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『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第3章 ✿月明かりの妖精
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第48話 『因果の先』✿会の終わり(おまけ)カイトとムフフ

「予想外だねぇ……まったく。でもまぁ、伝えたかったのはこの魔核も当然神秘の涙(クオーツ)で、ボウズの仲間は《《これを持っていた》》から『きゃっぴー』に狙われた。そして、これを食った『きゃっぴー』がメタモルフォーゼして繭の中で彼らは養分となり死んだ。」


「だから……食われた。神秘の涙(クオーツ)というのはやはり……。」


「だから彼らが食われたのは自業自得、因果応報ってとこさね。それに……。」


― ☘ 

 ルイゼは敢えて神秘の涙(クオーツ)のことには触れず、その『因果の先』についてサーシャに答えるよう顔を向ける。


 ✿


― ☘ 

「はい。形見のローブから『幻惑貝の魔香水』の原液が見つかったそうです。恐らくは何者かが、彼らが逃げるのを阻止して戦わせた形跡があります。」


 サーシャは立場上、悲しくも信じがたい事実を噛みしめながら、彼女達に……エヴァに知ってもらうために、伝える。



「そういうことだ。なのでボウズ、お前が原因を作ったのは確かだが、奴らを殺し、この状況を作り出したのは、多分お前じゃない。」


「いったい誰が……そんな……新人を相手に……。」

 憎しみと罪悪感の表情を浮かべ、リンデンが蹲る。


― ☘ 

「君のその豆腐メンタルは何とかしないとね。これが、迷宮探索家フローターの人の『悪意』ってやつ。特にエヴァ、あのとき、試験のときに、サーシャから言われたことは、まさに「これ」。分かる?」


 ルイゼに任せて黙っていたフィオレが、リンデンとエヴァの顔を見て言う。


「その犯人は、多分見つからない。『心当たり』が無くはないが……余りにも偶然の要素が強すぎる。それに、そこに踏み入るには、お前達にはまだ早いし、弱すぎる。そして、私がお前達に話してやれるのは、ここまでだ。」


 ルイゼのその言葉で、娼館での『秘密の部屋』会議は終わりを告げる。


― ☘ 

 エヴァは、最後のフィオレの言葉に、人の悪意の実感に、胸を締め付けられるようなチクチクとした何かが痛かった。



 ✿ ❀ ✿


 ルイゼは、話の後にリンデンを呼び止める。

 そこでの話は、先に話の合った、彼が何故『レッドスライム』のことを知っているのかについてであった。


― ☘ 

 過去に数度あった第2階層の悲劇―――。

 その内のひとつに、彼の祖父が関係していたこと等を交えて、しっかっりと話をしたようで、


「そうか、色々言われるかもしれないけど、あんたも頑張んな。それでエヴァちゃん達を頼んだよ。」

 と、ルイゼは優しく彼の頭を撫でる。 


 ◇


 一方、エヴァがカイトに笑いのネタにされている頃、フローラはマーガレットに飲み物をそっと出す。

 少しの間、談笑を楽しんだ2人であったが、フローラは席を立ち酒場に向かう。


 暫くして、戻ってきたフローラがマーガレットに耳打ちをすると、マーガレットは


「今日はいろいろありましたが、楽しかったですわ。そろそろ、お暇をさせて頂きますので、明日の時間を教えて頂けますか?」


 とサーシャに聞く。

 サーシャは、概ねの事態を把握しているため、3人に明日の朝一番にギルドホールに集合と伝える。


― ☘ 

「エヴァさん、フリージアさん。いろいろとお話すべきことがございますが、今日のところは、すみません。また明日! ですわ。」


「あ、お迎えが来たんだね? 分かったーまた明日!」


 エヴァには、何となくマーガレットが高貴な人だとは分かっていたし、フローラ姐さんの気配りが、お客様に見せるそれと同じであったことから、笑顔でマーガレットを見送った。


 ◇

― ☘ 

 サーシャは、結局自分は何も出来なかったなと落ち込んでいた。

 特に、この娼館では言えないことも多く、口を瞑るしかなかった。


 それは、フリージアにすら透けて見えている。


「サーシャさん。後でギルドで聞きたいことある。それに、こいつとも話をするんでしょ? だったら一緒に世界樹へ帰っていい?」


 正直、聞きたいことなんてないのだけれど、それは、フリージアなりの不器用な気遣い方で、サーシャはそれが分かり「うふふ」と嬉しそうに、リンデンとフリージアにギルドに戻ろうと声をかける。



 ✿ ❀ ✿

 

 エヴァは、彼女達を裏口まで、談笑を交えながら送る。

 彼女達の去り際、やっぱり、少しだけ……言おうか迷ったのだけれど、やっぱり……心配だったので、エヴァはリンデンに声を掛ける。


「リンデン、大丈夫? 乗り越えられる?」


 その言葉が嬉しかったリンデンは、ただ頷き笑顔を返す。


「サーシャさんが何とかする。私達はこいつが無事新人卒業をすることを祈って待てばいい。ね? サーシャさん。」


― ☘ 

「うん。 ザコイチさんも言っていたけれど、これが、迷宮探索家フローターなの。だから、問題にはならない。まぁ……家族がどう捉えるかとか心配事はあるけれど、考えても仕方ないし、ギルド的には『お互い様』と考えるからそこは守るよ。」


「うん。わかった。」

 エヴァは、そのサーシャの顔を見てお願いします、そんな顔でそう答える。


― ☘ 

 その姿を少しだけ離れたところで、フィオレは少し心配した顔で目見守っていた。


 ✿


「で? そのテンプレのおっさんは?」

 フリージアがエヴァに聞く。


「あー。多分、カイト姐さんの『お客さん』になっているんじゃないかな?」


「うわっ……。」

「まぁ……!!」

 

 エヴァが当たり前のように答えたその言葉に、フリージアは心底嫌そうな顔をして、サーシャは頬を染めてもじもじするのであった。



 ❀✿❀ お ま け ❀✿❀


「カイト、2割引きで……。その……今日頼めるか?」

「ん? いいぜ。2割引きでこれだけど、いけるのか?」

「え? え? え? こんなに?」

「言ったでしょ? カイトちゃん高いって。私はもっと高いけど。」

「そんなに……ねぇよ。」

「ちっ、仕方ねぇなぁー。」


 カイトはザコイチの顔を両手で掴み、唇を重ねる。

 彼の唇は、彼女の舌で開かれ、それが激しく絡んでくる。


「うお……ぉ…ぉぉ…。」


 ちゅぱーと音を立てて離れる彼女の唇が残した先には、目は虚ろ、だらしなく開いた口元、広がった鼻のだらしない顔。


「お前も頑張て迷宮行ってこい。で、『つ・づ・き』……しような。」

 耳元で、小さく優しく、甘えるような声で囁かれる ザコイチ。


「オ……オレ メイキュウ ガ…ガ……ガンバル!!!」




「ホイ、いっちょ上がり! 贔屓にな!」

「あらぁ。カイトちゃんのそれ……強烈だものねぇ。落ちちゃったわよねぇ。ふふふ。」


 『双舞子ダブルダッチ』のその正直な声は、彼にはもう届かない。

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