表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第3章 ✿月明かりの妖精
49/132

第49話 月明かりの『花』妖精

― ☘ 

 皆が帰った後、エヴァの心には2つの感情が残る。

 ひとつは、迷宮探索家フローターとして、自分でもびっくりするくらいのわくわくな大冒険が待っていて、それを楽しんだこと。


 大好きな……今日一日でとっても大好きになった、マーガレットとフリージアと一緒に、姐さん達をもびっくりさせた『ルートオブセブンスフロート』に行ってきた!


 『もも』が私を大好きと言ってくれた。お話ができるようになった!

 楽しかった。大冒険だった! 本当に夢のような一日だった!!!


 でも……。


― ☘

 一方で、人の悪意…『業』から垣間見られた恐怖。


 リンデンを『生贄』にして、高価な……レアアイテムを持ち去った彼の『仲間』が許せなかったし、彼を初めて見たときのスライムと戦っている裏切られ怯えた顔、自業自得という喪失感の顔が忘れられない。


 帰ると待っていた、その3人の死。血糊のついたローブ。

 それを見て、知って、壊れてしまったときのリンデンのあの顔……。


 そんな惨劇を、悪意を持って誘発した人物がいたという。

 そして、恐らくはその悪意に対してだろう、ルイゼが一瞬だけ『感情を隠し切れなかった』ときのあの顔。


― ☘

 少なからず、『マザーの子』との会話や『もも』達への命名など、それらの発端に、自分が影響を与えてしまったのかもしれないと聞いて……エヴァの胸はちくちく痛い。


 お父さんも……人のそんな悪意に負けてしまったんじゃないかな? 

 そう考えてしまう自分もいて……それを考えるとエヴァは息が苦しくなる。



 ✿

 

「フィオレ姐さんが言っていた通りだよね。サーシャさんが教えてくれた迷宮探索家フローターの、人間の悪意……怖いと感じたよ。なんか悲しいね『もも』。」


 酒場の上、屋上になっている屋外テラスで、エヴァは『もも』に呟く―――。


 ◇

― ☘

 テラスに出る観音開きの扉の陰に、月夜の光に隠れるように潜むフィオレは、そのエヴァの呟きを聞いて やっぱりな ……と心の中で思う。


迷宮探索家フローター初日で、あれだけのことがあったんだ。冒険の喜び、感動だけではなく、それ以上の悲しみや恐怖も感じたよね……。特にこうゆう悪意には、エヴァは耐性がないものね……。)


 フィオレが、彼女の話を聞いて慰めてやるかと、外に出ようとしたとき―――。


― ☘

 エヴァの導きの妖精(ナビゲーター)の桃色の光がエヴァの周りを くるくる と回りだし、(フィオレの気配に気が付いていたのであろうか……)フィオレに目線を向け "パチッ" と片目を閉じ、ウインクで『大丈夫だよ』と合図をしてくる。


 フィオレはそれに驚くも、再び扉の陰に潜みその光景を見守ることにする。



 ✿


 『もも』の桃色の光は……エヴァに残光を残し空へ昇っていく。


「もも?」


 空を昇る自分の半身が、ふたつの月に重なり、月明かりに照らされ魅せるその姿に彼女が魅了されたそのとき―――。

 エヴァの周りに残った光が彼女の体に吸い込まれ、彼女は薄っすらとした桃色の光沢を纏う。


― ☘

 そして、その光は、彼女の体から不安とともに溢れ出し、小さなテーブルに小さな小さな『お花畑』を産み落とす。


 ガーベラ、コスモス、夜の月見草、そして、マーガレットにフリージア。

 白からピンクの花色が、ふたつの月から注ぎ返されたその幻想光を浴び、ほのかに香り立つ花の園。



―――パタパタパタ

 お花畑に、ちょこんと止まった『もも』がエヴァを見て云う。



『えばぁ にんげん こわい でも まあがれと ふりじあ あったかいー』

「もも……。」

『だか ら ね おそれない で えばぁ そのまま だいじぶー ね!』


― ☘

 花の妖精は、月明りを背に優しく神秘的に、エヴァへ微笑む―――。



 胸に刺さる『この棘』は、きっとやっぱり、無くなりはしないのだろうけど。

 それを知っていればそれでいいと、そう彼女は思えて……。


 月光を浴びて、花の香りに友人の温かみを感じて、

 彼女は、何時ものように、思いっきり白い歯を出し、導きの妖精に笑顔を返す。




 ✿ ✿ ✿


「ありがとう。もも。」

 しばらくの間、その光景と夜風とひとつとなっていたエヴァが、お礼の言葉を口にすると花園は霧へと消えていく。


 『もも』は、《《テラスの扉》》に向けて、にっこりと笑う。


 エヴァの安心を確認するかのようにその『影』は、瞬刻その場に留まり、ほのかな優しい花香を残して、小夜の闇に去って往った―――。


 自室に戻ったエヴァは、月の光に導かれ、ゆっくりと瞼を落とす。

 深い眠りの中で、エヴァは、長く、沢山の出来事のあった『最初』の冒険の一日を終えていく。




―☘第3章:Fin ✿

===============☘

✿ 読者の皆様

これにて ✿ 第3章:月明かりの妖精 ✿はおしまいです♪

お読みいただきまして、ありがとう☆ございます。

第2章を受けての後始末のようなお話でしたが、如何でしたでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ