第19話 踏み出しの輪舞
――第2層
新人から初心者迷宮探索家が多く滞在している「始まりの階層」、そのスタート地点、安全地帯の洞窟。
ここには、大体100名程度の迷宮探索家が見受けられ、その殆どが、身なりからして、やはり『駆け出し』と呼ばれる者たちであることがわかる。
そう言った意味では、『お姐さんの着せ替え装備』のエヴァと、見るからに『華がある美しいフォルム』のマーガレットは「異様」であり、また、軽装ながらも『剣に妥協がない』であろう雰囲気を出している小柄な女性フリージアも「特質」した存在であった。
当然、そんな彼女達は、そこにいる者たちから注目を集めているのではあったのだが、当の本人たちは、そんなことは気にもせず、さて何処から冒険を進めるべきかと、わいのわいのしている。
― ☘
とはいえ、洞窟の先にある光が差す込む出入口が、眩しいくらいに『ここが冒険のはじまりだよ!』と自己主張しており、それに気が付いてしまった3人は、兎にも角にも冒険がしたい気持ちに負け、光の差す方へ歩き出す。
❀ ✿ ❀
― ☘
『せーのー!』
3人で手をつなぎ、『一歩』目を同時に踏み出す。
『―――うわぁぁぁぁ!!!』
そこに現れたのは、見渡す限りの『草原』であり、その広大さに3人は思わず大きな声がでる。
洞窟は、小高い丘にあり、何処までも続きいているよな緑の世界を見渡し、彼女たちは第2階層の広さに胸がときめく。
「あ! あそこで、戦闘をしているパーティが!」
「まぁ!見てくださいまし! あそこのパーティがなさっているのは、採取でしょうか。」
「本当に人がいっぱいいるねー! でも不思議ー!」
「そうですわね。外から見る世界樹も大きいですけど、この広さはその比ではありませんものね。」
「でも、そこがいい。冒険のし甲斐がある。」
― ☘
目的は、第3階層まで進むこと。彼女たちには、きっとそれは『遠足』。
それ以外は、「自由」と言われている3人。
彼女たちが、すること、したいことは―――。
『やっぱり、まずは、モンスターと戦ってみるしかないよね!』
であった。
✿
小高い丘を滑るように降りていく。
概ね平坦となった足元に、軽やかな足取りで大地を蹴る。
小さな案内人たちも、3つの色を輝かせて、彼女たちの背を追っていく。
「丘から降りるときに、あっちに何かいたのを見たよ!付いてきて。」
フリージアが先頭を切る。
「わぁ。居たね!」
「おあつらい向きに、3匹のモンスター。」
「あちらは、早速襲ってきそうですわよ!」
フリージアが見つけたのは、猪の子供のようなモンスター『うりぼん』。
背中に茶褐色のライン走り、瓜のようなフォルムのモンスター。
― ☘
その『うりぼん』が、迷宮での最初の戦い。
うりぼんは、体を毬のように丸めて体当たりをしてくる。
「さて、皆様。お手並み拝見ですわぁ!」
マーガレットが、うりぼんの体当たりをひらりと躱し、黄色の妖精から弓と矢を取り出し、狙いを定める。
「流石に油断はしないけれど、お手並みが見せれる相手ではないよ?」
フリージアが抜剣して、剣先を中段に構える。
― ☘
「ありゃ。こいつも……遅い。」
エヴァが、剣をうりぼんの茶褐色の線に沿って引き、サクリと切る。
――きゅきゅーん。
と、可愛い断末魔を残し、泡状になりお肉を残し消えるうりぼん。
「おお!いい剣筋。やるねエヴァ。」
フリージアがそう言いながら剣を振るった?……のであろうか。
うりぼんが2つに割れ消えていく。
「フリージアすごお! 早すぎて、剣筋が何とか見えたくらい。」
エヴァのその発言に「ほぉー」という顔をするフリージア。
剣筋が何とか「見えた」ことに関心を寄せているようだ。
「素晴らしいですわ! あなた方の剣の腕前は凄いです。」
マーガレットが、微笑みながら歩いてくるが、彼女に体当たりをしてきた「うりぼん」は、既に何処にもいない。
「あれ? マーガレット、何時の間にか倒しちゃったの?」
エヴァが不思議そうに聞く。
― ☘
「あ。はい。わたしは、狩りを良くしていましたので、弓を射るときは「癖」で気配を成るべく消すことにしておりまして、こっそりと倒しました。」
◇
「ひやあああ! みんな凄いんだね!」
エヴァは、目を丸くしながら2人を見る。
「それはあなたもでしてよ? わたくしとしましては、エヴァさんの『花』魔法が見れずに残念でしたわぁ。」
マーガレットが残念そうにこちらを見てくるも、流石に相手がなぁ……と頭をかくエヴァであったが、「あ!」と、ひとつの『花』魔法を思い出す。
― ☘
「えっと。大したことない『花』魔法なんだけど……見る?」
恥ずかしそうに言うエヴァであったが、2人はそんな彼女の恥ずかしさなんて意にも介さない。
「「見る見る! 絶対に見る!!」」
と、後ろの妖精と一緒に「ふんふん」と鼻息を荒くする。
その光景にエヴァはくすりと笑い、2人と同じチームを組んでいる喜びを、改めて噛み締める。
お読みいただいてありがとうございます^^
宜しければ、コメント、評価等よろしくお願いします。




