第62話 閑話 星に願いを(下)☆彡
『マルガリーテス家』別館の中では小さな部屋であったが、ゲスト含めて7名のパーティーなので丁度よい大きさだったであろう。
パーティーは立食形式。
会場としては比較的小さな部屋だったのだが、それが話に輪をかける。
ハイヒールを脱ぎ捨てて談笑している親達の思いがけないやり取りも、エヴァ達の力が抜ける要因となり、皆は何気ない時間をわいわいと楽しんでいた。
3人のそのわいわいの輪は直ぐに4人になり、7人となる。
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―――話のネタはエヴァ達の2階層の物語。
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最初は、この話をしていいものか迷ったエヴァ達であったが、どうやらアリアもスパティ夫人も『こちら側』のようで、問題がなさそうだ。
それが一体何を意味するのか……本当は興味があるエヴァなのだけれど、この場でその情報を母親3人がしないということは、きっと『そういうこと』なのだろう。
ルイゼの性格を良く知っているエヴァである。
いずれその時が来れば話してくれることを知っていて、
知るのは今ではないと思い、その好奇心を頭の中でぽいっと捨てる。
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話は進み『ルートオブセブンスフロート』についての話となると、既に話を知っているルイゼは笑っていたが、アリアとスパティ夫人の眉が徐々に引きつっていく。
「へぇ~。まだあの猫生きていたんだー。へぇ~へぇ~。」
「あらあら。粒猫の癖に相変わらず偉そうですね。あ、粒と言ったのは、あの黒猫の名前が『ツブリーナ』と言うからなのですよ?! ふざけた名前よねぇ!」
「へぇ! あの子の名前、ツブちゃんなんだぁ~。」
「あいつ、ルイゼさんのことも知ってた。御師様達も知り合いだったんだね。」
「「まぁいろいろとね!!!」」
エヴァとフリージアの反応に対して、ふたりは更に何かを思い出したかのように苦虫を噛んだような顔をして口を揃える。
「わぁ……これ因縁深そう」と、それ以上を聞かないフリージアも、エヴァと同じく「知るのは今じゃない」と思っているのであろうか。
一方マーガレットは、母スパティと扇を口元に当てながら、何やらぼそぼそと話しているようであったが、エヴァもフリージアも互いの母親からの質問攻めで、それに気が付くことはなかった。
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……最も、その『気が付かない』こそがスパティの『ホワイトキング』と呼ばれた所以でもあるのだけれど。
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そして話は、親達の迷宮探索家時代に移る。
彼女達は、昔話を少しだけしてくれた。
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第10階層の街で起こした中央広場半壊事件。
中層階以上にいる「ユニコーン」が騎獣に出来る話。
世界樹の『迷宮』の中にある不思議なダンジョンの話。
そして、階層主について。
この中で彼女達が最も食いついた話が『ユニコーン』についてであった。
(飛べる!? 飛べるの? 『もも』達と飛べる!)
溢れる思いが止まらないエヴァ達は、目を輝かせ続ける。
全ては教えてくれない3人の母とサーシャではあったが、それはルイゼが娼館のお姐さん達に敷いたかん口令と同じで、エヴァ達の冒険心を削がないようにした配慮。
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そんな母親達の武勇伝。
多くは語られないけれど、実際昔話は喧嘩ばかりだったのだけれど。
戦友なのだろう――その見えない絆は……3人の少女達には憧れで。
『ブルースター』の花の下、こんな関係を結成したチーム「グラン・シエル」で築きたいと思う。
それは、図らずしもの母達からの贈り物で、チームの信頼は深まっていく。
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時刻は夕暮れ時を遥かに超えており、窓の外は夕闇と化している。
少しだけこの会では、見守り手として距離を保っていたサーシャはそれに気が付き、先程スパティが言っていた『星祭り』のことを思い出す。
「皆さん、星が綺麗な時間になってきましたよ!」
そのサーシャの言葉と『ブルースター』の花の下で覚えた憧れとが、エヴァ達の脳裏に願いをもたらす。
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その思いと合わせるかのように、マーガレットがエヴァとフリージアにちょっとしたプレゼントを打ち明ける。
「うそー! この短期間でそんなの作ってくれたの?」
「み……見たい。絶対。」
それを聞いた、エヴァとフリージアのテンションはクライマックスで、我慢ができずに導きの妖精を呼ぶ。
『えばーえばー』と抱き着く『もも』に、それを伝えるエヴァ。
ふぁ!と喜びいっぱいの笑顔を浮かべて飛び回る『もも』。
マーガレットの『カナリア』も、フリージアの『スノウ・ホワイト』も
『もも』と一緒に飛び回る。
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「お嬢様。お召替えが完了致しました。」
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マーガレットの傍使いと一緒に、別室から現れたのは……小さな小さなカクテルドレスに身を包む、『もも』『カナリア』『スノウ・ホワイト』―――。
「うわあああ! 『もも』達のドレス姿可愛い~~!!!」
「天使……。マーガレットグッジョブ!」
「やばいですわ! 激ヤバですわああ! わたくし自画自賛です!」
ふんわりと輝きながら、各々の主人の肩に止まる導きの妖精達。
ドレスに不慣れな2人にも、ドレスが普段着のマーガレットにも、それらは舞い降りた天使達で、肩に乗った天使達は、本日の主役の少女達をお姫様へと昇華させる。
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その導きの妖精を見て、特にルイゼは『カナリア』を、スパティは『スノウ・ホワイト』を見て、「ほほう」と小さく呟いたことをアリアは聞き逃さない。
しかしそれは、アリアも別目線でエヴァに対して思ったところでもあり、この巡り合わせも『世界樹の意思』なのかと苦笑いをする。
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これで準備は整ったかな?
と参加者7名、妖精3名は、少し肌寒いと感じながらもバルコニーに出る。
———そして、見上げる満点の星空。
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見つける『願い星』。
エヴァの願いは、父親との再会。
きっと、迷宮探索家になった目的と思いはそれぞれだ。
でも……。
私達の今後がどうなるかなんて分からないけれど
願わくば
ずっとこのチームで居られるよう
この大好きな親友達との信頼を永遠としたい―――。
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願い届けと祈る3つの色彩と、願いを受け輝きを増す『願い星』。
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その傍ら、願いを叶えてあげたいと思う3つの母の思い。
今のこの母子組の光景と関係が、生涯続けと見守り祈る1人の担当者。
そして、遠く第10階層で、途切れ途切れの会話を頼りに迷い戸惑う『男性陣』も、ひっそりと星に見立てたヒトデの化石に願いを込めて『星祭り』の夜は、満天の星空の下、ゆっくりと更けていく。
それぞれの思いを乗せ 今日という日に
星に願いを―――。
―☘閑話 星に願いを:Fin ✿
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✿ 読者の皆様
これにて ✿ 閑話 星に願いを ✿はおしまいです♪
お読みいただきまして、ありがとう☆ございます。
如何でしたでしょうか? 少し長くなりましたが、3話に分けて星祭りを七夕に見立てたお話にしてみました。今、お盆終わりですが(しろめ




