表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第8章 ✿ラセール砂漠✿
109/132

第109話 モンスター『パレード』を踊ろう!

『モンスターパレード』―――。

― ☘

 モンスターが何らかの事情で、ひと塊となり、一方の方向に進軍することの総称である。規模としては、それが何らかの脅威となるかどうかで判断されるため、50とも100とも言われるが、この場合は、100程度のモンスターの進行であり、砂漠のモンスター1匹1匹を見れば、普通の人間では荷が重い。


 従って、これは、立派なモンスターパレードにあたると言えた。

― ☘

 また、実際にはフィオレ達がかなりの数を間引いており、局面だけでなく、全体を見れば、これは、かなり大規模なパレードとなっていた。



 また、蛇足とはなるが、先に、シドニーが、大量のモンスターに追われて引き付けて逃げていた状況を「モンスタートレイン」と呼んでいる。

 この呼び名は、「逃げるものを追って」モンスターが一直線に……まるで列車のように連なって追いかけてくるためそう呼ばれており、モンスターパレードとは少々意味合いが異なっている。



 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿


「今の人~、馬車を待機させてるために残ってる執事さんでしたっけ?」


 ライティアが同僚の職員に、敢えて話題を振ってみる。


「だな。あの1位シドニー達の後に来た「貴族風の少女の従者」じゃなかったか? しかし、何故お前が知っているんだ?……と、思っちゃう内容だよな。でも、お陰様で混乱に拍車が掛かったぞ……。めんどくせぇ!」


 セビオと同じく職員になって5年目くらいだろうか、若手の中でもリーダー的な立ち位置で頑張っている職員のひとりである、ラウスが頭を抱える。


― ☘

「無理もないか……モンスターパレードだぞ? 狙いはここを通過した先……街!? くそ。5分って直ぐじゃないか! ライティア偵察に行ってくれ。至急だ!」


(まぁ、そうなるわよね。それではお言葉に甘えて。)

「直ぐに確認して来ます~。私怖いので~ラウスさんは万が一に備えて……」


 ライティアは、ラウスに遠回しにモンスターへの対応を提案する。


「あぁ、こんなひよっこ達でもランカーだ……『報酬』をチラつかせて何とかするしかねぇな。特別措置だが、まぁ、責任はセビオに擦り付ければいいか!」



『おーい! お前達いいかーぁ…………』

 ラウスが、頭を掻きながらも最低限の措置を講ずるように動く。


 E級と言えど、ランカーとなり、昇格試験に臨む者たちである。

 それなりに、上位ランクを狙っている野心もあれば、下手にくすぶっているD級よりも戦力となる。

― ☘

 だから、『破格の金』と『試験合格』の人参をチラつかせて、モンスターパレードを乗り越える。彼の作戦は単純だが、この短期間で一番の効果が見込める手。


 ライティアとしては、何故セビオなんて子悪党にこんな大事な試験を任せたのかと心から思う。そう思える程、ラウス判断は迅速で的を得ていた。



 ✿


 双眼鏡を手に外へ出るライティアは、砂山となっている場所の頂上に、とんとんとんと軽快に上りきる。


 そこで待っていたのは、マーガレットの執事マーカスに従う御者のウノ。

 彼から渡されるメモを一読して、双眼鏡を覗き込む。

 なるほど、砂煙の上がるあの一体がモンスター達の今の進行位置なのであろう。


― ☘

「あぁー『5分』は《《釣り》》ね。実際は20分くらいかぁ~。無いよりマシな時間だけれど、迷宮探索家フローター達の準備時間にはなるか。」


 こくりと首を振るウノに、ライティア続けて聞く。


「フィオレさんも、『アリアウルフの糸』も、この先でかなりを間引いてくれている……でいいのよね? そして、あなた達も先攻して戦ってくれるでOK?」


 その問いにも首を縦に振るウノの姿を見て、「OK」と言いながら、急いで砂山を降りるライティア。


 ◇


「ラウスさーん。5分は嘘です~。でも、いっぱい来てます! 後20分くらいで来ますぅぅ。」


 ライティアのその情報を聞き、ラウスが5秒程考えて言う。


「よし、こっちは『金』と『昇格』で手を打った。昇格は赤蠍の尻尾を、『この戦い』で手にしたものもOKとした。後付けとなるが、ギルドにもそう文を出してある。」


「おぉ~素早い~。」


「だから、君にも戦いに参加して貰うぞ!」


「了解でぇす。怖いけど頑張ります。それと……」

 ライティアは、あの執事とその従者が武器を手に、モンスターパレードに先行して向かっていったことを伝える。


「ふーん。一体何者なんだろうなぁ~。でも、今はそんなことは、関係ないか。少しでも戦力が欲しい場面だものな、助かるか。」


― ☘

 そう言うと、ラウスは改めて、モンスターの到着時間を伝えなおし、迷宮探索家フローターとギルド職員とで、A・B・Cのチームを編成し、コテージにある回復剤等の物資を配布する。


 初めの5分で事実に向き合い、訂正された到着時間を活用して編成させる。

 それが出来るだけの技術と度量がここにいる面々にはあると見込んでの判断。

 ……流石『マルガリーテス』家の執事であり、『風耳』のじいさんだ。


 その大胆であり、他人の力量を計る手腕と判断力に脱帽しながらも、ライティアは自身の愛剣を手にする。


― ☘

『お前ら! ある意味チャンスだぞ。稼いで上がって、明日に繋げよお!

 さぁ! パレードを踊ろう!』


―――ウオオオオオオオオ!!!!


 そして、ラウスのその叫びに、E級迷宮探索家フローターのひよっこ達が鼓舞する。


(ふふふ……やるじゃない。)

― ☘

 その雰囲気と一体感に、ライティアは、『風耳』に向けた敬意と同じだけの敬意を、先輩職員のラウスに向けて、釣られて鼓舞する自分を感じながら微笑む。




 ✿ ✿ ✿

― ☘

 一方、先行してモンスターの波に辿り着いた、執事の姿でレイピアのような刺突剣を持つ老人マーカスと、ボロを着ながらもその姿に似付かわしいとは言えない鋭い立派なナイフを両手に持つウノは、『砂漠の民』と呼ばれるモンスタースフィンクスが数匹いることに気が付き驚きを覚える。


「ウノ、これは厄介かもしれませんね。」


 やはり、無言で首を縦に振るウノ。


「砂漠の中心を支配し、謳歌するあれが絡んでいるということは、やはり『あのふたつの爆破』の規模が大きすぎて、怒りを買ったというところ……でしょうか。しかし

そうなると、この先での『影縫い』達の戦いはそれなりに大変なものかもしれませんね。」


―――やはり、あのセビオというギルド職員と賊と思われるあの男が……あの民を刺激するとは思えないですね。その裏で彼等を操っている組織の作戦なでしょうか……? それとも、彼等が予想をしていない事態が起きているのでしょうか? そのどちらかなのでしょうね。


 そう考えながら、マーカスはひとつ息を吸う。


「では、ひよっこの《《お守り》》をさせられる前に、あのスフィンクスを殺りますよ。」


― ☘

 執事と御者は、100を超えるモンスターの波を、信じられない速さで、対象を目指し走り超えていく―――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ