど? 僕、ギルドに消される前に、この記憶を脳みそから消したいっすよ……。)



 情報屋としては、なかなかの興味深い情報だ。

 だが、その真実を明らかにしたところで「誰得」であるし、『知っていることを知られるリスク』の方が、よっぽど恐ろしい……。


― ☘

 なんせ相手が、『迷宮』ギルドで、『風読み』で、そして『アリアウルフ』なのだ……。情報屋の勘が警戒音をファンファン鳴らしている。



(はぁ……もう嫌っす。この子達の仕事請け負ってから頭が疲れっぱなしっすよ。)


 彼女達が見つからなくて疲れ果てていた、ここ数日。

 彼女達を見つけて『花』魔法を見て歓喜したのも束の間―――。

 尾行したらしたで……とんでもないことを言い出すエヴァ達。


 そう、キャッチ・フライの受難は、まだまだ続いていくのである。


 ✿


「『山翠亭』……『山翠亭』……あ、ここかな?」


 ようやくリンデン達の泊っている宿を見つけたエヴァ達。

 宿屋の主人に尋ねるも、リンデン達はまだ帰っていないとのこと。


「どうします? まだ夕刻まで時間はありますわよ?」

「待つのだるい。ギルドの解体屋に行くべき。」

「じゃ、宿屋のおじさんにメモを渡して帰ろー!」


 『迷宮』街「アンダーザトランク」に着けたし、リンデン達の宿屋も分かったし、今日の目的は果たしたなと、宿屋の主人にリンデン宛のメモとチップを渡し、わいわいと第1階層に帰るエヴァ達。


 そして、それを『マザーの子』まで尾行をしてお見送りするキャッチ・フライ。



 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿


「「「た~のも~う!!!」」」


 『迷宮』ギルドのホールから、今日も右奥の扉を ”ババーン” と開けて、エヴァ達が『解体屋』に入ってくる。


「おう! 嬢ちゃん達か。今日は何体だ?」

「3体~!」 

「お……おぅ。毎度すげえな……。それだけ「巣」で倒してるんだろうが。」


 苦笑いのノディムに解体の依頼をして、彼女達はサーシャの元に向かう。


 ✿


「ただいま~サーシャさん。第9階層で、リンデンとザコイチ先輩に会ったよ!」

 開口早々、嬉しそうにそう言うエヴァ。


「あら! チーム組んで初めてね。」

 サーシャは、今日も何時ものように優しく話を聞いてくれる。


 ◇

― ☘

「んとね。直ぐに別れたんだけど、その後にリンデンがD級迷宮探索家フローターチームと同盟結んでた。」


「へぇ。エヴァちゃん達もその人達と親しいんだ。」


「え? 全然知らないよー?」

「会ったことすらない。あいつ……。」

「エスパーダ? でしたっけ?」


「ふぇ?」


― ☘

(エヴァちゃん達が会ったこともないチームと同盟?

 リンデン君……。フリージアちゃんに怒ってるわよ~これ。)


「ねぇ聞いてよ! サーシャさん。あいつったらね! ブツブツブツ……」

(ほ~ら怒っている。)



(それにしても、『エスパーダ』か~、確かD級だったわね。

 良いチームだし『キングラミア』のレイドで一緒だったのかしらね?)


(と……いうことは、ザコイチさんのアドバイスかな? うふふ、完全に保護者ね。あの人!)



「そう言えば、『ちびレム』の魔核を切り損ねて……剣を折ったの……。」


「え? 『ちびレム』の魔核を切ろうとしたの? 実はあの子、魔核を剣先で触れるだけ泡になっちゃう特殊なモンスターなんだ。でね、魔核はすっごく固いから、普通は切らないんだー。」


「え? ……そうなんだ。」


― ☘

(あら、結構落ち込んでる? でも、2人が慰めてピークは過ぎている感じかしら? しょうがないなぁ、今日は話を聞いてあげるか~~。)



「あなた達、今日は、良くも悪くも大冒険だったみたいね? 解体品受け取ったら終わりでしょ? 私ちょっと飲みたい気分なの、付き合いなさいよ! それで、今日のお話を聞かせて。ね?」


(3人のこの「パァ~」となった顔。相変わらず分かりやすいなぁ。)


「うんうん! 是非是非ー♪」

「じゃ、解体が終わるまでに時間潰す♪」

「図書館にでも参りましょうか。では、サーシャさん後程♪」


 エヴァ達3人は、サーシャに笑顔満点で手を振り去っていく。



(あと、同盟や『エスパーダ』についても教えとかなくちゃね。主にメリットを。)

― ☘

 エヴァ達がそうであるように、フリージアもリンデンを信頼してない訳ではない。

 知らないことを彼が知っているの嫌なのだ。同盟という知らない仕組みも、『エスパーダ』という未知の仲間も。


(見え透いているのよね。だから、ほぐしてあげる必要があるかな?)

 サーシャはそう思いながら、心の中でリンデンに言う。


― ☘

「―――これは、ひとつ貸しだぞー! リンデン君。」



―☘第5章:Fin ✿

===============☘

✿ 読者の皆様

これにて ✿ 第5章:階層ボス ✿はおしまいです♪

お読みいただきまして、ありがとう☆ございます。

エヴァ達の金欠から始まり、リンデンの活躍で終わった章如何だったでしょうか?

第6章は、このお話の続きとなり、この章の頑張りが実を結ぶ章となります。


執筆の励みになりますので、宜しければ、ブックマーク、評価★をお願いします。

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