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『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第8章 ✿ラセール砂漠✿
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第107話 導く『妖精』と勇者の表情

 ぷち勇者と言われてむず痒いチーム『大空グランシエル』の面々。


 探しに来たニューがまさかの『勇者』であったことに驚きを隠せなかったが、彼と自分達の共通点をお互いに声を交わした結果、それに納得をしていた彼女達。


 御伽噺でよく聞いた『勇者』を目の当たりにして、そして、その彼から「ぷち勇者」と言われ、如何にこの3人娘であっても、やっぱり、むず痒さを感じてしまう。


 とはいえ、リンデンと違って彼女達には、そういうスキルと称号を持っているひとりの少年でしかなく、彼に対する尊敬も、畏怖も、敬いすらもない。


― ☘

「ところでさぁ、ニュー。ここ何処なの?」

「え? わかんない。」


「えぇー? ニューは私達より先にここに来たから調べてるのかと思った。」

「いやね。魔物もいないんだよ。だから寝てた。 あはは。」


「そっか、じゃー仕方ないね。 あはは。」

「ここで寝れるなんて、神経太い。」

「あら、でも上より涼しくて快適ですわよ?」


 また始まった自由と自由のランデブーに、マーガレットとフリージアも参戦する。


 ◇


「しかし、正味な話、ここは一体何処なのでしょうか。」


 うーん、と考え込むリンデンであるが、実は根っからの御伽噺の『勇者ファン』であり、先程からどきどきが止まっていない。


 かと言って、「サインを下さい」なんて言う程、ニューはリンデンが思う理想のそのイメージではなく、勇者へのどきどき半分と、自分の落とされた場所への考察が半分と、少し変な感覚で思考を巡らしている。


 と、言っても。

― ☘

 図書館で「アリ穴」のことを調べた手前もあり、彼の中では、その独特の砂地の地面を食いちぎって、それを横に進めたようなこの横穴から、十中八九『ここはアリ穴だ』と思っている。


 また、ニューが作ったと言った「砂の渦」から、『アリ穴』のモンスター『サンド働き蟻』が出てきた事実と、その渦にニューが飲み込まれここにいる事実が重なり、その予想は確信へと変わっている。


 この時、リンデンは、当たり前というか、砂漠の真下に落ちたということから、『アリ穴』ダンジョンの地下1階層に居るものだと思っていた。


― ☘

 だが、ここはダンジョンであり、規模は違えど『世界樹』の迷宮と同じ不思議な空間。彼の予想とは違った、ダンジョンの意思のような現実が、この後彼らに驚きをもたらすこととなる。


 ✿


「単純に考えると、ここは『アリ穴』ダンジョンの中だと思います。」

 リンデンは、その考えを一同に伝える。


「ですわよねぇ。あの蟻達もあの渦に帰っていきましたし。」

 マーガレットも同じ考えであったようだ。


「んー。だとしたら、あの帰った蟻は何処に行ったんだろう~不思議だねぇ。」

 エヴァが、またしても寝る前の愛読書の主人公のポーズを真似て、顎に手を置きだす。


「んー。」 カッコいいと思ったのだろう、ニューも真似をし出すのだが、それを見たフリージアとリンデンの眉毛が、不安と嫌な予感でハノ字に歪む。


― ☘

 その時、エヴァの美しい栗色の髪を、ふわりとした優しい風が通り過ぎた。

 その風を感じ、目を瞑って考えていたエヴァの目が『カッ!』と開き、


「はっ! 分かった! 蟻達はあっちの方に居る!!」

 と叫び指を差そうとした瞬間―――。


― ☘

 差そうとした指の手の上に妖精の『もも』がちょこんと乗り、エヴァのほっぺをつんつんとつつく。


 ✿


「ふぇ? どうしたの『もも』。」


 見せ場を阻止されたようで、呆気にとられながらもエヴァは、彼女の導きの妖精(ナビゲーター)の様子に気が付き首を傾げて聞いてみる。


― ☘

『んとねー、んとねー、そっちじゃないのー』

 必死に伝えようとする『もも』。


『えとねー、えとねー、あっち?』

 マーガレットの導きの妖精(ナビゲーター)『カナリア』も続く。


『きっとね、きっとね、だいじなの』

 フリージアの導きの妖精(ナビゲーター)『スノウ・ホワイト』がそう言うと、3人の妖精達が一斉に慌てた様子で舞いだす。



―――そっかー。なるほど、そう言うことね。

   君達の導きの妖精()は賢いんだね。うん、分かったよ。



 これが『勇者』の本質なのであろうか?

― ☘

 先程まで、我儘なやんちゃな男の子のようであったニューが、凛々しくも慈悲深い顔面となり、くるくると舞っている『もも』達を見てそう言う。


『うん、そうー にゅ ありがと』

 嬉しそうに『カナリア』が言う。


 そして、エヴァの『もも』が、エヴァのフラグの指差しを真似して……

『あっち だー』

 と、エヴァが指そうとした反対側を指差したそのとき。


― ☘

 指指した横穴が薄っすらと光り、ゆらゆらと、まるで「こっちだよ」と彼達を誘うかのようにその光を揺らす。


 ✿


「これは、何かありますわね。」

「ニューが勇者っぽくなって、エヴァのフラグを『神秘の涙(クオーツ)』が止めた。間違いない。」

「ふぇええ、フリージア最後の酷いよー。でも……。」

「はい。この導きのような不思議な現象は、まるで……。」


― ☘

『―――世界樹の意思!』



 その会話を聞いて、ニューの勇者としてのオーラが増していく。


― ☘

 『神秘の涙(クオーツ)』、『世界樹の意思』、君達は本当に『ぷち勇者』なのかもしれないんだねぇ―――。ニューは、そう思いながら、あの無邪気な笑顔とは違う笑みを薄っすらと浮かべ、真剣に話している彼女達を見るのであった。



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