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『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第1章 ✿特S級新人として
22/132

第22話 『マザーの子』

― ☘

 エヴァのノートには、簡易的な地図とそこに現れるモンスターの名前がメモされている。

 また、妖精ちゃんMAPに方角が示される「コンパス機能」があることを発見出来たことは大きかった。


 その2つを組み合わせ、向かうべき方角はここから「北西」。

 エヴァたち3人は、そちらに向かって進んでいく。


 ✿


「この辺りまで来ると、「うりぼん」や「スライム」は出て来なくなったねー。」

 エヴァが、地図と周辺を交互に見ながら言う。


「確かにそうでございますわね。芋虫の『きゃっぴー』ばかりが目立ってきましたわね。と、言っている傍からお出でなさいましたわ。」

 マーガレットが、間髪入れずに矢を射る。


「うん。なかなか面倒くさいよね、この芋虫。」

 口から吐く粘着糸が絡みつくのが気持ち悪いし、移動が阻害されるため、比較的敏捷重視の3人には厄介である。


― ☘

 とはいえ、彼女たちには糸を避けることは容易く、そこはやはり「特S級」新人なのであろう。

 彼女たちが、その糸の面倒な能力を目の当たりにしたのは、他の新人迷宮探索家フローターが、それを受け絡まっているところを助けたからに他ならない。


 その迷宮探索家フローター達曰く、このモンスターが落とす糸は、王都アウロの低階級の住民の衣服事情には切っても切れないものらしく、通常の新人達では、必須な指定クエストなのだそうだ。



「それに―――。」

 マーガレットが、周りの迷宮探索家フローター達を見て確証を得る。


― ☘

「それに皆さん、あそこの丘を目指していますわね。」

「どうやら。」

「第3層に辿り着けそうだね!」


―――パチン!

 お互いが手を挙げて、てのひらを叩き合う。


 ✿


 丘を登りきる。そこに誇らしげに鎮座する一本の木。

 これが、『マザーの子(DMT)』。―――第3階層に繋がる扉。


 同じように、ここまで来た迷宮探索家フローターは5組程だろうか。


「ふう。第2階層だからと言って舐めてたよ。」

「見ろよこの剣。最後の芋虫でべとべとだよ。」

導きの妖精(ナビゲーター)に、階層MAP《《覚えさせて》》来たのに、時間掛っちまったよな。」


 聞こえてくる声から、3人は「えへへ」と苦笑いをするも、未知を踏破した喜びが勝り、サーシャに感謝する。


「さぁ♪ わたくし達の順番ですわよ!」


 並んで、『マザーの子(第3階層への扉)』に触れる順番を待っていたのだが、前のパーティが消えて、遂にエヴァ達の順となる。


「では、行きますわよ~!」

「「「せ~の~!」」」


― ☘ 

 第2階層北東の丘にある『マザーの子(第3階層への扉)』から3人の姿が光と共に消える。



 

❀ ❀ ❀


 エヴァが、『マザーの子』にに触れる刹那。


『あなたが『花』魔法の子供ね。お母さま(マザー)から、聞いていますよ。』

 優しいあの世界樹の意思こえが聞こえてくる。


『はい! あれ?声が一緒なのに、お母さま(マザー)から?』


 エヴァには、第1階層で聞いたマザーツリーの声も、今聞いている第2階層の『マザーの子』の声も『同じ』に聞こえる。


『あらあら。本当に私達の「真なる声」が聞こえて、会話が出来るようね。』

『うん。』


― ☘

『私達『マザーの子』も、お母さま(マザー)も、全て同じ世界樹の意思。各階層毎の『マザーの子』のその意思は、独立して宿っているのだけれど、皆繋がっていて同じ意思。だから、声は皆同じなのです。』


『おお! そうなんですねー。なら、さっきぶり!』


 マザーツリーと同じように、『マザーの子(彼女)』も、エヴァとの会話を楽しんでいるようだ。


 勿論それはエヴァも同じ。


― ☘

『あら? あなた達は第3階層に進んだ後、直ぐに第2階層へ戻るのね? そう……ですか……。』


 『マザーの子』が、エヴァの「心の奥」を見るように目を細めて聞いてくる。


『わぁ、すごいね。第2階層で行ってみたいところがあるんだー。でも不思議、何で分かっちゃったの?』と、エヴァが頭を傾ける。


 すると、エヴァの手から少し照れくさそうに「桃色の妖精」が出て来る。

 彼女は、『マザーの子』とエヴァの間で一度くるりと回り、エヴァの肩に止まった後、ぺこりと頭を下げた。


― ☘

『ふふふ。不思議に思ったかもしれませんが、その子も世界樹の子なのです。だから、その子を通じて何となく分かるものなの。』


『ふぇええ。そうなんだね~。』

 そう驚きながらエヴァは、桃色の妖精の頭を撫でる。


― ☘

『さて、そろそろお時間ですね。『マザーの子』に辿り着いたとき、何時も私達とお話ができるとは限らないのだけれど、あなたが進む限り、また何処かで私達とお話する機会が来るでしょう。 その時は、また楽しくおしゃべりしましょうね。』


『うん! 楽しみにしてるねー。』

 エヴァが、にかっと白い歯を見せる。


 そして、マザーツリーの時と同様に、エヴァの体が消え、再び意思がブレるような感覚を覚える―――。



 ✿


― ☘

―――『花』の小さな勇者

   最後にひとつだけ助言を その子に 名前をつけてあげなさい


ありがとう

分かったよー みんなで名前を付けてから 第2階層に戻るね


― ☘

実はわたし もう決めているんだー この子の名前を



エヴァは薄れゆく意識の中で……彼女に向って、そう報告をした。


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