表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第2章 ✿第2階層の異変~妖精達とスライムエリア
28/132

第28話 愚かなプライドと確かな知識

―――リンデン・ビバーナムは語りだす。


 新人迷宮探索家フローターにとって、一獲千金千載一遇のレアモンスターが現れたとき、彼は、既にパーティのお荷物として扱われていた。


 悔しかった。


 『レッドスライム』の価値を仲間に伝えたとき、彼は初めて同じ迷宮探索家フローターとして扱われたような気がした。


 きっとそれは、実際にそうであったのだろう。


 そのレアモンスターが、まさかの死骸化して彼らの元に残り、その価値を知っていて、それを、解体が出来る彼は、ちょっとしたヒーローのように扱われる。


 もし、そのまま死骸を『迷宮』ギルドに持ち帰り、解体室で適切に解体をしていれば、恐らくは、本当にそうなっていたのであろう―――。


 だが、彼は、直ぐにでもその解体シーンを、恐らくは仲間(……であろう彼ら)に見せ付けたかった。


 だからこそ、知り得ていた知識を忘れた振りをして、『第2階層のルビー』と言われる「レッドスライム」の死骸を、その場で解体し始めてしまった。



― ☘

 レッドスライムの死骸は第2階層で解体をしてはいけない。

 何故ならそれは、災いを招くから—――。



 という、先代からの知見を無視をして。


― ☘

 更に、彼はその解体を失敗する。

 最初の一太刀目で、美しく貴重な魔核を傷つけ、その外皮は溶け、ゼリー状の極上のワインのような血肉が、地面にこぼれ落ちる。 


 こぼれ落ちた血肉は、ゆっくりと迷宮の土に馴染んでいき、そして、そのワインレッドに染まる土壌は、ほんのりとした『甘い香り』を残し、消滅するように泡と化し消えていった。


― ☘

―――そこから周りのスライム達の様子がおかしくなっていく。


 スライム達は動きを止め個体のように固まったと思ったら、急に目が赤く染まり出し、先程とはまるで別の生き物のように、俊敏で、獰猛な獣のように、彼らパーティに向かって一斉に襲いだしたのであった。



✿ ❀ ✿


「うんうん。それで、仲間の皆は、君をスライムの集っている場所に放り出して、君を置いて逃げたんだね?」


「はい。そこからは、必死に戦って数を減らしたのですが、ポーションも尽きてしまい、もうダメかと思ったところで、あなた達に助けられました。」


「そっかそっか。怖かったね、大変だったね。」

 エヴァは、優しく慈悲深く彼を慰めながら、ひとつだけ尋ねる。


「それで、君が解体を失敗した赤いスライムは『何か』残っているの?」


― ☘

「魔核は、僕のミスで傷つけてしまいましたが、それでも価値はあります。ですが……それも彼らに取られてしまい、今あるのはそこに落ちている外殻だけです。」


 リンデンは、赤み掛かったガラス玉の欠片のようになった、レッドスライムの『外殻』を指刺す。


 ✿


「ふーん。とどのつまり、お前の傲慢が招いた事態ってことだね。」


 フリージアが、何処からとなく現れるスライムを1匹、また1匹と処理しながら、リンデンに言う。


「その通りです……。」

 リンデンは、よわよわしく小さな声で答え、俯く。


「うん、そうだね。でも、リンデンありがとう。何があったのかは分かったよ。」

 エヴァは、レッドスライムの『外殻』を拾い上げ、それを見ながらリンデンにお礼を言う。


「わたくしからも、宜しいでしょうか?」

 マーガレットが、リンゼンに訪ねる。


「は……い。」


「あなたは、このスライムを解体してはいけないと、知っていらしたようですが、解体することで、何が起きるのかまでは知らなかったのですか?」


「すみません……。第2階層での解体をすると災いが起きるとしか……。第2階層ですので、大したことは起こらないだろうと甘く見ていました。」


「そうですか。しかし……それを知っていらしたのなら、解体はすべきではありませんでしたわね。」


「すみません……。」


「まぁ、よろしいですわ。それより、こちらに大量の『きゃっぴー』が向かっていますが、心当たりはありますの?」


― ☘

「付け加えると、影響を受けているのは『スライム』と『きゃっぴー』だけ。」


 マーガレットとフリージアは、彼が行った『自分勝手な振る舞い』に怒りを確かに覚えたのだが、何んとなくではあるが、この事態が起こった原因を把握したことで、次のことに切り替えている。


 恐らくはやってくるであろう、大勢の『きゃっぴー』を、どのように対処するか……彼女たちが今、興味があるのはそれとなっていた。



 ◇

― ☘

「あ、それなら……恐らくですが。スライムはきゃっぴーの餌なのです。」

「へぇ。」


「但し、きゃっぴーが食べるスライムは、自然死したスライムのみ。理由はわかりませんが、そうなのだそうです。」

「……それで?」


「ずっと思っていたのですが、「ここだけ」不自然な『スライムエリア』があって、それを守るように『きゃっぴー』の縄張りが点在しています。」


「です……わね。」


― ☘

「それは、スライムは自分たちが死んだら食されることを条件に、守って貰っている、言わば共存関係が成立しているように見受けられます。」


 その、リンゼンの考察にふたりは彼への評価を改める。


 確かに、この器の小さな馬鹿なプライドが、この事態を招いてたのであろうが、彼の持つ洞察力と考察力、そして知識は評価に値すると思いだす。


― ☘

 そして何より、自分たちが楽しみながら見つけた『スライムエリア』の不自然さを彼も同じくして感じ取っていたことが、彼への親近感を生んでいた。


「続きが気になる!」「面白そう♪」など思われましたら、下記にあるブックマーク登録・レビュー・評価(広告の下にある☆☆☆☆☆→★★★★★)をいただけると、嬉しいです♪


今後の執筆活動の励みになりますし、この作品の展開を考える参考にもなりますので、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ