第60話 閑話 星に願いを(上)☆彡
無事に新人を卒業したエヴァ達。そのお祝いと、夢への願いを込めた閑話です。
と、言いながら主要人物や次の章につながるお話ですので、楽しんでいただければ幸いです(^^♪
「エヴァ様、お迎えに上がりました。」
色街に不釣り合いな2頭の白馬と黒光りする漆喰で塗られた馬車が、娼館『夜の蝶』の前に止まっている。
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その馬車の屋根破風には、丸に沢山の花びら、その周りに剣が2本連なる『マルガリーテス家』の紋章が銀色に光る。
そして、タキシードに蝶ネクタイ。立派なあごひげに白髪のオールバック。
見た目100点満点の執事がエヴァを迎えに娼館の門を叩く。
「エヴァー迎えが来たぜ?」
『双舞子』のカイトがニヤニヤしながら、エヴァを急かす。
「そ……そんなこと言ったってー。歩き辛いんだもん!」
少し赤色が濃い桃色のカクテルドレスに身を包み、慣れないハイヒールでヨチヨチ歩くエヴァを見ながら、大爆笑の姐さん達。
「ほら! 背筋を伸ばして胸を張る! 行くよ!」
ワインレッドのドレスに、大粒パールのネックレス。
ルビー色のルージュが際立つ色白い肌に、金色の髪……エルフのルイゼが、色気のオーラに身を包みエヴァと共に馬車に乗る。
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今日は、チーム『大空』結成とエヴァ達の新人卒業のパーティを『マルガリーテス家』主催で取り行われる日。
そこにお呼ばれしているエヴァと伝説の元Sランク迷宮探索家『風読み』のルイゼ。
マーカスと呼ばれた、老紳士にエスコートされ『マルガリーテス家』別館に馬車が到着する。
「お連れ致しました、お嬢様。」
丁寧にお辞儀をするマーカスに、右手で合図を送るひまわりのように眩しい黄色のドレスにブロンドの髪の本日の主賓マーガレットが、吹き抜けのロビーにある大階段から上品に降りてくる。
「ルイゼさん、それにエヴァさん。ようこそいらっしゃいました。少し堅苦しいパーティで御座いますが、型式だけです。肩の力を抜いて楽しんで下さいませ。」
そう言いながらも、足を浅くクロスさせドレスの裾を摘み深くお辞儀する彼女にエヴァは「あはは」と苦笑いをする。
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エヴァ達が館に着いてから30分程度過ぎたとき。
再び外で馬車が止まる音がする。
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マーガレットが出迎えに行き、会場に通されたのは、白と薄紫のドレスに身を包み、ツインテールに紫陽花色のリボンを付けたフリージア。
そして、そのフリージアを大事そうに手を引いてエスコートする白色のスーツに身を包んだ銀髪の女性―――。
「アリアウルフ……。」
ルイゼがポツリと彼女の名前を口にする。
その名前に緊張感が走る館内。
紳士な態度を終始崩さなかったマーカスもステッキに仕込んだ仕込み刀を何時でも抜けるように柄を持つ。
「ルイゼ? 風読みかっ!」
アリアの放ったその名前に、更に緊張感が増す館内。
そんな空気を全く読まないように、ルイゼがアリアに言う。
「久しぶりだね! 元気に殺ってるか?」
「ええ! あなたも変わらない。」
歩み寄りお互いの手を握るふたり。
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「そうか。フリージアのお嬢ちゃんは、アリアウルフの子か! どうりで。」
「あの時……の子よ!? 可愛く育ったでしょう♪」
「そうか……。因果かねぇ。お互いの『娘』がチームを結成するんだからねぇ。」
「ふふ。そうね。」
お互いの自慢の『娘』を見て微笑みながらテーブルにあるシャンパンを手にするふたり―――。
積もる話があるようで、奥のソファーに掛ける。
その雰囲気に飲まれていた会場も、雪解けのように和みだす。
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「まさか、あの『風読み』と『アリアウルフ』がいらっしゃるとは……母は肝を冷やしましたよ。」
マーガレットと同じブロンドの髪をした貴婦人が、エヴァ達の後ろからマーガレットに声をかける。
「まぁ、お母さま! 来て頂けたのですね。ご紹介しますわ。こちらが、わたくしのチーム『大空』のメンバー『特S級』を卒業した仲間。エヴァさんとフリージアさんですわ!」
嬉しそうに……本当に誇らしげにふたりを紹介するマーガレット。
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王家に連なる名家『マルガリーテス家』の貴婦人、マーガレットの母である。
エヴァとフリージアは、先程マーガレットが見せたお辞儀を真似してドレスを摘まみ頭をさげ……れない。
「う……うわぁー。」
「あ、あぶあぶ。」
バランスを崩しふらふらふらふら。
挙句の果てには、ステンと転び、ふたりはスカートの中の白とピンクのインナーをご披露することになる大失態。
「あら~。あらあらあらあら~! オホホホ。お嬢さん方、ご無理しなくても結構ですわよ。本日は貴女方の記念日を祝う宴。そうね……えい!」
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そう言うと、ハイヒールを脱ぎ捨てるマルガリーテス婦人。
「お……奥様!!!」
慌てて靴を拾うマーカスを横目に同じように靴を脱ぎ捨てるマーガレット。
それを呆けた顔で見ていたエヴァとフリージアも、お互い顔を見合わせ「えいっ」とハイヒールを宙に投げる。
「あはははー。マーガレットのお母さん面白いー。」
「この無意味な靴を履かなくていいのは助かる。」
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そんなやり取りもあって、前代未聞の裸足で行う貴族の館の卒業パーティ。
気が付くとルイゼもアリアも裸足になっていて、婦人と親しそうにグラスを交わしているスリーピース。
そんな『親』達が、何を話しているのかなんて興味もなくて、こちらもウエルカムドリンクのいちご水でグラスを鳴らす『大空3人娘』。
『迷宮』ギルドの業務を終え、遅れて登場したサーシャの姿が見えたところで、バイオリン3重奏の軽快な音色が流れ出し、新しい門出の祝福と大成の願いが込められたパーティは、和やかな雰囲気のもと開演をする。




