第12話 特S級新人✿朝の歌
第一章のはじまりです(^^♪
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朝の温かい日差しが目に落ち、エヴァの重たい瞼が少し揺れる―――。
――んん……そうだよね。 今日から私は迷宮探索家として……。
「はっ! 太陽の光?」
エヴァは、勢いよく起き上がり辺りを見渡す。
先日までの彼女は、暁を覚える前に仕事を始めていたため、朝の陽ざしに目が覚めることに慣れていない。
だから、今が一体何時であるのか、皆目見当がつかない彼女であったが、早朝の鳥のかわいらしい会話を耳にして、落ち着きを取り戻す。
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昨日は、お姐さん達……しこたまお酒を浴びていたなぁ。
私のための宴だったから、本当に嬉しかったのだけれど、相談出来る人が果たしているのかしら?
エヴァは、朝に滅法弱い娼婦達、輪をかけて二日酔いであろう彼女たちの中で、今日の準備について、相談に乗ってくれそうな人を思い浮かべる。
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「ありゃ? 困ったな。誰も起きそうにないぞ。」
でも、そんな姐さん達が好きなのだから仕方がない。
だから、エヴァも困ったなと言いながら、顔は笑顔で微笑んでいる。
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娼館の3階にある小さなお部屋が、彼女のお城。
その陽当たりはいいのだが、端っこで一番不便なお城から、1階の食堂に降りていく。
食堂には、案の定誰もおらず「あはは……」と思わず苦笑いするが、ついつい、癖で目玉焼きを焼きだすエヴァ。
何時起きるか分からない姐さん達の為に、朝ごはんを作り出して、何年になるだろうか――、そう思いに耽せながら、結局全員分の玉子を焼いてしまた彼女が、後ろを振り向くと、そこには、フィオレ姐さんが立っていた。
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「え?えええええ? フィオレ姐さんが宴の翌日の朝に歩いているぅ!」
驚愕の声を漏らすエヴァに、フィオレはため息を付きながら言う。
「人を何だと思ってるの! そりゃ私だもん。歩くわよ! それよりも何しているの? 朝ごはんの支度は当番制になったでしょ? 今日は私の番なんだから――。」
まったく……この子は。
初の世界樹の日に、何時ものように朝ごはんを作っちゃって……。
フィオレは愛おしい妹を優しく見つめる。
「あはは。ついつい、癖で、自分だけの朝ごはんを用意するなんて、想像もしたことがなかったから。」
「ほんとに、あんたは……。」
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「あ!そうだった。フィオレ姐さん。今日から世界樹に行くのだけれど、最低限必要なものを教えて! 正午には用意をしてギルドに行かないとなの!」
「あぁ、そうかぁ。初めてかぁ。 そっかそっか~。」
フィオレは、にやにやが止まらずに、エヴァの前髪を上げて『ぐしゃ』っと撫で、何でも私に聞きなさいと言ったでしょう? と、満面の笑みを浮かべる。
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姐さんに教えてもらったこと―――。
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導きの妖精と仲良くなるまで、回復薬は、ベルトに付けた『小鞄』に入れておく。新人が行ける5階までなら「パーティー人数分」持っていれば大丈夫。
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紙と書くもの。
これは、フィオレ姐さんが実践していたことらしいのだが、休憩のときや、余裕があるときに、『気が付いたことをメモ』しておく。
「仲間の特徴」を本人から聞いたことや、「冒険中に気になったこと」、「発見したこと」を書くことで、自分の勉強にもなるし、仲間とのディスカッションにも使えるし、お薦めなのだそうだ。
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最後に食事。 簡易携帯食を少し多めに持ち、『好きな食品』を持ち運ぶこと。飲み物とともに、こちらは『導きの妖精』に持ってもらう。
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『新人狩場』と言われる5階までは、それだけあれば十分だそうだ。
エヴァはフィオレ姐さんの初心者講座が、楽しくて仕方がなかった。
きっと、姐さん独自のスタイルなのだけど、きっと苦労して癖を付けた用意等。
「私が引き継ぐんだ!」と、既に引退をしている元S級冒険者のありがたい教えを、早速メモするエヴァを見て、フィオレはとても愛おしく思う。
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正午前となり、エヴァは、お姐さん達の『着せ替え人形の成果』を、着用する。
階段を降り、裏玄関の扉を開け、娼館に小さく「―――行ってきます。」と囁く。
やっぱり、皆昼間で寝てたな。起きたらちゃんと朝ごはん食べて欲しいな。
そう思いながら、彼女は迷宮ギルドに足を向ける。
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「ここからは、あの子の冒険だからね。見送りはここで十分だろ。」
3階の廊下から窓越しに見送る娼婦たち。まだ寝ていた者も、ちらほら居たのかも知れないが、皆がこっそり彼女の出発を見送った。頑張れとの思いを込めて。
娼婦の館の朝の歌―――。
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▽ エヴァの着せ替え人形セット [セット効果:魅力UP]
武器:ランドブルの片手剣
防具:赤と白のシルクのインナー、レッドリザードの皮の服、サラマンダーブーツ
装具:『花』ルーンのお守り、ピンクのバーベナの髪飾り、雪の腕輪
読者様
お読みいただきありがとう御座いました。
早めに次のお話も更新させて頂きます(/・ω・)/




