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『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第1章 ✿特S級新人として
21/132

第21話 不思議な幻想曲(場所)

 ありゃりゃ困ったぞ? 頭を悩ませる3人。


 ぐるりと辺りを見渡すが、後方の小高い丘は分かるものの、それ以外は、草原、草原、草原。


 フリージアの思いついた導きの妖精ナビゲーターのMAP機能を見てみても、自分たちの把握した範囲しか分からない。

 なるほど、これがマッピングなのだなっと感動はするが、肝心の第3階層への道のりが分からない。


― ☘

「これは、きっと普通なら何か方法があるんだろうね。」


「そうですわねぇ……。エヴァさんも御姐様方から何も聞いていらっしゃらないのですよね?」


― ☘

「うん、ごめんね。 マッピングの大切さや、次の階層に行くためには、その階層のマザーツリーの子供たち『マザーの子(DMT)』に振れればいいとは聞いているのだけれど、姐さん達の武勇伝はもっと上の階の話だし……。」


『う~ん……。』


 悩む3人であったが、悩んでいても仕方がないと取り合えず進むことにする。

 マッピングがされていれば、戻ることは簡単だ。

 ならば進んでみよう。


 それに、分からないからこそ、それが楽しいのだから!


✿ ❀ ✿


― ☘

―――彼女たち3人が、共通していたのは、冒険を楽しむ素質。


 実は、サーシャが何も教えなかったのは、彼女たちのその素質なら、最初の階層で苦労しながらマッピングを楽しみ、マザーの子(第3階層への扉)に辿り着くであろうと思ったからであった。


― ☘

 迷宮探索家フローターになれば、中層、上層と、上へと進んでいくことで必ずぶつかるであろう未開拓の領域や、先駆者しか知りえない階層など、未知なる階層を冒険する試練。


 彼女は、エヴァ達に、此処《初迷宮》でそれを体験させておきたかったのだ。


― ☘

 未知なる階層――。そう、実はある程度の階層のMAPは、「事前に手に入れる」ことが出来る。


 サーシャが前日に言った『準備』にはそれが含まれていたし、フィオレもそれは分かっていたのだが、フィオレもまた、サーシャと同じく『初めての』迷宮では、エヴァに苦労をさせたいと思い、敢えてその情報を伝えていなかったのである。


 それは、ルイゼも同じ考えであり、お姐さん達がエヴァに冒険譚を聞かせることについては寛大であったが、世界樹の迷宮を「攻略する情報」には制限を掛けており、話して良いのは『さり気ないヒント』までであった。


 そんな、大人たちの優しい愛の鞭により、手に入るはずの情報が、今の彼女たちにはないのだけれど、当の本人達はそれを知る由もなく、頭を悩ませては、あっちにふらふら……こっちにふらふら……。


 彼女たちは、お昼を大きく過ぎた頃まで、へとへとになるまで、第2階層を歩き回っていた。


 ✿


「だんだん、マッピングのコツを掴めてきたね。」

 フリージアが、メモを取りながらブツブツ言っているエヴァに向かって言う。


「うーん。そうなんだけど、何かひっかかるんだよねー。」

 エヴァが、眉を細めて言う。


「どうかなさったのですか?」

 マーガレットが、メモをのぞき込んでエヴァに聞くのだが、エヴァは何処かぴんと来ていないようで、上手く回答ができない。


― ☘

「んとね。ここやここの辺りは、安全地帯付近だから、うりぼんやスライムが出るのは分かるのだけれど、何でここには、スライムしか出ないのかなって。」

 エヴァが、眉を更にハの字に歪めマーガレットに言う。


「あら、本当ですわね。確かに不思議ですね。」


― ☘

「でしょ?でしょ? それさえなければ、モンスターの強さがちょっとだけ強くなっていくこの方向に進めば、そこにゴールがないかな? って、思えたのだけど。」


 確かに、ここは最初の階層であるため、難易度としては出会うモンスターに大した違いはないのだけれど、なるほど、エヴァの言う通りな気もする。


「ん、エヴァのその発想。良い線行っている気がする。何となくだけれど、その『スライムエリア』が不自然。それさえなければ、私はエヴァの言った方向に進んでみたいかな。」


 フリージアが、自分の妖精が見せるMAPを確認しながら、迷いなく言う。


「そう……ですわね。幸いにも、わたくし達はその方向に向かうには、良い位置に居る訳ですし。どうでしょうか。その2点に目的を定めて進んでみては。」


「異議なし!」


 マーガレットの提案に、フリージアが賛成をする。


― ☘

 エヴァも、それには異議などないのだけれど、「どちらにも行かなければならない」気がしてならない。


「うーん。両方とも行きたい感じなんだよねー。」


 エヴァは、その気持ちを具体的に、上手に言葉にすることが出来ないのだけれど、2つの場所に行きたい思いだけは伝えてみる。


「そうですね、ならばこうしませんか? まずは、エヴァさんの言っていた方向に進んでみましょう。それで、第3階層に着いたとしても、着かなかったとしても、このポイントに戻ってみる。 これで如何ですか?」


― ☘

(うん、それで良い気がする。)

 エヴァがそう思うと、彼女の桃色の導きの妖精ナビゲーターがにっこりと微笑んだ。

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