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年も明け1月となり、少し肌寒い日が続いたが、ある日の事リリアンヌ様の体調が次第に良くなり、中庭でお茶がしたいと言う事だったので心配だった俺は彼女と一緒にお茶をする事にした。
「今日は良い天気ですね。リリアンヌ様」
と言うと何故かリリアンヌ様が、クスクスと笑いだした。
「あ、あの何か変な事でも言いましたか?」
「いえ、申し訳ありません。思い出し笑いをしてしまって。初めて、ここでお会いした時も最初にそう言っていましたから」
「えっ、そうでしたっけ?良く覚えていらっしゃいますね」
と俺はリリアンヌ様と初めて会った日の事を思い出す。
でも、それはリリアンヌ様の事だけで自分の事は覚えていなかった。
「最初オズモンド様に会う前、隣国の王子様だと聞いていたので高圧的と言うかプライドが高い方なのかなと思っていたのですが、実際会うと腰が低くてビックリしました。それに、気を使ってわざわざ話を振ってくださったりして優しい方なんだと思いましたよ」
「そ、そうですか!」
多分話を振ったのは、俺が猫舌で紅茶が冷めるまで誤魔化すためにわざとやっていた事だろう、今でもリリアンヌ様は良い方向に勘違いしていらっしゃるようだ。
「そういえば、オズモンド様は私に会う前どんな人だと思っていましたか?折角ですから教えてください」
と言われたので素直に返す。
「正直な所、あまり深く考えていませんでした実際に会えばわかる事ですし、それに良い意味で裏切られましたから」
そう、リリアンヌ様に会った時まるで高級なお人形さんのようだった。
とても、キラキラしていて大切に育てられたんだなと言うのが一目でわかるぐらいだった。
「その、一目惚れだったのです。こんなに可愛いらしい女の子がいるんだと、初めて知りました」
と言うとリリアンヌ様は俺の言葉に照れたのか顔を赤らめていた。
しかし、そのあと戸惑っているようだった。
「そうだったのですか。…でも、申し訳ありません当時の私には」
と彼女は言う。
多分、リリアンヌ様は当時俺に対して恋愛感情と言うものが無かったのだろう。
「良いのですよ、今こうしてお互いの気持ちに気づいて思い合えるようになったのですから。私は過去の事を無かった事にしませんし、後悔もしていませんから」
と言うと、リリアンヌ様は寂しそうにしながらも微笑んでくれた。
「当時の私は、オズモンド様に対して恋愛感情と言うよりも、これから生涯を共にするパートナーとして信頼していたと思います。当時、父が亡くなって。誰が自分達の味方で敵なのかとても敏感になっていましたから」
確かに、当時のリリアンヌ様の気持ちを考えれば自ずとわかる事だ、何もわからず女王となった自分が周りの大人達に振り回されてないようにするにはこうするしかないのだ。
「そんな中でオズモンド様はとても優しくて夫や恋人よりも自分をリードしてくれる年上のお兄さんと言う印象が強かったと思います」
「確かに私も、夫婦と言うものが良くわかっていませんでしたから、何となく家族の一員になりたいと思いながら行動していましたから、自然とそうなってしまったんでしょうね。アイリスちゃんとも仲良くしたいと思って一緒に遊んでいましたから、お兄さんというのは当たっているのかもしれませんね」
「そう考えると、オズモンド様のお義父様も私に王になる為の基礎を教えてくれた方ですし、先生というか養父といった方がいいかもしれませんね。女王になると、環境がどんどん変わって何かを手放さないといけなくなる事もありましたけど、お義父様は学校に行ってもいいと言って下さいましたし、時には女王という座を手放したくなる事もありました。でも、お義父様に支えていただいたから今があるのです。大臣達は批判的な意見を持っているでしょうが、私とても感謝しています」
「そう言っていただけるなら、父も無駄な事ではなかったと思っていらっしゃるでしょう」
と言ったあと2人で微笑んでいた。
「そういえば、オズモンド様から頂いた髪飾りは10年前ですから当時買った物でしたっけ?」
「えぇ、一目惚れして何かプレゼントができたらいいなと思っていたんですけど、渡す勇気がなくて変わりのをと思って工芸品を贈っていたんです」
「そうだったのですか、ごめんなさい私も鈍感で。でも何で今になって渡そうと思ったのですか?」
「背中を押してくれるきっかけがあったのです。去年は不思議な事に自分の過去に向き合って、その問題を一緒に乗り越えてようとしてくれた人達に出会えましたから」
「まぁ、とても素敵ですね。オズモンド様がおっしゃるならとても素敵な方達なのでしょね」
「えぇ、最初は嫌々でしたけどね」
と苦笑いしながら言った。
「でも去年は不思議というか思い出に残る事ばかりでした。学園にも行きましたし、特別な外出も出来ましたし、2人きりで海にもいってしまいましたからね」
「そうですね、というか何のことですか、その特別な外出というのは?」
そういうと、リリアンヌ様が照れながら「デートの事です」と教えてくれた。
リリアンヌ様は俺との出来事を「特別なもの」だと思っているようだ。
「そういえば、図書館に行った時も言っていましたね。そういえばその時、願い一つ叶ったといっていましたけどあれは何だったですか?」
と言うとリリアンヌ様は笑顔で、
「素敵な王子様と結婚出来た事です」
「嫌々、冗談ですよね!!」
と言うとリリアンヌ様が頬を膨らませ怒ってしまった。
本当の事だからこそ、彼女は怒ってしまったのだろう。
そのあと、何回も謝り倒した。
少し前だったら、好感度が下がっていたかもしれない。
「でも、私にとってオズモンド様は素敵な王子様です。昔から、私の事を大切にしてくださいましたし、守ってくださいました。この前はその…お姫様抱っこもしてくださいましたし」
と言いながら、照れた顔を両手で隠してしまった。
(お、お姫様抱っこって、そんな事した記憶ないぞ!!)
自分の知らない所で自分が何をしていたのか、恐ろしいと思いながら話をきいていた。
「でも、守るというのは大袈裟ですよ。昔の自分は守るというよりも自分を犠牲にしていましたから。自分を守れない人に相手を守る事が出来ないと、今更気づきましたから」
「でも、それが大切な事だと思いますわ。何もわかっていないより、自分に向き合い自覚しているほうがずっと立派です」
「ありがとうございます。これからは自分はもちろん貴方を精一杯お守りします」
「えぇ、期待しております。ノーザンフォート公爵」
と2人で笑いあっていた。
「でもこうして、リリアンヌ様と笑顔で語り合う事が出来るなんて夢みたいです。俺は王配という立場を果たす事が出来ず、故国に帰ってしまった時もありました。その時もずっと、リリアンヌ様の事を忘れてたくても忘れられませんでした」
「私もです、オズモンド様。初めてだったのです、私にオズモンド様に対する恋愛感情があるとわかったのは。婦人会の時も、貴方が去ろうとしたときも怖かった。どうにか心を繋ぎ止めたくて嫉妬したり、繋がりが欲しいと思った。心が空っぽになってしまった時もありました。私にとってオズモンド様とも思い出が私の支えでした」
「あの時の事、改めて言わせてください。私はリリアンヌ様の事を昔から好きですし、今も愛しています」
「私もです。自覚したのは確かに最近の事です。でも、オズモンド様がパートナーとして王配として家族や夫として大切な人というのは、昔も今も変わっていません。愛しています」
そう言う彼女の手を俺は握って、一緒に照れながら2人で微笑んでいた。
こうして、俺とリリアンヌ様はお茶の時間を楽しみ、そのあと中庭から去ったのだった。
Ep13を読んでいただきありがとうございました。
何か私の紅茶に砂糖が入っているみたいなんですけど、気のせいですかね。
作者はストレート派なんだよ!!
これからストックのEp16エンドロールを書くのですが、物語が完結した後、物語の解説を4本に分けて作りたいと思っています。
下に一覧を書いておきます。
第0章「どき❤︎セントライト学園」について(ゲーム内容やシステム、作中のカイトの行動)
第1章キャラクター紹介(名前の由来や、役割について)
第2章物語の表現&裏設定(メッセージ性や書けなかったシーンなど)
第3章伏線について(伏線の回収&物語のプロットについて) となっています。
勿論本編を優先で投稿して、終わったら出来次第一つずつ投稿させていただきます。
次はEp14「お菓子作り」をお送りします。




