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『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第3章 ✿月明かりの妖精
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第46話 莢蒾(ガマズミ)の目覚め

― ☘ 

「覚悟はしたね? 正直に言うとここから先は、少しばかり伏魔殿。パンドラのなんちゃらってやつでもある。特に、『パリス・デイジー』。私にとっては、それは何の抑制にもならないよ?」


 ルイゼは、マーガレットを睨むような視線を送り告げる。



「あら。わたくしは、ただの新人迷宮探索家フローターでございますわ。一応新人の中では、『特S級』ですけれど、それもわたくしの実力! それ以上があるならば……」


 そして、エヴァとマーガレットを見て、美しい目と艶やかなピンクの唇を細めにこり微笑み、ルイゼの方を改めて見る。


― ☘ 

「それ以上があるならば、わたくしは、ここにいるエヴァさんと、フリージアさん。そして、そこでガタガタ震えている情けない殿方と、新人を卒業したら『チームを組む』もの。それだけですわ!」



 その瞳、その言葉の響き。

 そして、凛とした態度を見て、ルイゼは、その覚悟は《《らしいな》》と思う。


― ☘ 

「その言は良しだね! あんたもこっち側と判断するよ。まぁ……後で自分で説明しろとまでは言わないけれど、この子達に伝えることを作ってしまったね。すまなかった。」


「いえ。伝えるタイミングの話だけですし、わたくしは、信じておりますので。」

 少し俯きながら目を閉じてそう言うマーガレットであったが、口元は緩んでいた。



 ✿


 さてと、とルイゼは、リンデンを見る。


 先程のエヴァ達からの第2階層の顛末を聞く限り、リンデンは凡人だ。

 ただ、あの黒猫と建設的な話ができる知識がある。

 こいつのメンタル以外の人となりは……恐らくこの子達、エヴァちゃんも認めて要るんだろうねぇ。

 

―――さてと、『目を覚まして』やるか。

 少し待っていなと、部屋を出るルイゼ。


― ☘ 

 それを見て、フィオレがエヴァに耳打ちをする。

 それを聞いて、フィオレに抱き着き『花』ルーンのお守り(タリスマン)を握るエヴァ。


「おい。リンデン~聞こえてっか? おーい。」

 リンデンの目線を、カイトの開いた手が何度も通り過ぎるが、彼の目線はそれに反応していない。


「ふん。ザコイチ、母さんが戻って来たら多分こいつまた……任せていいか?」

「わかった。」 と、カイトの言葉に首を縦に振るザコイチ。


「待たせたね。」

 部屋の扉が開き、ルイゼが手に薬草の類を煎じたのであろう薬を持って帰ってくる。


― ☘ 

「エヴァ、この子をこっちに戻すよ? 用意は……できてるみたいだね。」

 ルイゼがフィオレをチラッと見てから、エヴァに言う。


「うん。」

 エヴァは、華のタリスマンに魔力を込める。



 ✿


 花よ舞え、わたしと共に理を解き開けッ―――

―― ✿『花』魔法 アキノキリンソウ


 リンデンの周りに、黄色い可愛らしい花が舞う。

 舞った花々が、彼の警戒心を無理やり高めていく。

 そして、散漫していた集中力が上がっていく。



「は……僕は…僕は……。僕は……。ぼくはあああああ。」


 リンデンは感覚を無理やりクリアにされ、考えないようにしていた感覚が蘇ってくる……。それにより居た堪れなく、叫びかけたその瞬間、ザコイチが「おい」と一言リンデンに声を掛ける。 そして……。


――― バチンッ!!!


 彼の頬を、強く、加減もせず、ただ気持ちを込めて叩く。

 一瞬何が起こったのか、目の瞳孔が開き固まるリンデン。


 それを抱きしめて言うザコイチ。


― ☘ 

「落ち着け、わかってる。『俺も同じ』だった。俺も仲間を殺した口だ。だからわかっている。『頭』では分かっているんだろ? さっきは錯乱だったが、今は大丈夫なんだろ? 俺は知っているんだ。落ち着け、そしてこれを飲め。」


 ルイゼがすっと出した薬をザコイチは受け取り、彼の顔を持ち上げ、《《目と目で》》会話……強いメッセージを送る。

 そして無理やり口を開け、薬と水を流し込こむ。


「サネブトナツメの種子とナツメの実を煎ったものに、ラベンダーの精油と、『きゃっぴー』の糸を煮詰めた出汁を混ぜて作った丸薬だ。落ち着いただろ?」


「うん……。」

― ☘ 

 子供のように頷く彼のその姿を見て、ザコイチがすがる様な目でエヴァを見る。


 わかったよ。

 エヴァは、リンデンの前で屈んで彼の頭を撫でる。


 ✿


痛いよね。

辛いよね。

あなたが悪い部分もあるのだけれど。

でもね、それでも、頑張ってたの見てたから――。

少しの間だけれど、一緒に、背中を、命を、預けた、仲間だから――。

だから、一緒に、背負わせて? みんなで、もう一回、行くんでしょ?



 彼女の嘘偽りのない言葉が、彼の三半規管をゆっくりと震わせる。

 言の葉の揺らぎに、彼の眼の黒い部分が少しづつ、少しづつ輝きが戻ってくる。



 ❀


― ☘ 

 気が付くとあたかい温もりが『6つ』。


 マーガレットとフリージアも

 そして、彼女達の導きの妖精(ナビゲーター)が、手を彼の頭に置いている。


 フリージアがひとこと小さく呟く……。



        ❀ 『うざい。早く目覚めろ。恰幅。』 ❀




――― ✿ 『花』魔法 アキノキリンソウの黄色の花が 彼の中心に 舞う



舞う 舞う 舞う 舞う 

舞い……そして、それは花吹雪となり 舞散る 踊る――



 涙が止まらないリンデン。

 うぐっうぐっと言葉を詰まらせる。

 だけれど、彼のその涙は、しっかりと現実に向き合った涙。

 きっとその涙はそれだけではなく……ほのかに "かほる" 何か。



 ✿


「ふん。これで大丈夫だな。それと、お前は何も罪には問われねぇんだ。安心しろ。悲しいけれど、迷宮探索家フローターの世界では……普通なんだ。」


― ☘ 

 その言葉とは、裏腹に、ザコイチの顔はリンデン以上にぐちゃぐちゃで……。

 泣き止むまで、それを見ていた一同の顔には、笑いと優しさの花が咲く。


― ☘ 

 そして、その笑顔の花の中には……『リンデンの花』が咲き誇る。

 彼の名前、リンデン・ビバーナムの名に恥じないように、彼女達と作るチームを『結びつける』ように、その笑顔は団結を深めた。

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