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『花』魔法✿のぷち勇者と世界樹☘の迷宮  作者: 左手でクレープ
第8章 ✿ラセール砂漠✿
106/132

第106話 勇者と『ぷち勇者』達

 分岐した横穴の影から、大笑いをしながら手を叩き出てくる男の子。

「ありゃ?」

 エヴァが、その男の子を見て言う。

― ☘

「きみは、『ニュー』だよね!? 無事だったんだねー。」

 彼が無事で、ニッコリ笑顔をニューに向ける。


「ほえ? 僕の名前知ってるんだね?」


「ええ、始めに見掛けまして。それで、あなたが向かった方から、爆発があったので、心配でそちらに向ったのですわ。」

 マーガレットも優しい微笑みで彼に話しかける。


「爆発……ん~? あ!? あれ、僕、僕!!」

 ピースをしながら、ニューも笑顔で返す。


「ふぇええ? あの爆発、君がやったの?」

 目を真ん丸にして驚く、エヴァ。


 ◇

― ☘

「蠍が気持ち悪くてさー。しかも「賊」が隠れてるし。

 たから倒してね。あいつらが持ってた「爆弾」全部蠍に投げたのさー!

 そしたら、砂の渦が出来ちゃって、楽しくくるくるくるくる~!」


「わっ! あれ入ってみたかったの。やっぱ面白かったんだ!?」

「もうね、動けないの! でも、くるくる渦の通りに体が動いてね。凄いの!」


「えー、いいなぁ。私達なんて地割れで落ちたんだよー! 痛いだけ!」

「あー、それは人生損したね。って、地割れ?」


「なんかね、もう一回爆発があって、そしたら、落ちたの! えへへ。」

「あ、それは僕じゃないからね! あはは。」


「ふーん、そっか。 えっと、わたしはエヴァ! よろしくニュー!」


「エヴァ? 変な名前!」

「えー、ニューだって変じゃんかぁー。」


「そう? あははは!」

「うん! えへへへ!」


 ◇

― ☘

(何……でしょう、この会話は……エヴァさんがふたりいるみたいだ。 

 自由と自由の言葉の応戦? ランデブー?)


(しかし、彼の話を聞く限り、あの死んでいた賊はやはり彼が?

 となると、相当な手練れですよね。)


 リンデンは、エヴァとニューの会話に呆気に取られながら、彼の言った「賊を倒して」という言葉が気になっていた。


(そして、賊が持っていた「爆弾」って多分……昨日、スパディ様経由で教えてもらった、『爆弾ワームの破裂殻』ですよね? と、いうことは……。)


「ニューさん、はじめまして。」

 リンデンは、ニューにそのことを聞いてみる。


「賊が爆弾を持っていたと言ってましたが、爆弾って『爆弾ワームの破裂殻』でしょうか?」

「んん!?」


「それと、その賊に心当たりはあります?」

「お! 君いい恰幅してるね! ぷにゅぷにゅだぁ♪」

― ☘

 リンデンの質問なんて聞こえっていなかったように、ニューがリンデンのお腹をぷにゅぷにゅ摘まむ。


「ふぇええ、何するんですかぁ~。それに僕の質問~。」


「ん、ああ。そだよー『爆弾ワームの破裂殻』! あれいっぱい持っててそれをドーン!!! あと、賊ねー。聞きたいのは『盗賊の刻印』……かな?」


― ☘

「!? そうですそうです!」

迷宮探索家フローターになってから、あいつらに付き纏われててさ。」


「ふぇ? それは迷宮探索家フローターになってからなんですか?」

「そうなんだよねー。弱いからいつもやっつけるけど。ドーン!」


―――まさか!?

 リンデンの脳裏にひとつの仮説が生まれる。


「ひょっとしてなのですが、ニューさんのギルド担当者って……?」

― ☘

「ん? セビオだけど?」


「はやり……、内緒なら答えなくていいですが、ニューさんってひょとして、特別なスキルなんて持っていません?」

― ☘

「え? 持ってるよ!? 『勇者』っていう (スター) スキル。」

「は?」「へ?」「あはは……?」



『『『 ゆ……、ゆ、ゆ、『勇者』あああああああああ!? 」」」



 エヴァを除く3人が、眼球が飛び出るくらいの衝撃を受けて驚き叫ぶ!!!


 ❁

― ☘

「なるほど、あの見事な一撃。納得した。」

 フリージアが、鋭い目線でニューに言う。


「見事な? 君と戦ったっけ?」

「盗賊の死体を見た。振り向かせることなく、狂いない急所への一撃。」


「あぁ~、殺しはダメって子?」

「別に、私は暗殺者の娘みたいなもの。それに、やり返しただけでしょ?」

「ふ~ん。」


 ニューの目も鋭くなり、傍目から見れば一発即発であるが、殺気がなく、そうではないことがリンデンは分かっていて、特に止めることもしない。


 ❀

― ☘

「しかし、勇者様でしたのね~。出身は東の神殿かしら?」


 と、マーガレットが『神殿の指輪』を指で掴み、ニューに見せる。


「あ、ん。あれ~落としちゃってたか! 拾ってくれてありがとう。お姉さん。」

「あら、お礼が言える子はいい子ですわよ。勇者くん。」


 そう言うと、指輪をニューに返すマーガレット。


「これがないと、神殿のおっちゃん達にすっげー怒られるんだよ。」

「うふふ、知っていましてよ。」


 マーガレットが自分の『西』の指輪を見せる。


「あ! 西の人だったかー。西のばっちゃんも怖いもんね。。。」

「あの人は、鬼ですわ! うふふふ。」

「ねー、あはは!」


 ✿

― ☘

「ニューって勇者だったんだぁ。私、 (スター) に初めて会ったよー!」

 エヴァが、目をキラキラ、わくわくしながら、ニューに言う。


「え?」「はぁ?」「あはは……。」

 マーガレットとフリージア、そしてリンデンが、エヴァに突っ込みを入れる。


『エヴァ(さん)も (スター) でしょう!』


「ふぇ? だって、私は私に会えないしー! 本当に初めて会ったんだもん!」

 エヴァが、また口を尖らせてる。


「お? エヴァも (スター) なの? 何の何の?」

 今度は逆にニューが、目をキラキラ、わくわくしながら、エヴァに返す。



― ☘ 

「えーとね~、『花』魔法って言うんだ~!!! えへへ。」

 エヴァは、白い歯全開で笑顔をニューに向ける。


「『花』魔法!? 何それ、何それ! 後で見せてよ!」

 ニューも、白い歯全開で笑顔をエヴァに向ける。



 ✾


(あれ? エヴァさんの魅力に影響を受けない? それに?)

 リンデンは、最後のふたりのやり取りを見てふと思ったことを聞いてみる。


「聞いてばっかりですみませんが、ニューさん、魅力高いです? それに状態異常耐性無効系のスキル持ちだったりします?」


― ☘

「え? 魅力はSだよ。あと、状態異常は勇者のスキルで無効なんだ!」

「やっぱり。」

「へぇー君鋭いね! 君も珍しいスキル持ってるの?」


「こいつのスキルは、観察眼と、生意気にもすべての武器防具を使える特殊体質。」

「生意気ってフリージアさぁああん。」

― ☘

「えええ! 君《《も》》すべての武器防具を使えるんだ~!?」

「あ、ニューさんもです!? それもひょっとして勇者の?」


「うん、そうだよ! でも、嬉しいな♪ 『君達みんな僕と同じ何かを持ってる』から気が合いそう~!」

「あら、本当ですわね。」


― ☘

「―――アハハッ! 君達はきっと『ぷち勇者』だ!」



 本家本元の勇者の資格を持つ男ニューに『ぷち勇者』と呼ばれるのは、やっぱりむず痒いのだけれど、ちょっと嬉しいチーム『大空グランシエル』の面々。


 ✿ ✿ ✿


 だが、彼女達はまだ、ここが『アリ穴』だとは気が付いていない。

 そして砂漠の下に落ちてしまい、出口が何処か以前に「アリ穴」の何階にいるかすら考えてもいない。


― ☘

 この後、彼女達は、何と出会い、何が起きるか。

 当然、そんなことなんて思考が追いつくことがない、導かれしチーム『大空グランシエル』と『勇者ニュー』、そして (スター) 『勇者』と『花』魔法との出会いの物語であった。

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