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『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第9章  ✿蟻の女王と5国『5迷宮』
113/132

第113話 『勇者』と蟻の女王、古代龍種『聖智龍』の末裔

同じ砂漠試験中なのですが、新章として別けさせていただきます(^^♪

 砂漠のモンスターパレード。

 フィオレ達の暗躍により、それが発覚したその頃。


 『勇者』ニューとエヴァ達は、案内蟻に誘われ『アリ穴』のダンジョンを奥深く進み、やっぱり「探検」を楽しんでいた。


「ひょえええ! 本当に砂の洞窟がずううと続くんだねぇ!」

『ずううと ひろいー』


― ☘

 案内蟻と何故か手を繋ぎ、”ぶんぶん” と手を振り進むエヴァと、蟻の肩に居心地良さそうに座っている妖精の『もも』。


「ギギッ―♪ ギギギギー!」

 どうやら案内蟻も楽しそうで、時折何かを伝えようとする。


「なんか、あんた達仲良しになってるわね……。それ蟻のモンスターよ?」

 そんなふたりを見て、フリージアが呆れて言う。


「えー? だって『ぎーちゃん』悪い子じゃないじゃんかぁ!」

『ぎー いいこ!』

「ギギギー♪」


「あはは、ぎーちゃんって……蟻に名前、エヴァさんらしいですね。」

 リンデンも、驚きというより呆れて笑う。


「いいね、エヴァ♪ この蟻も本当に楽しそうにしてるし、僕もエヴァと蟻が手を繋いで、『もも』が蟻の肩に乗ってる姿を見れて、人生丸儲けだよー! ハハハ―。」


 ニューも、その光景を物珍しそうに見ながらも、とっても楽しそうだ。


「しかし、あんたも変わった勇者様ね? 堅っ苦しい奴より全然良いけど。」


― ☘

「んー? 僕は、そーゆーのが嫌で『ひとり』だからねぇ~。でも、僕もフリージア達なら堅っ苦しくないから楽しいよ?」


「うふふ、まさか、あちらの神殿に貴方みたいな方が要らっしゃるとはね。あちらも……相当お堅いですし。」


「そうなんだよー! マーガレットも知ってると思うけど、ほら、特に老人達がねぇ……老害レベルだよ! でも、世話にはなってるからなぁー。」


「ぁ……お察し致しますわ。」


― ☘

 上の砂漠では、「あんなこと」が起こっているかなんて、想像すらしていない5人は、こんな他愛のない世間話を楽しみながら歩みを進めていく。


 そして、遂に「ぎーちゃん」が案内する目的地に到着するのであった。


 ✿


「おー! 砂の迷路の中にこんな立派な扉が~!」

『おーおー』


― ☘

 高さ4mはあるであろう大きな観音開きの鉄の扉が、エヴァ達の目の前に現れる。

 施された装飾からそれが普通の扉ではなく、何か特別の扉……そう、まるで王宮にある謁見の間のような大扉がそこに、どっしりと鎮座している。


「ギギギー、ギ~ギ!」

 案内蟻のぎーちゃんが、「開け~ゴマ!」みたいな何かを唱える。


―――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!


 すると、地響きのような音を立てて、エヴァ達を待っていたかのように、その重い扉がゆっくりと開いていく。


 ◇


 扉か開いたその先は、まさに『謁見の間』であった。


 50m角程の広い広間に、必要かは分からない謎のバロック風装飾もりもりの柱、敷き詰められた大理石の床に赤絨毯まで敷かれている。


― ☘

 砂色が黄金色にも見えて、まるで黄金の間。その先にある階段5段のひな壇の上にある立派な玉座。そこに、何者かが鎮座している。


「良く来たのぉ、勇者と『花』魔法を継し者と、その一行。」


 その玉座に座るその者は、深く艶やかな女性の声でエヴァ達に語り掛ける。


「ギギ―ッー。」

 ぎーちゃんは深く深く頭を下げ、エヴァ達を玉座の方へより丁寧に連れていく。


 ◇


 玉座に座ってるのは、黄色いスルリとした長い髪が妖艶で、純白のノースリーブのドレスに黄金のティアラに首飾りが眩しい美しい女性。


 そして、玉座の前まで一行が辿り着くと、鎮座している女性が再び口を開く。


― ☘

「妾は、この『アリ穴』ダンジョンと呼ばれる迷宮の主、この迷宮では『蟻の女王(アントクイーン)』と呼ばれる者。こう見えても、その昔、砂漠の地を収めていた『聖智龍』と呼ばれる智を司る古代龍種の末裔じゃ。主らに合わせて人の姿をしているがのぉ。」


「!? 蟻の女王(アントクイーン)? 古代の龍種?」


 その言葉に一同は驚く……驚いているのだけれど、目が爛々、興味津々の顔をして「おーおー!」言っている。


「なんじゃ? 予想していたのとちと違うのぉ。もっと驚いてくれるかと期待しておったのじゃが?」


 蟻の女王(アントクイーン)が少し残念そうに言う。


「え~驚いてるよ~? だって龍だもん! ドラゴンだもん! しかも古代の偉い人なんだよね!? それが、私たちと同じ人間の姿なんだよー! 凄いじゃん、カッコいいじゃん!」


― ☘

 エヴァが……あぁ、完全に自分の世界に入って蟻の女王(アントクイーン)、古代龍の末裔にそれをぶつけている。


「そ……そうか!? そうかのぉ。凄いかのぉ? カッコいいかのぉ?」


 その尊敬の眼差し? 珍獣を見るかのような目? を向けるエヴァのきらきらに蟻の女王(アントクイーン)の機嫌が戻り、嬉しそうに胸を張る。


「ふぇ……。」


― ☘

 その調子に乗り胸を張る女王の姿にリンデンは、

(あぁ、この方のこの反応……。また、このタイプの人が増えましたね。はぁ……)

 と、お守りの対象が増えたような気がして、内心で大きなため息を漏らす。



 ✿


「で? わざわざお ”使い” を寄越して僕達をここまで呼ぶなんて、『アリ穴』の女王様が何の用なのかなぁ~?」

― ☘

 その声の先―――そこには、紛れもない『勇者』ニューが居た。


 子供の様な振る舞いをする彼ではなく、凛として世界を救うのであろう風貌の彼が、ここで初めて彼の導きの妖精(ナビゲーター)を見せる。


 手の甲から現れるコバルトブルーに光る導きの妖精(ナビゲーター)


― ☘

 何故なのだろう? エヴァの導きの妖精(ナビゲーター)『もも』が、「わあー」と感嘆の言葉を口にする。


 導きの妖精(ナビゲーター)から出す彼のその剣は、この試験で帯刀していたそれとは明らかに違う。


 絶対的高位の品―――、まるで意思があるかのようなオーラを纏っている。


「な……何あの剣? 明らかにレア度が跳ね上がってる。」

 フリージアがゴクリと唾を飲み干す。


― ☘ 

「ん。伝説の勇者の剣―――なんて言わないから大丈夫だよ。君のその『刀』と同じさ。『神秘の涙(クオーツ)』じゃなくて、エッセンスは神殿の恵みだけどね。」


「!? あんた、この『刀』に気が付いていたの?」


「まぁいろいろとね。」

 フリージアの『刀』をチラッと見てニューの口元が微笑む。


「で、でだよ、『アリ穴』の女王様。僕の問いには、何って答えてくれるのかな?」


 ニューは、足を肩幅、剣を片手で持ち中段の構え、そこから、少しだけ腰を落とし剣先を蟻の女王(アントクイーン)に向ける。


 凛としていて、でも、無駄な力が入っていない美しい姿勢の『勇者』ニュー。

― ☘

―――綺麗な構え。無駄がない……いや自然と一体となっている。美しい。

 

 フリージアは、時が止まったかのように、うっとりと……その構えに見とれてしまうのであった。

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