第40話 黒猫の『盟約』
✿ 何故『ルートオブセブンスフロート』に招待されたのか説明回となります。
細かい設定・説明が苦手な人は 「― ☘」 だけお読みください。
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ガジュマルの樹の柔らかい木の表皮で形成された階段。
4人と黒猫は、ゆっくりと第2階層に向かって、一歩また一歩と登っていく。
その道中、『ルートオブセブンスフロート』から第2階層にそろそろ帰れと黒猫から言われてから、フリージアは何か納得をしていない表情を浮かべていた。
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リンデンは、不満顔のフリージアが気になり、恐る恐る彼女に声をかける。
「あ……あの、フリージアさん。どうかなされました?」
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「ん? あぁ、私は頭良くないから。私達は何でここに居る? と考えていたんだけれど、やっぱり分からない。それでイラっとしている。」
「何でとは?」
「お前のせいで、第2階層で色々起きたのは分かった。」
「はい……。」
「スライム達をスノウ達が助けたかったのも知ってるし、偶然の結果「黄色いスライム」がマーガレットに懐いたのも羨ましいけど理解している。でも……。」
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「でも、何故『ルートオブセブンスフロート』なんて、殆どの人が知らない場所に今私達は来ているのか……かにょ?」
フリージアの苛立ちを同じく気にしていた(実は半分怯えて)黒猫が、口を挟む。
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「そう、その通り。」
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「理由は3つあるにょ。ひとつは『言えない』にょ。」
「言えないことですか。」
「そうにょ。僕が言えること、ひとつ目は『避難』にょ。それは帰れば分かることにょ。それだけのことが、ここに来てから第2階層で起こったにょ。その結果、ヘタレには辛い結果が待っているにょ。」
「先程、仰られていた……ことですね。」
「うむにょ。そして、最後ひとつは『盟約』にょ。」
「盟約?」
― ☘
「そうにょ。僕がここにいる理由は、エミリア=ロマーニエあの女と世界樹の盟約のように、世界樹と、『理』と、僕の盟約にょ。その盟約での約束事で、お前達を招いたにょ。最も世界樹の奴の意思が見え隠れしてたけどにょ。」
「エミリア=ロマーニエに『理』……さらりと凄いことを言いましたけど、いいのですか?」
「気にするなにょ。『言えないこと』が分からない以上、その情報なんて、所詮は絵空事にょ。」
恐らくは、第4代フェディニア国王女帝の名や、黒猫の精霊の盟約にある『理』という言葉が出てきたところで、『言えないこと』が分からなければ、彼の言う盟約の意味は理解出来ないということなのであろう。
「うーん。結局よく分からない。だけど、『何か意味があった』のは分かったからそれでいい。 後……ヘタレ。お前大変らしいから、頑張れ。」
「あ……はい……。」
◇
「そろそろ、第2階層に着きますわよ。」
マーガレットが階段の終わりを告げる。それは彼女たちの『遠足』の終わり。
納得のいかなかった顔のフリージアもすっきりとしており、リンデンもこの好奇心を刺激されるこの体験もそろそろ終焉なのだなと、名残惜しくも納得した顔をする。
最後の階段が見えたとき、トコトコトコと黒猫がマーガレットに近寄ってくる。
黒猫は、彼女の肩にぴょこりと飛び乗って、『イエロースライム』に顔を近づけ擦り付けて、さよならの挨拶をする。
そして、ぽつりと マーガレット にしか聞こえない声で彼女に言う。
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「こいつを頼んだにょ。そしてあまり《《おいた》》はダメだにょ。」
「あら、気が付いてらしたのですね。」
◇
ぴょんと肩から飛び降りた黒猫に、4人は頭を下げて別れの言葉を告げ、後数段のガジュマルの樹の階段を昇っていく。
黒猫は、彼女達を見送りながら、少しだけ寂しそうな顔をする。
何処となく「あいつ」と似ているエヴァを見ながら「ふんにょ」と小さく呟いた。




