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第73話 迷宮探索家チーム『同盟』

「す……すみません。僕達にこんなレアドロップが……。」


 E級迷宮探索家フローターチーム『鉄の絆』のリーダーであり、瀕死だった盾の男 ヴィクレ が、ザコイチや『エスパーダ』の面々に頭を下げる。


― ☘

 どうやら、レアドロップの『痺れ牙』が彼らに恵みとして行ったらしい。


「おい、お前さん達。誰に何が行ったかはパーティメンバーしか分からん。

 おいそれと、そんな事を口に出すと死ぬぞ?」


 『エスパーダ』の剣士でリーダー ネビアス が、呆れて注意をする。


「しかし……自分達は何も出来なくて……。」

「それでも、だ! ポーカーフェイスで知らぬ存ぜぬを貫け。」


「まぁ、ビギナーズラックって奴だ。『一攫千金』に当たったんだ。装備を揃えるないしして、次で頑張って貰いたいものだな。」


「は……はい。」

 ヴィクレは、ザコイチのその言葉で口をつぐむ。


 ✿


「よし! それならこれで解散だな。『鉄の絆』も『エスパーダ』もありがとうな。良いレイドチームだったぜ。」


― ☘

「ふっ、まさかザコイチが『テンプレ』辞めて、迷宮に籠っているなんざ思っていなかったぜ! ……『あれ』から大分経つが、衰えてはないようだな。それに……。」


 ネビアスが、リンデンを興味ありげな顔で見る。


「君……リンデン君だったかな?」

「は……はい。」


「いい眼を持っているね。それに聡明でいい指揮だった。どうだい? ザコイチに指南受けているのだからフリーなんだろ? うちに入らないか?」


「あ、い……いえ。僕は……。」


 リンデンが回答に困るのを見て、ザコイチが代わりにと説明する。 


「あー、こいつはダメだ。『可愛い少女3人』とハーレムチーム組んでいて、しかもリーダーだ! それに……。」


「ん? それに?」


「その3人に『華の蝶』の秘蔵っ子と、『アリアウルフ』の娘が居るんだぜ? そんな中から引き抜いてみろ? 俺は怖くてそんなことは出来やしねぇ。」


― ☘

「うげっ……なんつー組み合せだ。まぁ、でもリンデン。お前を気に入った! また何かあったらお互い協力しようぜ! チーム同士の友好関係……『同盟』を組まないか? お前リーダーなんだろ?」


 ネビアスが、自分の白い導きの妖精(ナビゲーター)を呼びリンデンに向ける。


「あ……あの、宜しければ自分達も……その、何かでお礼もしたいので。」


 申し訳なさそうに、でも真剣な眼差しで、E級迷宮探索家フローターチーム『鉄の絆』ヴィクレが、鉄色の導きの妖精(ナビゲーター)を出す。


 ◇


「ふぇ? あ……あの、僕はおまけみたいなものなので決めかねます。……すみません。」

 リンデンは困惑しながら誘いを断るのだが。


「はぁ、何言ってるんだ? お前を勝手にリーダーにしたのはエヴァちゃん達だろ? なら、お前が決めちまえばいい。」


 と、ザコイチが呆れてリンデンに言う。


「え? でもそれは……。そういうものなのですか?」


「あぁ、そういうものだ! それに、迷宮探索家フローターチーム同士の同盟は、それだけ『敵が減る』ってことだしな。但し、信頼を置ける相手ってのが条件だがな。」


 そういうと、ザコイチは『鉄の絆』ヴィクレを睨みつける。


「お前さん達は、今回の一件で甘い汁を吸っちまった。その恩を返すと言う『お前さん』は評価出来るんだが、チーム全体が信頼出来ると推してやるには、ちとお前さん『達』では実績不足だよなぁ。」


 ザコイチは、リンデンの方を見て一息入れる。


「でだな、リンデン。お節介かもしれねぇが『エスパーダ』は信頼ができる良いチームだ。お前達を何時か絶対に助けてくれるって俺は思えるから推せる。だが……このひよっこ達はどうなんだろうなぁ。」


「え? ぁ……はい……。」


― ☘

「なぁに、はじめは顔見知り程度でもいいだろってことだ。こいつらの信用を、お前の商人の『目利き』で ”買っても良い” と思ったときに同盟を結べばいい。」


 ◇

― ☘

 リンデンは、生産系の迷宮探索家フローターで商人だ。

 ザコイチは、その『目利き』を『人に向けろ』と教えてくれている。


 だから、改めて『鉄の絆』を見る。

 そして……悟る。ザコイチの言っていることは「正しい」。


 ヴィクレは、信用できる。

 だが、誠心誠意回復に努めた神官の子以外の3人はダメであろう。

 心がもう『レア』にしかもう向いていない。だからか、この時間が本当に面倒臭そうで、そんな態度を終始している。


「すみません、ヴィクレさん。いずれ機会があれば。それと……。」


 リンデンはヴィクレに耳打ちをし、第2階層での自分の出来事を引き合いに出し、レアの対処に気を引き締めるよう忠告する。


 その話を聞いて、「ありがとう」とリンデンの手を握るヴィクレ。そして、これ以上の長居は無用と『鉄の絆』を率いて彼は帰っていく。


 ✿


「すみません。お待たせしてしまいました。チーム『大空グラン・シエル』リーダーとして、迷宮探索家フローターチームの同盟を改めてお願いします。」


 迷いなく『エスパーダ』のネビアスを見るリンデン。


― ☘

「ありがとうな。因みに、うちの同盟は「もう1チーム」あるんだが、またの機会に紹介させて貰う。気のいい奴らだ、気に入ったら組んでやってくれ。」


「はい! これから、よろしくお願いします。」


 お互いの導きの妖精(ナビゲーター)に手を繋がせ、同盟の可否に答える『ふたりのリーダー』を優しく見守るザコイチ。


― ☘

 こうして、チーム『大空グラン・シエル』とチーム『エスパーダ』の同盟は締結され、リンデン初の『階層ボス』戦は幕を閉じたのであった。



 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿


「ふぇ? 何か『もも』が言ってる。『ど・う・め・い?』」


― ☘

 第10階層への『マザーの子』までの道中にある他の「ラミアの巣」を壊滅させた彼女達。その直後に、突然の『もも』から伝えられるお知らせで、エヴァがびっくりする。


「は? 誰これ。『エスパーダ』?」


 この場にいない仲間は、リンデンだけである。

 「あいつ勝手に!」と、フリージアの額に『激オコマーク』が浮かぶ。


「あらぁ? D級迷宮探索家フローターチームと同盟を結んだようですわねぇ。やりますわねぇ、彼。」


「ふ~ん同盟かぁ。よく分からないけど、リンデンが決めたなら間違いないよね!」


 エヴァとマーガレットの、リンデンを信じて褒めるようなその言葉に、フリージアのイライラは少しだけ緩和される。


― ☘

 それでも、何故か悔しいフリージアは、(ふん! 明日問い詰めてやるんだから!)と、小さな声でそう呟き、第10階層の『マザーの子』に向かうのであった。

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